関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

保育士、看護師、農政、ジェンダー平等、憲法~2022年6月県議会質問~

2023年04月08日 | 県政全般

2022年6月予算特別委員会質問
 1.保育士配置基準の改善について  
 2.看護師養成・確保策、これまでの取り組みと今後の方策は  
 2―2.庄内の看護師養成・確保を   
 2―3.看護師処遇改善と確保の決意を  
 3.水田活用の交付金見直しと、食料自給率引き上げへの農政の転換を  
 3-2.堆肥の利用拡大を  
 4.県立中高一貫校の男女別定員について  
 4-2.学校におけるジェンダーフリーについて  
 4-3.男女平等教育計画の策定を 
 5.憲法の平和主義について  

1. 保育士配置基準の改善について
 保育は、子どもの成長発達を支え、保護者の就労を保障する、子どもを産み育てながら働ける社会に不可欠の事業だが、保育士の離職が多発し深刻な人材不足となっている。根本要因は、国の低い保育士配置基準。保育中の迷子や、命に係わる事故の発生なども要因は同じ。
 諸外国との比較でも劣悪であり、4,5才児に至っては70年前の基準が変わっていない。
 多くの保育園が基準を上回る配置をおこなっており、全国13県で独自の支援をおこなっている。本県でもこうした加配支援措置をおこなってはどうか。
 また、県は政府に対して、基準の改善について、関係者の努力を評価しながら、これまで以上に強く求めてもらいたい。
しあわせ子育て応援部長 は県独自の支援は、保育士確保も必要となり、相当の財源が必要になることから、他県先行事例を参考に研究していく。
 現場の状況把握は引き続き丁寧に聞き、しっかりと状況を把握したい。
 保育士配置基準の改善は、以前から政府が「財源を確保して実施する」とされているが未だ実現されていない。国の将来を支える子の育ちに関わるもので、政府の責任において実施すべきものであることから、給与水準の引き上げによる保育士の更なる処遇改善とともに早期に実施するよう、政府に対し引き続き強く求めていく。
関徹 政府は、指導監査から「実地で行う」という要件を削除することを提案している。全国で死亡・意識不明に至るなどの重大事故が、2020年までの4年間で2.3倍に急増、1081件に達する中で、とんでも無い規制緩和策。本県は「100%実地監査している」が、監査を行う県職員の負担も大変大きいことから、職員体制を充実していくことも保育の質の向上策。
2.看護師養成・確保策、これまでの取り組みと今後の方策は
関 看護師不足は日本の医療の重大課題であり、本県も対策に取り組んできたが需給推計でもR7年度644人の不足見込み。
 更に、コロナ医療、業務の拡大、保育、介護、医療的ケア児、医師不足などなど、看護師配置のニーズが年々拡大しており、更なる対策強化が必要。
 本県は看護学校の定員が人口比で全国下から2番目、高齢者人口比では全国最下位。
 以下5点提案。
 1、奨学金の拡充。
 2、高校の進路指導や一日看護師体験などで、3年制専門学校にメリットがあること、男性にもやり甲斐ある仕事であることなど情報を十分に提供する。
 3、社会人の修学の支援。
 4、県内医療機関に就職する看護師にむけた支度金制度創設。
 5、県立保健医療大の定員拡大と地域枠の拡大、同山辺高校の定員拡大、県内養成校に定員拡大を再度働きかける。

健康福祉部長 提案を踏まえながら、実効性のある施策展開に向けてさらに研究検討を重ねる。なお、養成施設の定員拡大は、教員の確保や新たな施設整備などの課題があることに加え、近年では県内の養成施設のうち複数の施設で定員に達していない状況が続いていること、少子化により若年層の人口減少が進むなかで将来にわたって安定的に学生を確保できるのかという点も含めて、長期的な視点も含めて多様な角度から検討を進めていく必要がある。
 少子化で看護学校の応募が減る傾向が出ているが、看護師を増やしていくことは社会の要請であり、山形県の場合はそれが他県に比べてまだまだ少ない。
 この度は改めて、養成学校、官民の病院、高校などお話を聞いて提案した。「これまで以上に頑張る」という姿勢で取り組んでもらいたい。

2―2.庄内の看護師養成・確保を
関 庄内は県内でも不足が特に深刻。看護職に占める准看護士の割合も高いが、その学校も募集停止となった。大きな要因の一つは、当時の県立日本海病院の独法化に伴って大量の看護師採用があったことと、7対1看護基準取得のための採用拡大があったこと。H27年に、深刻な看護師不足について対策を求める署名が2万3千人分県に寄せられ、私、同年6月議会で取り上げた。
 知事は、需給ギャップ解消に努力すること、要望書を現場の声として重く受け止め、県内の看護学校等に対し定員増と県内定着率向上について働きかけたこと、学校及び市町村等から話を丁寧に聞きながら対応すること、など答弁した。
 その後、庄内の看護師数はH28からR2にかけて95人増えたが、「開いた穴」は塞がらなかった。現在も看護師不足による病床の休止が続き、庄内開発協議会の県へのR5年度重要事業要望でも「看護職員の確保は喫緊の課題であり、特段のご配慮をお願いしたい」と切望。
 そうした中で、鶴岡市が市立荘内看護専門学校を建て替え、令和7年春から定員を拡大する。鶴岡市の英断だが、少子化で県内各校の入学試験の倍率低下が進む中で、入学者確保は容易なことではない。
 県は内陸には県立の保健医療大、山辺高校を設置しているが、庄内には県立学校は無く、鶴岡と酒田の自治体立2校が養成を担っている。定員拡大は県としても歓迎すべきことであり、庄内の対策として重視し、支援していくべきではないか。
健康福祉部長 本県の人口十万人あたりの看護職員数は令和2年で1464.3人、全国平均の1315.2人を上回っているものの、地域による偏在も課題。庄内地域は平成30年1423.2人が令和2年1479.6人と4%増加、全県の伸び率3.2%上回って県内の地域別で最も大きな伸び。看護師養成施設の施設設備整備の支援制度は、民間の施設には地域医療介護総合確保基金を活用した支援が可能だが、公立の施設には活用できず、基本的には設置者による地方債活用などが考えられる。
  荘内看護専門学校では施設の老朽化や狭隘化から校舎の移転新築事業が計画されており、現在の入学定員を拡大する方向で検討されていると聞いているが、今後、鶴岡市から具体的な相談があれば、県としてどのような対応ができるか検討してまいりたい。
 相談に乗るという答弁歓迎する。

2―3.看護師処遇改善と確保の決意を

 日本医労連2021年度夜勤実態調査は、「長時間2交替夜勤が過去最高」、「ILO勧告の基準を満たさない12時間未満の短い勤務間隔がいまだに5割以上」、「コロナ禍による医療体制ひっ迫」にも「いまだに増員の具体策は何も示されていません」、などなど、看護師が働き続けるために労働条件の抜本的改善が喫緊の課題であることを改めて明らかにしている。
 加えて、コロナ禍では、感染のストレス、「旅行、イベント、外食」など日常生活の厳しい制約、さらに一部では医療従事者に対する偏見にも見舞われた。それらは、すべての職場の問題の、家族も友人知人も巻き込んだ問題。山形県医労連の調査にも同様に示され、同組合の県要望で知事もお話を直接聞いておられる。
 看護師の過重な負担を軽減していくことは、「コロナ克服、経済回復」の必須の課題でもある。
看護師対策の更なる強化が求められている。
 根本的解決策である労働条件改善のために、看護基準・診療報酬など制度の問題も捉え直し、国への必要な提言もおこなっていってもらいたい。
 何としても看護師不足解決を図るという決意を、看護師へのメッセージも含めてお示し頂きたい。
吉村美栄子知事  医師・看護師をはじめとする医療従事者の皆様には、日頃より県民の命と健康を守る医療福祉現場の最前線で大変なご尽力をいただいておりますことに、改めてこの場をお借りして敬意と感謝を申し上げたい。特に今般の新型コロナのでの対応のため昼夜を問わず懸命に取り組んでいただいておりますことに、大変ありがたく、そして心強く思っている。
地域の医療と福祉を支える大きな力である看護職員は、夜勤を含む交代制勤務などにより厳しい勤務環境に置かれている方も多いことから、健康で安心して働き続けられる環境整備が必要だと考えている。
このため、県では山形方式看護師等障害サポートプログラムの施策の柱の一つとして、離職防止を掲げている。厳しい勤務環境の現状を踏まえ、平成27年度に山形県医療勤務環境改善支援センターを設置している。
具体的には山形労働局と連携し労働時間や勤務形態の管理、休暇取得の促進などの取り組みを進める医療機関に対して、労務管理や医療系の専門家を派遣し、アドバイスを行うなど勤務環境の改善を職場の実情に応じて支援している。
なお、看護師配置基準や診療報酬制度は、政府において必要な調査研究を行い、慎重な議論が行われていると認識。引き続き政府の動向を注視していく。
合わせて政府に対しては各都道府県の取り組みを支援するとともに、医療従事者の確保を強力に推進するよう全国知事会を通して要望している。今後も看護師の働く環境の改善などの取り組みを通して、看護師の確保定着をより一層推進し、県民の皆様が地域で安心して必要な医療を等しく受けることができる社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいりたい。
 看護師が置かれている状況について、県立病院、民間、自治体病院、しっかり実情をつかんで、国に提言をしていただきたい。看護師とその家族のみならず、看護師を目指す中学生・高校生も含めて関係者を激励するあたたかいメッセージを頂いた。看護師は女性労働者の中で最大の人数を占めている職種であり、知事の言葉は働く女性へのエールとしても意義深いもの。

3.水田活用の交付金見直しと、食料自給率引き上げへの農政の転換を

 国連食糧農業機関の報告によると、この20年余りの世界的な食料需給の逼迫で、食料価格指数は今年2月に過去最高を更新、そこに、ウクライナ危機が加わり、「第二次世界大戦以来の食料危機」の到来の危険が叫ばれている。食料輸入は困難となっていくことは明白。
 ところが日本では、2015年3月閣議決定の食料・農業・農村基本計画で「2025年度に食料自給率を供給熱量ベースで39%から45%)に引き上げる」としていたものが、2020年度に37%と過去最低に低下。
  同年の農林業センサスは、経営耕地面積が20年間で13.4%:50万ヘクタール減少、基幹的農業従事者は43%減少、従事者中の65才以上の割合は69.6%と、減少の更なる加速化が確実視。
 若干の数値の違いはあるが、農業県である本県での影響の深刻さは特別。
 原因は明白。TPP、FTA、米直接支払い交付金廃止などなど、歴代政権が進めてきた際限のない輸入自由化政策、機械化・大規模化した農家だけ生き残ればいいという農政が農業・農村を崩壊させ、生産を縮小させてきた。昨年からの米価の大暴落に関しても、MA米輸入は聖域とするなど、岸田政権もまともな対応をしていない。
 今度は水田活用交付金の大幅縮減の方針で、「これまでまじめに生産調整に協力してきた我々を、足蹴にするものだ」と怒りと落胆が広がっている。
 知事は2年前の6月議会で私の質問に答えて、「コロナ禍の4つの教訓」を述べたが、その一つが食料自給の確保。今回は、農業と食料の危機という角度から改めて伺う。
 今申し上げた点に加えて、国土保全、環境保全、農村再生など、SDGSの観点からも、国民の食料を自給できる国、農業が栄える国になることは喫緊の課題。
 食料自給率引き上げが可能となるような農政、二重三重の苦境にあえいでいる本県農業者が希望を持って農業を続け、子や孫に受け渡す事ができるような農政への転換を政府に強く求めていく必要があるのではないか。
 水田活用の交付金「見直し」などはそれに逆行する最たる施策だが、秋田県知事は、「つぶそうというくらいのきもちで要請活動をやる」と言われた。所見を伺う。
吉村美栄子知事  食料自給率は食料商品について国産でどの程度、賄われているかということを示す指標であり大変重要な指標。
しかし、大変残念なことに我が国の食料自給率令和2年度のデータで、カロリーベースで37%と低迷。ちなみに農林水産業基盤産業とする山形県では145%。県民、国民の命を支える重要な農林水産業だが、担い手の減少や高齢化の進行、コロナ禍の長期化に伴う米価の下落など非常に厳しい状況が続いている。加えて輸入農産物の価格上昇、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原料資材価格の高騰など、世界情勢によっても大きな影響を受けている。
食料の安定供給を図るためには、主要食糧の持続的な生産を図るとともに、輸入に依存している農産物や飼料用作物の国内生産を進めるなど、食料自給率をより一層高めていく必要がある。政府指導による国全体の取り組みが重要。
本県の多様な農業者が希望を持って営農を継続できるよう各種施策に取り組むとともに、政府の支援策を活用しながら揺るぎのない食料供給基地として我が国の食料自給率向上に大いに貢献したい。
水田活用の直接支払交付金は、本県でもこれを最大限活用して、需要に応じた米生産に取り組んできており、今回の見直し方針は、営農意欲の低下による離農や耕作放棄地の拡大を始め、特に中山間地域の農業の衰退など本県の水田農業のあり方に大きく影響を与えることが懸念される。
このため、今年の5月25日に政府に対する政策提案を坂本議長と共に行ったが、その時にも交付水準の維持や十分な予算の確保、交付対象水田について地域と丁寧に意見交換を行い影響等を十分踏まえて検討することを提案してきた。
生産者はもとより市町村や農協など関係者とも十分に意見交換を行い、引き続き現場の課題や影響などを政府に提言し、その改善を働きかけてまいりたい。
 東北6県で力を合わせて、「ぶっ潰す」ような気持で当たっていただきたい。
食料自給率に畜産の飼料はカウントされていますが、肥料はカウントされていない。食料自給は37%よりもっと深刻ではないか。
3-2.堆肥の利用拡大を
  農産物の生産で欠かせない肥料だが、日本ではその99%を占める化学肥料の多くを輸入に頼っている。ウクライナ危機で、価格の高騰だけではなく、量的に確保する事も見通しが立たない。
 元より、農薬や化学肥料を減らしていくことは、安全安心な食料提供のための重大課題であり、SDGSが農業に強く警鐘を鳴らしている課題の一つ。
 本県も「持続可能な農業推進計画」に取り組んでいる。政府も「みどり戦略」で有機栽培面積を50倍にするというスローガンは掲げている。
 高騰する肥料価格の支援はもちろん最重要だが、併せて、堆肥の利活用を進めていくことは、生産維持のための緊急対策でもある。
 堆肥の製造拡大は、畜産農家からの強い要望でもある。
 一方、耕種農家では、化学肥料と比べて価格、運搬・散布の費用と手間、作物毎の栽培技術、更には堆肥センターの管理・運営の困難などが堆肥利用の制約になっいる。
 課題を解決して、製造拡大、利活用促進を図るべきではないか。
農林水産部長  県ではこれまでも国庫補助事業や県単独事業により家畜排泄物の処理、利用のための施設機械の整備に対する支援や堆肥成分の分析指導などを行い、堆肥の利用を促進してきた。
政府も堆肥のペレット化や高品質化を支援する取り組みを展開して利用を促進。
利用拡大には、堆肥生産側の畜産農家や堆肥センターの施設の老朽化や機械更新の財政負担が大きいこと、耕種農家が利用しやすい堆肥を生産するための労力に余裕がないことが課題。
利用側の耕種農家も、堆肥を散布する労力不足や堆肥に重量があるため取り扱いに苦労するといった課題。堆肥利用を促進することは循環型農業、資源を有効に利用する農業の推進に資する他、価格が高騰する化学肥料の使用量の節減が期待できるなど、メリットは大きい。最上地域では堆肥を多く使用できるアスパラガスの生産を振興し、堆肥の利用が進んでいる。
一方、豚の飼養頭数も水稲の作付面積も多い庄内地域では、窒素が効きやすい豚糞堆肥は水稲への使用量を抑える必要があるため、多く利用されないなど堆肥の利用には地域的な偏り。
県としては、堆肥の更なる利用拡大に向けて耕種農家や畜産農家の意見を丁寧に聞きながら、耕畜連携の促進など効果的な支援策を検討していく。
 現下の肥料高騰は農家に耐えがたい負担。この間相次いだ災害被害に更に加わる打撃は、営農継続の意欲を奪うとどめになり兼ねない。政府も何らかの対応を検討し始めたと聞くが、県としても出来る限りの支援策を検討することを要望する。
4.県立中高一貫校の男女別定員について
  県立東桜学館中等学校入学者選抜での「性別による難度の差」の問題。①同校中等学校の入試で、小学校の成績と当日の得点の合計の他に、男女同数程度とするという選抜がおこなわれている。
 男女で入試の難度に差が生じているのではないか。倍率はどれぐらい違っているのか。最低合格点はどのぐらいの差が生じていたのか。
教育長 県立東桜学館中学校は、平成28年度開校、中等学校の入学者選抜の方針の中で「男女別の定員は同数程度する」と定め。理由は、市町村立の中学校で男女がほぼ同数となってることや、体育学校行事や部活動等の教育活動において安定的に運営できること等。
今年度まで7回の入学者選抜、男女別の倍率は男子が高い年度もあれば、女子が高い年度もあり、直近の令和4年度入学者選抜では、男子1.81倍女子1.67倍、男女の合格最低点の差は、300点満点で一点未満。
関 男女で合格点数に差があったということ。
 入学試験は、客観的な基準で個人の能力を測り、公平・公正に選考しなければならないものであり、個人の能力と無関係のことで差が生じる可能性がある方法、性による差別の疑念が生じる方法は適切ではない。
東京都が全国の都道府県で唯一、都立高校の入試を男女別定数でおこなってきたことに対して年々批判が強まり、ついに今般見直される。昨年は、教員の有志団体が記者会見を開き、また、有志弁護士の会が都に意見書を提出。「個人が『その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利』」の侵害や「性別による差別」などにあたること、女子差別撤廃条約にも反するなど指摘。
 東桜学館の場合、中等学校であるという相違点もあるが、「男女同数程度が望ましい」という行政の目的を優先することで、損なわれるものは大きい。
 「男女別の定員は同数程度とする」という選考はやめるべきだし、これから開校する庄内中高一貫校では採るべきではない。
教育長 近年、性に対する意識の変化に伴い男女別の定員設定により、男女で合格最低点が異なる可能性があることについて、性による不平等が生じるとの指摘がなされている。
昨年度から中学校で実施されている、新学習指導要領では体育において男女が一緒に取り組む男女共修を推進することが初めて明記され、学校行事や部活等においても、性別を問わない形での活動が実施されている。
こうした状況を踏まえ東桜学館中学校では、令和6年度の入学者選抜から男女別の定員を撤廃する。合わせて令和6年度に開校する庄内中小一貫校仮称でも同様の方針で実施すると今年3月に決定し、各小中学校及び町村教育委員会に通知するとともに、県ホームページに公表し、広く周知を図っている。県教育委員会は、公平な入学者選抜を実施することにより、児童生徒が性別にとらわれることなく、将来の夢に向かって努力できるよう環境づくりに努めていく。
  選考方法の見直しは当然の対処。東桜学館の来年度の選抜から改めること、ジェンダー平等への配慮を教育行政のあらゆる場面で徹底する努力を求める。
4-2.学校におけるジェンダーフリーについて
 一昨年12月に発表された政府の第5次男女共同参画基本計画では、政策の柱の一つに「教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進」を挙げ、施策の基本方向として、学校教育と社会教育において男女平等の理念を推進する教育・学習の一層の充実を図る」。
 また、独法国立女性教育会館=ヌエックが毎年一回出版している実践報告書の昨年号は、「学校教育とジェンダー平等」を特集、R2年には文科省の委託事業として、教職員向け研修プログラムを作成するなど、国の男女共同参画推進の中核施設の立場から、学校教育における事業の推進に力を割いている。
 他に、今年5月5日には、「中等教育からはじめよう!ジェンダー平等 誰一人取り残さない、誰もが暮らしやすい社会の実現をめざして」という公開シンポジウムが、日本学術会議と日本教育学会の共催でおこなわれている。
 こうした事業の中では、学校のアンコンシャスバイアスについて具体的例示も多々挙げられている。
 学校の中にアンコンシャスバイアスが存在することは、社会のあり方の反映。ヌエックの特集は「隠れたプログラムの発見と是正が、ジェンダー公正な社会に向けて学校ができる、最大の取り組みだ」と指摘。
学校での具体的テーマの一つとして、性別に関わらずスラックスを選べる制服や、学級名簿等を性別で区別しないで作成することなどの状況はどうか。
教育長 公立高等学校では約90%の学校で女子生徒がスラックスを選択できる。中学校も女子生徒がスラックスを選択できる学校が増えており、導入していない学校でも、希望する生徒がいる場合には、個別の対応を検討する学校もある。
名簿では、県教育委員会では平成27年に文部科学省から出された性同一障害に係る対応についての通知を踏まえ、男女の性別で区別しない名簿を取り入れるよう働きかけを行ってきた。その結果、令和3年度は小学校62.5パーセント中学校55.3パーセントの学校で取り入れられ、令和元年度の約2倍。
導入に向けて検討中の学校を合わせると、小中ともに約80%、堅調に増加している。
また、公立高等学校ではすべての学校で男女の性別で区別しない名簿になっている。
 制服と名簿について、数字の点検ではなく、あり方を考えることの必要性に気づくようにする事が大切。
4-3.男女平等教育計画の策定を
 ジェンダー平等の教育は、小中校のそれぞれにおいて様々な教科等の中に含まれている、と学習指導要領の記述から読み取れる。
 同時に指導要領は、ジェンダー平等という教科や活動などは定めておらず、全国のいくつかの県では、ジェンダー平等の教育課程を独自に組むなどの取り組み。
 例えば福岡県では、「男女共同参画教育指導の手引き」を作成、学校での全体計画・年間計画の策定、DVについての指導、教員研修などを進めてきた。
 鳥取県では、男女共同参画の視点に立った人権教育学習事例集をH16年に作成、教職員の研修の実施や学校の現状の振り返りのためのチェックシートなども活用している。
 既に相当の期間、学校教育で計画的に進めている県市町村もあるということ。
 男女平等教育の計画を策定し、まずは教職員研修を始めとして取り組みの推進を図ってはどうか。
教育長  男女共同参画社会の構築は、性別に関わらず個人として尊重されそれぞれの個性や能力が発揮されることにより、誰もが暮らしやすい社会の実現、ひいては将来にわたって持続可能な活力ある地域社会をつくり上げる上で極めて重要と認識。
男女共同参画社会の実現に向けては、子供の頃から人権の尊重や男女の平等、男女の相互理解と協力の重要性さらには、家庭生活の大切さなどについて教育を充実させていくことが肝要。
各学校では道徳の時間での個性の尊重にかかる人権教育や家庭科での家庭生活と役割分担のあり方の学習など各教科の中で発達段階に応じた指導が行われている。
普段の学校生活の中で性別による役割分担ではなく、個々の意欲に応じて役割を決定するなど様々な場面で男女平等の理念を尊重した取り組みを促している。
これらの取り組みを進める上で教職員の意識の醸成を図っていくことは極めて重要。
このため昨年度、県教育センターの発行する機関誌に男女共同参画等に係る特集を掲載したほか、本年5月には管理職向けの教員倫理研修の中でジェンダー平等をテーマとした講演を行うなど取り組みの強化を図っている。
第6次山形県教育振興計画後期計画では、目指す人間像の一つに「命をつなぐ人」を掲げ、多様性や個性を受け止め、他者の命や生き方を尊重する児童生徒の育成に取り組むこととしており、各学校現場で、様々な取り組み。次期教育振興計画の策定でも、引き続き男女共同参画の理解を深め男女平等の精神を涵養する教育の推進についてしっかりと検討してまいりたい。

5.憲法の平和主義について
 ロシアのウクライナ侵略を契機にして、日本の軍事強化の主張が強められている。①敵基地攻撃能力の保有、②防衛費2%への増額、③核兵器共有、の3つの主張、そして憲法九条改正。
 世論調査では、これらを容認する声の増加、戦争の暴虐・悲惨の報道を視ての危機感の反映。
 軍事力強化は、軍事対軍事の悪循環を招き、平和を守るどころかむしろ戦争参加の危機を高めるものとなる危険が大。
 3つの問題は、国民の心に根をおろした日本国憲法の平和主義を大きく逸脱し、平和主義に立脚して形成されてきた、専守防衛、必要最小限度の自衛力の保持の立場からの防衛予算制限、非核三原則等など、国是というべき諸原則を放棄するもの。
 世界と日本の平和のためには、ASEANのように、紛争が戦争に結びつかないようにする包括的な平和維持の枠組みを世界に構築していくことこそが必要であり、日本政府には、九条の理念に基づく平和外交を積極的に展開していくことこそが求められている。
 今、3つの問題について、新聞各社からも厳しい報道がおこなわれ、県民の中にも大きな疑問と不安が広がっている。
 知事はこれまで「憲法改正の是非については表明しない」という考えと同時に、 「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義」を基本原理として大切なもの、憲法改正の議論の場合でも大切にされるべきものという趣旨の事を述べてきた。
 今日の質問で、子育て、医療、農業の分野で、県民の暮らしが如何に困難な状況におかれているか、それを支えていくための予算確保が如何に切実かを述べてきたが、現在の国の財政状況の下で、年々拡大し、既に国民生活を圧迫している防衛費をこれ以上増やしていくということが、県民生活、県政運営に極めて重大な影響をもたらすことは火を見るよりも明らか。
 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の2022年版によれば
 国際統計専門サイト、グローバルノートによれば、
今でも日本は軍事費で世界9位の軍事大国であり、GDP費2%なら3位に跳ね上がる。
 またこの間、秘密保護法や盗聴法などなどの治安立法が制定。戦時体制のための基本的人権の制約。
 教育でも、教科書から過去の日本の侵略の事実を記述する内容を外す動きが強まると共に、軍事力による国防の意義も強調されている。
 しかし憲法は、政府に、核兵器廃絶、軍備の縮小や軍備の撤廃実現を目指して努力することを求めており、教育では、その重要性を、命と平和の大切さと共に伝えていくことこそが最も必要なこと。
 安全保障とは、国民の基本的人権を守ることであり、暮らしを蔑ろにして防衛費を増やすというのでは本末転倒。
 知事が述べてきた平和主義の内容はどのようなものか。平和主義を守ることの大切さを県民に呼びかけ、内外に発信して貰いたい。
吉村美栄子知事 ウクライナを巡り、我が国を含む国際社会が事態の打開に向けて、懸命な外交努力を重ねてきているが、今なお激しい戦闘が続いており、日々、人的物的被害が拡大している。私としても報道を見るにつけて胸を痛めている。
ロシアによる軍事進攻は、ウクライナ国民が有する平和のうちに生存する権利を侵害するものであることは明らか。政府においては国際社会と連携し、制裁を含め、あらゆる外交手段を駆使してウクライナの平和を取り戻すことを強く求めて頂きたい。こうした厳しい国際情勢の中で、我が国の安全と繁栄は、国際社会を含めた平和と安定なくしてはありえない。
日本国憲法における平和主義は、第二次世界対戦の悲惨な体験を踏まえ、戦争についての深い反省と恒久平和の願いに基づいて、基本原理として取り入れられたものであり、現在の日本は国民主権、基本的人権の尊重を含めた三つの基本原理のもと、国民一人一人の努力の積み重ねにより形作られている。
恒久平和は県民、国民の希求するところであり、私たち自身が将来の世代に繋いで行かなければならないもの。
今年は沖縄の本土復帰50周年。代表質問でも答えたが、先の大戦では国内外で多くの方が亡くなられ、本県出身者も38004名もの尊い命が失われ、沖縄戦でも約800名の方々が亡くなられた。終戦から77年の年月が過ぎようとしている。我が国においても、太平洋戦争の悲惨な経験を直接体験された方々は、次第に少なくなりつつありうが、こうした時代だからこそ、今に生きる私たちがすべての国民が平和の尊さを深く認識し、過去の体験を将来世代へと語り継いでいくことが重要。
戦争のない平和な世界を希求する声がかつてなく高まっている今、県民の皆様がいつまでも平和で安心して暮らすことができる社会を守り続けていくということを知事としてしっかりと念じて、申し上げていきたい。



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