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アップリンク渋谷が閉館

2021年04月23日 | +映画のよもやま

渋谷にあるインディペンデント系の小さな映画館「アップリンク渋谷」が、2021年5月20日をもって閉館するというニュースを目にしました。

アップリンク渋谷閉館のお知らせ

アップリンクは、1995年にイベントスペースとしてはじまり、2004年に渋谷東急本店の奥、今は通称 ”奥渋” とよばれるエリアの一画に日本一小さい映画館としてスタートしました。

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私のブログを振り返ると、初めて訪れたのは2011年とあります。会議室のような小さい空間にばらばらの椅子が並べられ、手作り感満載の温かい雰囲気が、心地よい思い出として記憶に残っています。

ここで上映される映画は、映画人の強い思いが実って公開された作品ばかり。ここでしか上映されていない作品も多く、私もドキュメンタリーや、あまりなじみのない国の映画など、どうしても見たい作品があって、この映画館に何度か足を運びました。

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過去にアップリンクで見た作品の過去記事を引用させていただいて、アップリンクがどういう映画館だったかをお伝えするとともに、惜別のメッセージに代えたいと思います。

グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独 (Genius Within: The Inner Life of Glenn Gould)

大好きなピアニスト、グレン・グールドの伝記的なドキュメンタリー映画を見に訪れたのが、私のアップリンクとの出会いです。

生い立ちから音楽家としてのさまざまなエピソード、演奏シーンと、グレン・グールドの魅力をたっぷり堪能しました。初めて訪れたアップリンクの印象についても触れています。

ふたりのイームズ 建築家チャールズと画家レイ (EAMES: the architect and the painter)

こちらも大好きなアメリカのミッドセンチュリーモダンの建築家、デザイナーである、チャールズ&レイ・イームズ夫妻のドキュメンタリーです。デザイナーとしての活躍の他に、映画製作などさまざまな活動についても知りました。

アップリンクの受付で購入したイームズの本は、今も大切にしています。

オマールの壁 (Omar)

初めて見たパレスチナ映画は、衝撃で見た後もしばらく打ちのめされる、でもすばらしい作品でした。今も心に残っています。

映画を見たあとで、アップリンク1階のエキゾチックなカフェで、タイアップメニューのアラブのお茶とお菓子をいただいたこともうれしい思い出です。

サーミの血 (Sameblod / Sami Blood)

スウェーデン北部の少数民族サーミの血を引く監督の長編デビュー作で、サーミの人たちによって演じられています。サーミの人々と、彼らのたどってきた苦難の歴史について知り、衝撃を受けました。この年のベストにも選んでいます!

こうしてラインナップを見てみると、やはりアップリンクは唯一無二の映画館だったのだなーという思いを強くしています。

アイリッシュマン (The Irishman)

ここなつさんからコメントをいただいて、本作のことを思い出しました。男気あふれる (という言い方は今の時代にはポリコレ的にふさわしくないかもしれませんが) マフィアの世界に魅了されました。

本作は Netflix での配信映画でしたが、アップリンクが劇場上映してくれたことで、私も見ることができました。映画ファンの気持ちによりそう、アップリンクならではの心憎い企画でした。

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