すっかり遅くなりましたが、最近劇場で見た映画2作品をまとめてアップします。偶然ですが、どちらもリメイクの作品です。
スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」(En man som heter Ove / A Man Called Ove)のハリウッドリメイクで、主人公の偏屈な老人オットーをトム・ハンクスが演じています。
冒頭オットーが、ハードウェアショップでロープを買おうとして、店員さんにからむ場面にちょっぴり辟易としてしまいましたが、ロープを5フィート買おうとしたら、ヤード単位だからと、2ヤード(6フィート)分請求されてキレるやりとりは、個人的にはツボでした。^^
本作のキャッチフレーズに「町内イチの嫌われ者」とありましたが、逆でしたね。オットーが町内の人たちとの交わりをことごとく避けているのに、町内の人たちは誰も怒らず、オットーのことを気にかけ、かかわろうとします。
近所の人たちの善良さに頭が下がりましたが、それもこれもオットーの亡くなった妻ソーニャの人徳によるところがかなり大きかったものと思います。
しかもオットーは年老いてから偏屈になったのかと思ったら、若い頃から自分を曲げない頑固者だったのですね。ソーニャが、そんなオットーのどこに惹かれたのか? 個人的には不思議でしかたがなかったです。^^;
エンドロールを見ていたら、若い頃のオットーを演じていたのがトルーマン・ハンクスとあって驚きました。映画を見ている間は気がつきませんでしたが、トム・ハンクスの息子さんだったのですね。トム・ハンクスの妻リタ・ウィルソンも、本作の製作に加わっています。
黒澤明監督の「生きる」を、カズオ・イシグロの脚本でリメイクされたイギリス映画。カズオ・イシグロの脚本、そしてビル・ナイが主演するというので楽しみにしていたところ、なんとまだ~むさんが試写会に誘ってくださいました。わ~い、ありがとうございました。
映画の舞台は黒澤明監督の「生きる」と同時期のロンドンですが、登場人物たちのきちんとした服装や古めかしい会話、机の上にうず高く積み上げられたお役所の書類の数々など、ロンドンという舞台が、驚くほどに違和感なく、昭和の東京にマッチしていました。
長年お役所で無為に生きてきたウィリアムズ (ビル・ナイ) が、死期を悟って急に人生を楽しもうとし、初めて仕事に目覚めるお話ですが、黒澤明&カズオ・イシグロの強力タッグで、文学色の濃い格調高い作品となっています。
個人的に思ったことは、毎日を大事に生きることがいかに大切かということ。人間、急に変わろうとしても変われるものではなく、これまでの積み重ねの先に、明日の自分があるのだということを痛感しました。
それでも、人生のスイッチが入るタイミングは人それぞれで、いつスイッチが入ったっていいんだよ、と優しく背中を押してくれる作品にもなっていたように思います。