ジェレミー・レナ―&エリザベス・オルセン主演、ワイオミング州のネイティブ・アメリカン保留地を舞台にしたクライムサスペンスであり、社会派ドラマ。「ボーダーライン」で脚本を手掛けたテイラー・シェリダンが監督を務めています。
ワイオミング州ウィンド・リバー保留地。野生生物局のハンター コリー(ジェレミー・レナ―)は、道路から遠く離れた雪原で先住民の少女の死体を見つけます。彼女はコリーの亡くなった娘の親友ナタリーでした。ナタリーには暴行を受けた跡がありましたが、直接の死因は寒さによる肺出血であり、事故死と認定されてしまいます。
事件の捜査のためにFBIから派遣されてきたのは、新人捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)ただひとり。経験が乏しく、厳しい自然に慣れていないジェーンは、この地をよく知るコリーに捜査の協力を依頼し、2人は真相を明らかにすべく捜査を開始しますが...。
本作を見て思い出したのは、メリッサ・レオ主演の「フローズン・リバー」(2008)。カナダとの国境に住む貧しい白人と先住民の女性が、密入国の手助けに手を染めるというストーリーでした。そして本作は、先住民が抱える問題や彼らの苦難にさらに深く食い込んでいて、よりいっそう心にずしりと響く作品でした。
かつてアメリカ大陸を自由に駆け巡っていた先住民族たちは、ヨーロッパからやってきた白人によって住む地を奪われ、国内各地にある荒れ果てた土地に移住させられました。環境は劣悪で、自治といえば聞こえはいいですが、人々は国から見放され、貧困の中で凶悪犯罪が横行することとなります。この地では今も多くの女性が行方不明になっているそうです。
過酷な環境ゆえにさしたる産業はなく、人々が就ける仕事は、カジノや石油採掘などのいわゆる”汚れ仕事”ですが、どちらも近年、アメリカ国内の大きな社会問題となっています。(興味のある方は インディアン・カジノ(Wikipedia)、ダコタ・アクセス・パイプライン(HuffPost) を読んでみてください)
映画では、先住民の少女ナタリーがなぜこんな悲惨な死に至ったのか、真相を追うミステリーの形を取りながら、この地に住む人々の困難と理不尽をリアルに暴き出していきます。私たちは、この地に派遣された新米捜査官ジェーンの目を通して、ここがどういう場所なのか知ることとなります。
何も知らずに極寒地に装備なくやってきたジェーン。でも肺の血が凍るほどの寒さなんて誰が想像できるでしょうか。ジェーンは誠実なコリーと行動をともにしていく中で、正義感に突き動かされていきます。恐れることなく真実に立ち向かっていく姿に心を打たれました。
ストーリーは重厚で、きつい場面もありますが、映画としての見せ場も用意されています。クライマックスの銃撃戦は、まるで西部劇のような迫力がありました。そういえば本作の舞台であるウィンドリバーは、「シェーン」(1953)の舞台となったグランドティトンの近くでもあります。
悲しい事件ではありますが、それでも一抹の救いを感じたのは、亡くなったナタリーに尊厳が与えられていたこと。彼女はあの寒さの中、裸足で何十マイルも走った。誰にもできないことだと、コリーはその強さを讃えたのです。
私はチャールス ブロンソンの映画を思い出しました((^^;; 今でも少女が行方不明になる、みたいなラストの言葉でゾッとしました。ちょっとフィクションなんですよね、この映画。
そうなんですよね、自治区といえば守られた地域みたいな感じもしますが、追いやられてここから出てくるなって事なんですよね、こういうダブルモラル的な事を皆がもっと知るべきだと思います。過去は過去とか、しらばっくれるでもなく、ちゃんと向き合うことが大事だけど、アメリカは複雑です。そこまで大人じゃないですから。
いいストーリーでした。
私、エリザベス オルセンって知らず、「双子のオルセンに似てるな〜猫背な感じもそっくり」ってその場でググったら妹だと知ってびっくりでした。そっくりですよね。
Schatziさんもこの作品、ご覧になったのですね。
ずっしりと重い...でもいい作品でしたね。
悲惨な事件ですが、不思議と後味がそれほど悪くありませんでした。
あの女性捜査官の成長物語になっていたし
亡くなった女の子の弟?兄?がドラッグをやめて帰ってきたり...
とわずかな救いがあったからかもしれません。
先住民の人たちも今はほとんど保留地を出ているとも聞きました。
でも出るに出られない人もいるでしょうし...
そうした人たちが安全に暮らせる場所であって欲しいですね。
エリザベス・オルセン、すごくチャーミングな女優さんですね。
この映画を見て好きになりました。
双子のお姉さんたちも女優さんでデザイナーなんですねー。
美人一家ですね。(^_-)-☆
こういう、特定の民族が住む場所を追いやられて限定された場所で生きていくしかない状況というのは、様々な場所で起こっていますよね。
本作は、そこに犯罪サスペンスの要素を入れていますが、「ボーダーライン」のようにそんな社会の歪みを問いかける作品になっていたと思います。
一生消えない傷がその土地に残るのは悲し過ぎるけれど…だって、それでも彼らはその場で生きていかなければならんいのですものね。
ここなつさんもご覧になった「サーミの血」も
ラップランドに追いやられたサーミの話でしたよね。
アメリカの先住民も、サーミと同じく、かつては子どもだけが引き離されて
ことばを奪われ、英語を強制的に教えることがあったようです。
本作は「ボーダーライン」と同じく、ある特定の地域の社会問題を追及した
骨太の作品でしたね。
なかなか声を上げられない人たちのために、こうした作品が作られるというのは
とても意味のあることだと思います☆
私も思い出していました「フローズン・リバー」どちらも好きな映画です。
こういった淡々とその「理不尽さ」を炙り出す展開は、より一層その地域や人々の窮状を訴えるのに効果的ですよね。
何も知らないジェーンが観客の目となっているのも良かったと思います☆
フローズンリバーもいい作品でしたよね。
新米捜査官のジェーンの目で描かれていて
少しずつ明らかになっていく、この土地が背負ったさまざまな問題や理不尽
住んでいる人たちの悲しみやあきらめが心に迫りました。
彼女が正義感に突き動かされて真実と向き合う姿がよかったです。
主演の二人がスゴく、スゴく良かったです。
白人がやってきて追い出された先住民の人々の話はBSのドキュメンタリー番組で見たことあります。彼らは酷い仕打ちを受けたようですね。今もそれに似たことがまだ起きているのは実に悲しいことです。
>メリッサ・レオ主演の「フローズン・リバー」(2008)...
やはりこれ思い出しますよね?
重厚で見応えのある作品でしたね。
主演の2人初め、俳優たちがすばらしかったです。
彼らが過去に受けた傷は決して消えることがないですし
今もなお、差別と困難の中にいるというのは悲しいことですね。
フローズン・リバーもいい作品でしたね。