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嫉妬する男とは『大富豪同心』

2021-01-14 07:53:15 | 歴史から学ぶ
「金と権力」はどの時代でも人間を醜くする。この小説は欲に絡む輩から他殺事件を起こし、新米の金蔵息子が町奉行同心として事件を解決していく、というものだ。この事件の発端が「男の嫉妬」である。大名の武家が女方芸人を贔屓することから発生するが、人の妬み、嫉妬は知れば知るほど他人から見れば恐ろしいものだと言うことかもしれない。男と女の「嫉妬」には差がないかも知れないが女の方が深く、長い場合が多いかも知れない。
「力は、あなたの弱さの中から生まれるのです」フロイト
『大富豪同心』幡大輔
老中も一目おく江戸一番の札差・三国屋の末孫の卯之吉が、同心株を買って、定町廻同心になった。腕っ節は全くないが、放蕩三昧を繰り返していたときに得た知識と金力で難事件を、次から次へと解決していく。
・富豪の孫の行く末を案じて卯之吉を町奉行の同心につけると、周りからさまざまな問いが出てきた。見習いの癖に町奉行の奉行に顔が聞き、大枚を叩いてもできそうにない新米の歓迎会に芸者を挙げて料亭を使い、奉行から直接杯をいただく新米。
・事件は芸人殺しが発端となり捜査を開始する。それは結果的に3大座を超える人気を博した女方芸人が大名武士の「男の嫉妬」から事件となった。江戸の芝居小屋の3大座には仕来りがあり、元来町芸人上がりにはこの域を超えてはならない定があったにもかかわらず売れっ子になった女型芸人がそれをやめず、仲裁に入った中村座の女方芸人が止めようとしたことが発端だった。
・その裏には利権と金目当てに動いた輩とその大名の家来たちがおり、卯之吉は幇間と祖父の雇った用心棒、それにヤクザの親方が手助けして一件落着を図る。