柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

治療を続けるか?緩和ケアに入るか?

2022年05月17日 | 私の半径100メートル
「治療を続けますか」
「緩和ケアに入りますか」

そんな問いかけが主治医からされたら私ならどう答えるだろうか。

以前に同じよな質問を受けたことがあります。
義母の介護施設でした。
入所するときに延命はしないとお伝えしてありました。
その日、面会をしたときに元気だった義母ですが夜になって急変しました。
病室で医師からそう伝えられ、私の頭では色々な思いが駆け巡ていました。
一番気になったのは遠方に住む妹のことでした。
一人娘の彼女に合わせてあげなくていいのだろうか・・・
結局、救急車をお願いし、病院で診察を受け一命をとりとめました。
その後も同じような状態に何度か陥り、その間隔は次第に短くなり最期も同じ状態で亡くなりました。
もし昔のように自宅で介護していたら、母は一度目の危篤状態でそのまま逝ったかもしれません。
自然に任せる、とはこのことなのでしょう。

医師から「緩和ケアに入るか」という言葉がでたら、治療をしても回復はできない、むしろ体の衰弱が見て取れるということなのでしょう。
私は多分「緩和ケア」を選ぶと思います。
気になることはいくらでもありますが、きっと最後の時を動かすことはできないのでしょう。
自由の利かない病室よりもその日の具合によって何かできるかもしれない場所にいたいと思います。
家族にはその間、不自由で複雑な思いをさせるかもしれませんが時間は限られているので家族と少しでも共に過ごしたいと思います。
そして自分が死んだ後どうなるのか、自分流の死生観を考えています。私にはこの仮説が役に立っているのです。

今、この問題で悩んでいる方がいます。明るく穏やかに話をされます。
私には何もできることはないのですが、求められれば支えの一つになりたいと思っています。

介護施設でエンディングノートの聴き取り

2022年05月17日 | エンディングノート
以前「エンディングノートの書き方」の研修を受けた方が介護施設から思いがけない依頼を受けたそうです。
「入居されている方のエンディングノートを作成してほしい」と。

目的は入所されている方のエンデイングの希望を記録しご家族と共有する
又、介護にその意向を反映することだそうです。
とても素敵な試みですね。
確かに介護スタッフは忙しそうです。それに費やす時間がないので外部に依頼をしてきたのでしょう。

初めての方は90歳の男性だったそうです。
男性の経歴や思い出話は問題なく聴き取りが済み、葬儀の話をする段になって迷いがあったそうです。
「ご気分を害さないだろうか」と心配をしながら話し始めたら、その男性は、むしろいきいきと葬儀の話をしてくれたというのです。

研修を受けたときに高齢者は死に関する話は嫌がらない。
もしクレームがついたとしても、クレームを訴える人はごく少数派。その他の大多数の人はクレームが言えないのではなく、クレームに感じていないのだ。と教えらえたがその通りだった。
と報告をしてくれました。

そうなのです。
私達は自分の想像だけで相手の気持ちを決めつけていることが多々あります。
介護施設ではできるだけ長生きしてほしいと介護に努めてくれますが
最近ではいい看取りもするところが増えています。
死は挫折でも敗北でもなくごく当たり前のことなのです。
いい看取りができたなら、いい見送りがその場でできると更によい介護施設になると思ませんか。

介護施設で最期の生活を過ごした方が亡くなった途端、まるでいなかった人のように対応されたら
それまでの労りや介護は何だったのか?疑問を感じます。
「他の入所者が葬儀を見るのは嫌がるのでは」という施設側の想像は当たらないと思います。
「あの方は亡くなったのね」「ここなら私も皆に送ってもらえるのね」と感じる入所者は多いはずです。
家族にとっても自宅から離れて何年もたった今、一番故人を知る人たちに囲まれた葬儀を望むのではないでしょうか。
介護施設は入所者にとって地域社会でありそこにいる人たちはご近所の人たちなのです。
そこから旅立つのはむしろ当り前に思いませんか。

エンディングノートの聴き取りを実施した介護施設は入所者を大事に見ていると思いました。
これから同じような介護施設が増えてくるといいですね