以前は花の形の類似性からモクレン科に分類されていましたが現在は
マツブサ科シキミ属とされている常緑性の小高木です。
葉や茎にイリチン、果実にはアニサチンという有毒物質を含み、特に果実は植物界
では唯一、劇物に指定されているほどの猛毒です。
原産地は中国、仏教と関わりの深い植物で、奈良時代中期に唐から日本に渡り
律宗を開いた鑑真和上によってもたらされたと言われています。
土葬が行われていた古い時代には、遺体を荒らす野生動物を遠ざけるため、この有毒
の樒を埋葬場所の回りに沢山植えたり、棺の中にも樒の枝を敷き詰めたりしていたようです。
そうした風習の名残りなのか、主に関西地方の葬儀や仏事では今も樒が多く使われています。
尚、現在市販されている抹香は樒の葉や樹皮を乾燥させて粉末にしたもので作られています。