たまには更新をします。今やっている授業のことでも。
昨日は、オムニバスの「教師論」(初等教育学科1年生対象)の担当回でした。先回から続いて2回目。私の担当は、社会的・歴史的な観点から教師の在り方を考える授業を提供することです。ということで、先回のテーマは「教員の誕生」、今日のテーマは「学び続ける教師」でした。授業形態は自由ですが、必ずアクティブラーニングを取り入れるように、というお題をいただいているので、自分なりに学生の活動を取り入れた授業を作っています。
今日の内容は、大きく3つの活動で構成しました。導入部は、事前課題を使って教育職員免許法第1条・教育公務員特例法第21条の読み取り。教員免許状はただ持っているだけの就職許可書ではないこと、教職は常の研究・修養が必要であることを学生と軽い問答をしながら進めました。
続いての第1部は、2012年8月の中央教育審議会答申「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」の解説と、1900年代以降に教員が「研究」を始めた理由についての講義です。「学び続ける教員像」がなぜ提唱されているかを考え、「学び続ける教員」が今教員を目指す者の目指すべき姿の一つであることを理解し、かつ教員が学び続けること(教育研究すること)には約120年の歴史があることを踏まえて、教師が学び続けることの「普遍」的重要性を強調しました。安易かもしれませんが、今後数十年の間(目の前の学生達が教職生活を続ける間)に「学び続ける教員像」の提唱が薄れたとしても、学び続けること(教育研究を続けること)の重要性はなくならないことを伝えたかったのです。授業後の学生のコメントシートにはこのことが伝わった痕跡があったので、ほっとしました。
なお、1900年代以降の教育研究の歴史からは、協働・共同研究の必要性も強調できました。
最後に第2部では、30分くらいかけて(予定では50分かけるつもりでしたが…)、「研究をしてみよう!」と教材研究を少しさせてみました。道徳教育用教材「手品師」を使って、授業のねらいを考えさせ、その結果を5~6名のグループで意見交換させる。とくになぜそのねらいを考えたかを考えさせるようにしました。学生はとても素直に教材価値に共感していて、彼女たちの素直さ・人柄の良さがよくわかりました。学生達のコメントシートをみると、しばしば、事前には簡単に思えた教材研究が意外と難しかったこと、今後もっとやってみたいという意欲が表現されていました。残念ながら「手品師」の教材としての限界を考えさせる時間はありませんでしたが、まあここでは教材研究や協働的研究の大事さを実感することとそれらの簡易体験をすることがねらいだったのでこれでいいと思います。
時間配分に大失敗してしまいましたが、これはいつものこと。私の実践上の課題です。
なお、教師の教育研究の普遍的価値に基づいて授業を展開させましたが、そもそも教育研究の価値にはそれぞれの時期に応じた時代性が当然あるのではないか、と研究課題も浮き上がってきました。はあ…研究したい。