皆々様、2022年もお疲れ様でした。
私の方は相変わらず忙しくしていた1年でしたが、いろいろ新しいこともありました。このブログについても、なかなか進まない学校の働き方改革に業を煮やして春ごろまでその関心から比較的更新し、たくさんコメントをいただき、充実した議論・意見交換をする機会をいただきました。勉強になりました。
5月以降、更新頻度がガクンと落ちましたのは、単純に多忙ゆえでした。Kindleテキストの編集・発行作業に時間を食ったことや、隔年開講の新規2科目が始まったこと、学会・研究会発表が集中したこと、重めの論文執筆が2件あったこと、沼田家文書保存のために奔走していたことなどが重なって、必死に作業を進めておりました。その上に、全学の教務委員長の仕事でも難しい調整の必要なこと(オンライン授業制度の運用、所属学園が新設した海外の大学への留学に関する制度整備、附属高校との連携科目の根本的再検討など)が積み重なり、神経をすり減らしておりました。昨年は公私ともに大変で大いに精神を病みかけましたが、幸い、今年は家庭内が落ち着き、心を壊すことなく何とかやり抜くことができました(腰は一回壊しました)。
2022年は、これまで私家版で配付していた授業用テキストを加筆修正・再編集して、Kindle版テキスト全4巻にして発行することができました。私の担当科目を履修した学生はもちろんですが、それ以外にもたくさんの人に読んでいただいております。ありがとうございます。(第4巻の紹介が遅れていてすみません)
なお、Kindleダイレクトパブリッシングをやってみたきっかけは、Twitterで自著を電子図書のみで出版している人のつぶやきを見て、どんなものか試してみたいなと思ったことでした。出版社にお世話になっての出版はすでに何冊か経験してきましたし、私家版・自費出版もずっとやってきたので、電子書籍の自費出版はどんな感じなのか経験してみたいという、軽い気持ちで取り組みました笑。テキストになったのは、たまたま手元に公刊していない私家版のデータがたくさんあったからです。やってみてどうだったかというと、思った以上に簡単でしたが、同時に思った以上に大変でもあり、変わった経験ができました。大変だったのは、自分ひとりでデータを管理するので、何度やっても不具合が出てくるのに対応していると湯水のように時間が失われていくことでした。また、おおよそ私一人のアイディアで事が進むので、楽な反面、多様な立場からの仕事・アイディアが反映されないことも気になっております。私の感想としては、Kindleのみの自費出版は、通常の本の出版とはかなり異なる仕事だなと思いました。どちらにも良さと難しさがあり、「これはこれ、それはそれ」という感じですね。
教育史の研究もたくさんやりました。ありがたいことに、いろいろな方から呼んでいただき、求められるままに書きまくった感じです。特に、6月の日本教育学会編『教育学研究』掲載の特集論文「澤柳政太郎『実際的教育学』の実証主義再考」は自分で投稿したものですが、学会の取り組みと自分の今の仕事がかみ合って、投稿する機会を得られたのは幸運でした。私の手元でも、ピアレビューでもなかなかの「難産」でしたが、活字化後にたくさんの方から「見たよ」の感想をいただきましたので、書き切ってよかったです。日本の教育学史を19・20世紀という長い期間でとらえるという、2020年ごろから続けてきた研究の成果の一つが形になりました。
そのほか、明治末期の鳥取県小学校教員試験検定問題(小学校本科正教員・尋常小学校本科正教員教育科)の研究や、20世紀初頭における東京帝国大学の中等教員養成課程の改革を吉田熊次の「大学に於ける教育学研究」を核とした中等教員養成論の立場から分析した研究、信濃教育会所蔵資料をもちいた日本教育協会・日本連合教育会研究、1870年代から現在までの日本における教育史研究の歴史をたどって「教育学としての教育史」という立場を相対化した研究、広島大学教育学独特の「日本東洋教育史」という立場を意識した研究について、各学会・研究会で発表しました。活字化の予定が結構先なものについては、広く読んでいただけるようになるのは先になりますが、私自身の研究はかなり進んだ実感があります。今後の研究に生かしていきます。
また、広島県三原市にあった沼田家文書の選定・保存作業を完了させたことも、今年の重要な仕事になりました。H大のI先生とH短大のI先生のご助力をいただきながら、ついに8月に広島県立文書館に主要な資料群を引き取っていただくことができました。一部は沼田家と三原小学校に譲渡されました。いろいろありましたが、多くの重要な資料を散逸・損失から救うことができて、ひとまずほっとしております。作業過程では、2021年の拙稿「沼田良蔵・實文書について」が保存のカギになったので、歴史資料保存に対する研究論文の重要性を実感しました。沼田家文書は本当に面白い資料群です。最新の研究成果については、2023年3月発行予定の中国四国教育学会『教育学研究紀要』(CD-ROM版)で公開する予定ですが、沼田家文書の可能性はまだまだ汲み尽くせていません。私の気づいていることだけでも明らかにしたいので、もうしばらく研究を続けていくつもりです。
大学人・教職科目担当者としての仕事、教育学者としての仕事、教育史研究者としての仕事。テキスト執筆、論文執筆、歴史資料の保存。多様な仕事をした1年になりました。
私の方は相変わらず忙しくしていた1年でしたが、いろいろ新しいこともありました。このブログについても、なかなか進まない学校の働き方改革に業を煮やして春ごろまでその関心から比較的更新し、たくさんコメントをいただき、充実した議論・意見交換をする機会をいただきました。勉強になりました。
5月以降、更新頻度がガクンと落ちましたのは、単純に多忙ゆえでした。Kindleテキストの編集・発行作業に時間を食ったことや、隔年開講の新規2科目が始まったこと、学会・研究会発表が集中したこと、重めの論文執筆が2件あったこと、沼田家文書保存のために奔走していたことなどが重なって、必死に作業を進めておりました。その上に、全学の教務委員長の仕事でも難しい調整の必要なこと(オンライン授業制度の運用、所属学園が新設した海外の大学への留学に関する制度整備、附属高校との連携科目の根本的再検討など)が積み重なり、神経をすり減らしておりました。昨年は公私ともに大変で大いに精神を病みかけましたが、幸い、今年は家庭内が落ち着き、心を壊すことなく何とかやり抜くことができました(腰は一回壊しました)。
2022年は、これまで私家版で配付していた授業用テキストを加筆修正・再編集して、Kindle版テキスト全4巻にして発行することができました。私の担当科目を履修した学生はもちろんですが、それ以外にもたくさんの人に読んでいただいております。ありがとうございます。(第4巻の紹介が遅れていてすみません)
なお、Kindleダイレクトパブリッシングをやってみたきっかけは、Twitterで自著を電子図書のみで出版している人のつぶやきを見て、どんなものか試してみたいなと思ったことでした。出版社にお世話になっての出版はすでに何冊か経験してきましたし、私家版・自費出版もずっとやってきたので、電子書籍の自費出版はどんな感じなのか経験してみたいという、軽い気持ちで取り組みました笑。テキストになったのは、たまたま手元に公刊していない私家版のデータがたくさんあったからです。やってみてどうだったかというと、思った以上に簡単でしたが、同時に思った以上に大変でもあり、変わった経験ができました。大変だったのは、自分ひとりでデータを管理するので、何度やっても不具合が出てくるのに対応していると湯水のように時間が失われていくことでした。また、おおよそ私一人のアイディアで事が進むので、楽な反面、多様な立場からの仕事・アイディアが反映されないことも気になっております。私の感想としては、Kindleのみの自費出版は、通常の本の出版とはかなり異なる仕事だなと思いました。どちらにも良さと難しさがあり、「これはこれ、それはそれ」という感じですね。
教育史の研究もたくさんやりました。ありがたいことに、いろいろな方から呼んでいただき、求められるままに書きまくった感じです。特に、6月の日本教育学会編『教育学研究』掲載の特集論文「澤柳政太郎『実際的教育学』の実証主義再考」は自分で投稿したものですが、学会の取り組みと自分の今の仕事がかみ合って、投稿する機会を得られたのは幸運でした。私の手元でも、ピアレビューでもなかなかの「難産」でしたが、活字化後にたくさんの方から「見たよ」の感想をいただきましたので、書き切ってよかったです。日本の教育学史を19・20世紀という長い期間でとらえるという、2020年ごろから続けてきた研究の成果の一つが形になりました。
そのほか、明治末期の鳥取県小学校教員試験検定問題(小学校本科正教員・尋常小学校本科正教員教育科)の研究や、20世紀初頭における東京帝国大学の中等教員養成課程の改革を吉田熊次の「大学に於ける教育学研究」を核とした中等教員養成論の立場から分析した研究、信濃教育会所蔵資料をもちいた日本教育協会・日本連合教育会研究、1870年代から現在までの日本における教育史研究の歴史をたどって「教育学としての教育史」という立場を相対化した研究、広島大学教育学独特の「日本東洋教育史」という立場を意識した研究について、各学会・研究会で発表しました。活字化の予定が結構先なものについては、広く読んでいただけるようになるのは先になりますが、私自身の研究はかなり進んだ実感があります。今後の研究に生かしていきます。
また、広島県三原市にあった沼田家文書の選定・保存作業を完了させたことも、今年の重要な仕事になりました。H大のI先生とH短大のI先生のご助力をいただきながら、ついに8月に広島県立文書館に主要な資料群を引き取っていただくことができました。一部は沼田家と三原小学校に譲渡されました。いろいろありましたが、多くの重要な資料を散逸・損失から救うことができて、ひとまずほっとしております。作業過程では、2021年の拙稿「沼田良蔵・實文書について」が保存のカギになったので、歴史資料保存に対する研究論文の重要性を実感しました。沼田家文書は本当に面白い資料群です。最新の研究成果については、2023年3月発行予定の中国四国教育学会『教育学研究紀要』(CD-ROM版)で公開する予定ですが、沼田家文書の可能性はまだまだ汲み尽くせていません。私の気づいていることだけでも明らかにしたいので、もうしばらく研究を続けていくつもりです。
大学人・教職科目担当者としての仕事、教育学者としての仕事、教育史研究者としての仕事。テキスト執筆、論文執筆、歴史資料の保存。多様な仕事をした1年になりました。