教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

ようやくスタートラインに立てた

2013年06月22日 23時40分56秒 | Weblog

 今週木曜、母校の教授会で、私の学位論文に関する予備審査委員会の組織が正式に承認されました。

 ここまで来るのに約10年。
 ようやくスタートラインに立てました。博士号は修士のころからの夢でした。

 最後まで完走したいです。

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講義「広島大学の歴史」についての論文

2013年06月21日 21時04分36秒 | 教育研究メモ

 広島大学文書館の小宮山道夫先生から、たくさんの論文抜き刷りなどをいただきました。いつもありがとうございます。
 さて、その中に自校史教育に関する以下の論文がありました。5月の全国地方教育史学会でお会いした時に、酔っ払いながら、広大史教育についてあれこれ意見交換させてもらったことが原因でしょうか。

1.小宮山道夫「大学生の自校史教育受講に対する期待と需要に関する考察」『広島大学文書館紀要』第13号、2011年3月、104~124頁。
2.小宮山道夫「大学生の自校史教育に対する評価と自校認識の変化に関する考察」『広島大学文書館紀要』第14号、2012年3月、39~54頁。
3.小宮山道夫・西原利典「大学史教育を通じた進学適性の自覚促進に関する研究(2)―中等教育と高等教育の接続関係改善に向けた大学情報提供の在り方について」『広島大学学部・附属学校共同研究機構研究紀要』第39号、2011年3月、375~380頁。
4.西原利典・森脇政泰・小宮山道夫「大学史教育を通じた進学適性の自覚促進に関する研究(3)―中等教育と高等教育の接続関係改善に向けた大学情報の在り方について」『広島大学学部・附属学校共同研究機構研究紀要』第40号、2012年3月、71~76頁。

 ほかにも貴重な論文を送ってくださったのですが、これらは特に興味があったので一気に目を通してしまいました。1・2の論文は、平成13(2001)年から開講されている、広島大学の学部生に対する総合科目(教養科目)である「広島大学の歴史」に対する受講生の反応をまとめたものです。3・4の論文は、平成21(2009)年から開講されている、広島大学附属高等学校の生徒に対する進路学習の一環としての講義「日本の大学の歴史」(広島大学を事例に)に対する高校生の反応をまとめたものです。
 とくに1・2の論文に釘付けでした。広島大学の学生(総合科学部から生物生産学部まですべての学部生)が、広島大学の歴史について興味をもち、自分の通う大学に誇りや愛着を持つに至る様子をリアルに感じられたためです。それまではただ大学に通っていたり、大学の歴史など全く認識せずに生活していたりした学生が、施設の設立趣旨や先人の思いや考えに触れ、「さらにこの大学を良くするために自分に何ができるか」とまで考えるようになっていることは驚きでした。自校史教育の教育的意義について、強く考えさせられました。 

 自分はちょうどこの科目が開講されたとき学部生だったのですが、すでに教養の単位をそろえていたため、まったく見向きもしませんでした(諸事情によりそれどころではなかったのもありますが(苦笑))。本当に惜しいことをした、と今さら悔やんでいます(笑)。学部時代、もっといろいろなことに興味をもって、学びを楽しんでいたら…と悔やんでも悔やみきれません。
 「広島大学の歴史」のシラバスも、開講直後とは変わっているようです。また、受講者数も、開講直後の平成13年に41人であったのに対し、平成21(2009)年に急増し、平成22(2010)年には540人に達しています。おそらく講義内容・方法も、開講直後に比べると進化しているのでしょう。
 ああ、かなうものなら、学生に混じって聴講したいなあ… 

 まあ、おまえは『広島大学五十年史』か広島大学文書館編『広島大学の歴史』を読んでろってところですかね(笑)。 

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J・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』上巻を読んで

2013年06月20日 19時40分25秒 | 教育研究メモ

 ようやく本を読む時間が少しとれました。
 …と言ってしまうようになる状況がちょっとくやしいな。

 さて、最近読み切ったのは、ジャレド・ダイアモンド(倉骨彰訳)『銃・病原菌・鉄』上巻、草思社文庫、草思社、2012年(初版2000年)です。
 本書は、人類史上、特定地域の人々がなぜ優位に立てたのかという問いに取り組んだ名著です。やっと読んだのか、と言われそうなほど、高い評判を得ている本です。本当に面白かった。
 上巻は、上の問いに対する理由を、特定民族の優秀さではなく、自然環境の違いから論じる部分を中心として構成されています。そういう書き方になっているのは、欧米中心の人類史に対するアンチテーゼのようです。各地域において、植物の栽培化や動物の家畜化の条件が異なることに注目し、数千年の単位で熱心に論じています。また、家畜化は食糧・燃料・繊維などの人間生活を豊かにするだけでなく、特定の病原菌を保有・流行させ、それに対する抵抗力を有する人々を生み出しました。その人々はのちに、他の地域へ移動した際、先住民を大量に病死させて優位に立ったことについて、わかりやすく丁寧に論じています。

 本書は、人間とは何かについて考えることができます。人間も、定住生活をはじめて都市を作っていったとしても、やはり自然の一部であり、地理・動植物などと深くつながった自然系統の中で生きてきたのだなと思ました。上巻の言いたいことは、第4章「食糧生産と征服戦争」に凝縮されているように思います。 J・ダイアモンドはもともと生物学者(鳥類)なんだそうですが、生物学者が歴史を書くとこうなるのかと思いながら、とても面白く読みました。

 本書から、教育学者は、何を学べるのでしょうか。人類史は、社会史よりも時間軸のとりかたが極めて長いのが、最大の特徴なのではないかと思います。教育社会史はすでにありますが、教育人類史なんてものはまだありませんし、おそらく叙述するのは難しいでしょう。人類史的に考えようとすると、近代的な「教育」概念では事実をとらえきれないでしょうから。
 しかし、「人間は環境によって成長する」ということを人類数千年の歴史から考えることは、「教育とは何か」を考える上でも重要な論点になり得るような気がします。

 下巻も近いうちに読みたいが、もう少し後になりそう。

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価格にびっくりした

2013年06月14日 21時09分11秒 | Weblog

 拙著『幼児教育とは何か』は全国10の大学図書館に、拙著『保育者の専門性とは何か』は全国35の大学図書館に所蔵。(2013年6月14日段階) 順調に増えています。ありがたい。

 ふとAmazonの『保育者の専門性とは何か』のページ(こちら)を見ると、もう中古品の表記があってびっくり。そして、価格に注目して、さらにびっくり。「在庫希少・品薄等の為」だそうです。出版社からは何も連絡ないので、まだ定価で買えると思うのですが…。ほえー。

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雲南市の「幼児期版夢発見プログラム」

2013年06月12日 20時15分50秒 | Weblog

 現在、2年生の実習期間中です。実習期間中は、学科全教員にお願いして実習先を訪問し、実習生の指導をしていただいています。私も昨日、米子市内と雲南市内の幼稚園へ行ってきました。学生は、思っていた以上に(失礼!)よくやっているようで、すばらしい学びの機会になっているようでした。実習園の先生方のご指導ありがたく思います。

 さて、実習訪問は、学生の指導だけでなく、現場の先生方のお話をうかがったり、貴重な資料をいただいたりする機会にもなります。今回は、雲南市のある公立幼稚園へ行った際に、雲南市教育委員会・健康福祉部が作成したパンフレット「幼児期版 夢発見プログラム」(雲南市キャリア教育推進プログラム)をいただきました。写真はそのパンフレットです。
 雲南市では、教育委員会・教育長の音頭で、島根大学・市内保幼小中学校関係者を集めて、幼児期から義務教育期までの長期間にわたって「生きる力」(とくに子どもの勤労観・職業観)を育てるプログラムをまとめ、平成23年度より実施しているそうです。プログラムをまとめる際の様子を少しうかがったところ、ただのトップダウン事業ではなく、現場の意見もかなり反映されたようです。園長先生によれば、このプログラムには従来現場が大事にしてきた考え方や実践が位置づいた、別に新しいことをしているのではないとのこと。ここまでしっかり保幼小中が連携して計画されたプログラムを見たことがなかったのと、実習園でこのプログラムを強く意識して保育を進めておられたのを聞いて、感心しました。
 「幼児期にキャリア教育?」と一瞬思いましたが、お話をうかがっていると納得しました。保育現場が小中学校での教育や将来の人間像をしっかり見据えて、プログラムづくりに参画し、さらにその後も自分たちの実践を意義づけていくことができる点に魅力を感じます。また、幼児期版(幼稚園・保育所)だけでなく、小学校・中学校も含めたパンフレットもあるようです。
 県立なので仕方ないのかもしれませんが、高校も含めてできたらもっとすごいよなぁと思いました。 

 

 同プログラムについては、雲南市教育委員会のHP該当ページをどうぞ。→ http://www.city.unnan.shimane.jp/kyouiku/kyaria.html

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言葉が枯渇している…

2013年06月05日 21時32分08秒 | Weblog

 このところ、まったく新しい知識を取り入れられない状態が続いています。だから生き生きした言葉が出てこなくっていけません。
 せいぜい、博論の文章チェックで精一杯です。

 「教師よ、あなたの言葉は死んではいないか」→死にかけているかも
 「研究しない大学教員は死んでいるのも同じ」→うう…過去の自分に責められている…

 まあ、この時期いつもこんなもんのようですが。さっき見てみたら、去年も5~6月はほとんど更新できてなかったよ(苦笑)。
 さて、あまりに放置ぎみなので、何とか話題をひねり出してみよう。

 ということで、拙著テキストの所蔵大学図書館が増えていたのでメモ。
 2013年6月5日の時点で、拙著テキスト第1巻の所蔵大学図書館6館、第2巻の所蔵29館。順調ですね。ありがたい。

 第1巻 → http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB12369009
 第2巻 → http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB11676465

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