2020年11月22日プレイリスト「『POCKET MUSIC』『僕の中の少年』まとめて特集」
1. 風の回廊 (コリドー) / 山下達郎 "ポケット・ミュージック 2020 リマスター" 11月25日発売
2. THE WAR SONG / 山下達郎 "ポケット・ミュージック 2020 リマスター" 11月25日発売
3. シャンプー / 山下達郎 "ポケット・ミュージック 2020 リマスター" 11月25日発売
4. 新(ネオ)・東京ラプソディー / 山下達郎 "僕の中の少年 2020 リマスター" 11月25日発売
5. GET BACK IN LOVE / 山下達郎 "僕の中の少年 2020 リマスター" 11月25日発売
6. 踊ろよ、フィッシュ / 山下達郎 "僕の中の少年 2020 リマスター" 11月25日発売
7. マーマレード・グッドバイ / 山下達郎 "僕の中の少年 2020 リマスター" 11月25日発売
8. 蒼氓 / 山下達郎 "僕の中の少年 2020 リマスター" 11月25日発売
9. 僕の中の少年 / 山下達郎 "僕の中の少年 2020 リマスター" 11月25日発売
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■内容の一部を抜粋
・近況
久しぶりの連休で東京駅も羽田も結構人が出ている模様だが感染もどんどん拡大している。「きっと世界中でいろいろな利権とか利害がですね、渦巻いておるんでしょうけれど。わかりませんが。ただ特に医療関係、介護関係、保育関係、そうした方々、本当に大変な環境だと拝察いたします。私なんかにできること、こうしてみなさんにエールを送ったり、あとは自分が感染に気をつけるという、甚だ消極的なことしかできませんけれど、くれぐれもみなさんお身体お大事にですね、感染気をつけてお仕事なさってください。せめて少しでも音楽で息抜きしていただければという気持ちを込めまして、今日もお届けしたいと思います」と達郎さん。
達郎さんはここのところ忙しくて連休中もずっとうちで作業しているという。
・『POCKET MUSIC』『僕の中の少年』まとめて特集
今週11月25日に1986年のアルバム『POCKET MUSIC』と1988年のアルバム『僕の中の少年』の2020年リマスター盤が再発される。先週から番組では紹介していて、今週は『POCKET MUSIC』の途中から『僕の中の少年』まで。達郎さんの作品の中でもいちばん内省的なアルバムをリマスター・ヴァージョンで紹介する「『POCKET MUSIC』『僕の中の少年』まとめて特集」。
・風の回廊(コリドー)
1985年のシングルで『POCKET MUSIC』の最後に入ってる「風の回廊(コリドー)」のリマスター・ヴァージョン。
・THE WAR SONG
1986年のアルバム『POCKET MUSIC』のアナログB面の1曲め「THE WAR SONG」。この当時はまだアナログ盤も発売されていて、まだアナログ盤のほうが優勢だったこともあり、アナログの曲順で紹介している。達郎さんの全作品の中でちょっと異色の作品で、いわゆるプロテスト・ソング、反戦歌の部類で、もうちょっと諦観というか、なかなか思いが届かない、そういうもののぼやきみたいな、そういうような歌。トラックはとても気に入ってるそうだ。
「ようやくテスト盤といいましょうか、本チャンのテスト盤が上がってきまして、うちで聴きましたけれども、『POCKET MUSIC』は特にですね、当時のデジタル・レコーディング、それからリマスターにものすごく不満がありましたけれど、ようやく思った通りの音像に近づけてお聴きをできるようになりました。是非ともですね、新しくリニューアルされましたリマスター盤お聴きいただければと思います」と達郎さん。
・シャンプー
B面の2曲め。もともとは1979年にアン・ルイスさんのために書いた書き下ろしで、山下久美子さんのカヴァーもある楽曲のセルフ・カヴァー。ドラムのブラシのストロークとパーカッション以外は全部打ち込み。「そうしたこうビートが遅くなるところとかですね、全部打ち込みでやりまして、打ち込みでどれぐらいまでできるかという、当時のマシン・パワーの限界とかいろいろあるんですけれど、そういうものをいろいろと実験的にやったものでございます。間奏のサックス・ソロもアナログでございますが」と達郎さん。
曲をかけ終えて。「いわゆるスタンダード・ジャズ・ソングを目指して書いた曲でありますが。今から考えますと、なんでここまで打ち込みにこだわるか。自分がキーボード弾きじゃないから。ピアノ弾きじゃないので本当にリアル・タイムで弾いてる感じで演奏させてみたかったという、そういう欲求でありますが」と達郎さん。
『POCKET MUSIC』のB面の最後は今日最初にかけた「風の回廊(コリドー)」。『POCKET MUSIC』のアルバムは全10曲で、今回はボーナス・トラックが入っている。デジタル・レコーディングで七転八倒した「土曜日の恋人」はオリジナルのシングル・ヴァージョン、アルバムを発売したときの1986年のミックス、アルバム『TREASURES』のときにミックスしたヴァージョンが収録されているとか。他には1991年にリミックスして『POCKET MUSIC』を出したときにボーナス・トラックで入れた「MY BABY QUEEN」、アナログのB面に入ってる、アラン・オディの英語詞の「LADY BLUE」のライヴ・ヴァージョン(6月28日オンエア音源のちゃんとしたミックス)、それに「土曜日の恋人」のカラオケ。もう一枚のシングル「風の回廊(コリドー)」はギターを弾きながらミックスしているのでカラオケが残ってないそうで(ギターが入ってないので)、リミックスでカラオケを作ることもできず、涙を飲んで収録を断念したとのこと。先週気づいたそうだが、ライヴ用に「POCKET MUSIC」のアカペラを作ったことがあり、それをボーナス・トラックにしたらよかったと後悔してるとか。ネクスト・チャンス、次の機会でレア・トラックス集を作ることがあれば収録するそうだ。
・新(ネオ)・東京ラプソディー
ここから1988年のアルバム『僕の中の少年』に移って。2年しか経ってないがデジタル・レコーディングが進歩して、24トラックが48トラックになり、少しリスクが軽減されてきたという。音質的にも少し向上している。1曲めに入ってる「新(ネオ)・東京ラプソディー」。
曲をかけ終えて。達郎さんが35歳の頃のアルバムで、この頃は昭和初期の文化、特に映画に耽溺していた時代。昭和11年の藤山一郎さんの大ヒット曲「東京ラプソディー」、1936年の文化に興味があって、それで思いついたのが「新(ネオ)・東京ラプソディー」。銀座の街並みを想定して書いた曲だという。1980年代の初めに「夏だ、海だ、達郎だ」というリゾート・ミュージックの代名詞みたいになって、そういうものに疑問があり、アルバム『MELODIES』からもう少し内省的な音楽にしようと目指してきたところ、80年代に終わりにこういうかたちになった。『僕の中の少年』という日本題のタイトルもこれ一枚切り。
・GET BACK IN LOVE
リゾート・ミュージック、アップ・テンポのシングルはもうやりたくない、バラードをやりたい、バラードをやらしてくれ、それで持ってきてもらった仕事が「GET BACK IN LOVE」。1988年の春のシングル。TBSテレビのドラマ『海岸物語』のテーマ・ソング。この曲が「RIDE ON TIME」以来8年ぶりにシングル・ヒットになった。達郎さんのシングルは大体アルバムの2曲めに収録というのが通り相場になってるので2曲め。アルバム・ヴァージョンはシングル・ヴァージョンよりコーラスがちょっと短い。
番組前半にかけた曲は全部ライヴでやったことがあるそうだが、番組後半は少なくなるとのこと。
・復刻7インチ・レコードのプレゼント
1986年のアルバム『POCKET MUSIC』と1988年のアルバム『僕の中の少年』の2020年リマスター盤二枚購入で、抽選のうえ450名に当時のシングル盤を復刻した7インチ・ビニール・レコードをプレゼント。復刻されるシングルは「風の回廊(コリドー)」、「土曜日の恋人」、「踊ろよ、フィッシュ」、「GET BACK IN LOVE」の4種類。
・クリスマス・イブ
今年は7インチ・レコードを12月16日発売。今回は1986年に出したホワイト・ビニールでの発売で完全生産限定盤。詳しくは山下達郎スペシャル・サイトにて。
https://wmg.jp/tatsuro/
・souvenir 2021 mariya takeuchi live
竹内まりやさんの7年ぶりのアリーナ・ツアーが決定した。2021年4月3日の横浜アリーナを皮切りに6都市全13公演。現在発売中の『souvenir the movie 〜MARIYA TAKEUCHI Theater Live〜 Special Edition』初回盤に封入されてるマジックカードでチケットの最速先行受付に申し込みができる。11月30日までの受付で一公演のみ2枚までの申し込みが可能。詳しくは竹内まりやスペシャルサイトにて。
https://wmg.jp/mariya/
・踊ろよ、フィッシュ
1988年のアルバム『僕の中の少年』のもう一枚のシングル「踊ろよ、フィッシュ」。1987年のシングルなのでアルバム『POCKET MUSIC』の延長、とってもとっても苦労したとか。曲は気に入ってるそうだが、ポリリズムに凝りすぎてライヴ演奏が全く不可能だというそういう一曲。ヴァージョンがいくつかあって、1995年のベスト・アルバム『TREASURES』のときにエディットを加えて最終ヴァージョンを仕上げた。それが後のベスト・アルバム『OPUS』でも使用されている。今日はボーナス・トラックに収録しているアルバム『TREASURES』のヴァージョン。
曲をかけ終えて。レコーディングに苦労するとキー設定がどんどん上がってゆく悪い癖があるそうだ。「高い高い病」と呼ばれていて、これもその典型。ライヴでやるときにしょうがないので半音下げたりすると、「あぁ声が出なくなった」とかいろいろ言われるという。「癪に障りますけれどね。スタジオのときもそう(笑)。キー設定を誤っている(笑)」と達郎さん。この曲は全日空のCMのタイアップで、石田ゆり子さんのデビュー作。
・マーマレード・グッドバイ
アルバム『僕の中の少年』の人気曲「マーマレード・グッドバイ」。この曲も演奏ができない典型で、楽曲の構成に無理がある。「スタジオではやれてもライヴでやると(笑)、大変でございます。やれればやりたいんですけれども。これも高い高い病であります。はっはっは。こんなんばっかり(笑)、この時代」と達郎さん。
曲をかけ終えて。十代の頃から女性に対するペシミスティックな歌が大好きだったとか。ジミー・ウェッブとかバート・バカラック、ハル・デヴィッドのような、恋は成就しないというようなもの。この歌もそういう達郎さんの恋愛感を反映した曲だとか。「このマーマレード・グッドバイ、その前の踊ろよ、フィッシュはどちらもキーの設定を誤っておりますので、実際にやってもライヴではできません(笑)。でも今日の前半の風の回廊(コリドー)、THE WAR SONG、シャンプー、新(ネオ)・東京ラプソディー、GET BACK IN LOVEは適正キーで収まっておりますので、ライヴで原曲キーでできます(笑)。後半のこの2曲はダメなので、やるとしても半音下げていきますので。やったときはご了承ください。よろしくお願いします(笑)。よくあるんです、そういうの」と達郎さん。
・蒼氓
アルバム『僕の中の少年』は達郎さんのアルバムの中でもいちばん内省的で、心の吐露がはっきりと出てるアルバム。達郎さん当時35歳。ちょうど子どもが生まれて、大人になりたくないというモラトリアム世代が、本当の意味で大人になってゆくことに対する、いろいろな思いが反映されている。そうしたものの典型が「蒼氓」。いわゆる芸能の世界に生きてると、有名とか無名とか、成功とか失敗とか、そういうものと常に隣り合わせ。なるべくそういうことではなくて平常心で生きたい、できることなら普通に生活者としての心情を持ちたい、昔から考えていたそういうようなことを歌にしたそうだ。無名性、匿名性への讃歌の曲。
『POCKET MUSIC』と『僕の中の少年』はこの30数年間一度も廃盤となることなくカタログとして継続できている。限定発売ではなく、ちゃんと注文すれば届くというかたちでの発売。リマスターはこの後、『JOY』、『ARTISAN』、それから『COZY』は1998年の発売で今回ミスってしまったが、『COZY』、そして2000年代のカタログにも手をつけなければならないが、それよりも何よりも早くオリジナル・アルバムを出さないと、と達郎さん。
・僕の中の少年
今日の最後はアルバム『僕の中の少年』のラストでタイトル・ソングの「僕の中の少年」。
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「山下達郎サンデー・ソングブック」係
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2020年11月29日は、「スイート・ソウルで棚からひとつかみ」
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