2021年04月18日プレイリスト「極私的 村上"ポンタ"秀一 追悼 Part 2」
1. SPACE CRUSH / 山下達郎 "イッツ・ア・ポッピン・タイム" '78
2. サマー・コネクション / 大貫妙子 '77
3. 恋は流星 (SINGLE VERSION) / 吉田美奈子 '77
4. ドリーム・オブ・ユー (ALBUM VERSION) / 竹内まりや "ユニヴァーシティ・ストリート" '79
5. LOVE CELEBRATION / LINDA CARRIERE 未発表 '77
6. YO-YO (LIVE) / ルネ・シマール "ファースト・ライブ・アルバム" '77
7. CIRCUS TOWN (LIVE) / 山下達郎 "イッツ・ア・ポッピン・タイム" '78
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■内容の一部を抜粋
・近況
「私ですね、この一年半ほどのこのウイルス騒ぎを経ましてですね、ふたつだけどうしてもわからないことがあるんですよ。あれほど医療先進国と謳われた日本がですね、何故にワクチンを独自開発ができないのかという問題と、あとは欧米に比べて感染者が圧倒的に少ないのに関わらず、医療が逼迫しているとずっーと言い続けている、これは一体なんなのか。一年経っても何も改善されないのは何故だ。このふたつがいちばん大きな疑問ですけれど(笑)。で、どこのメディアでもはっきりしたことがわからないという。これも不思議なアレですねぇ。それなので現場で本当に働かれてる医療従事者のみなさん、本当に大変だと思います。みんなで感謝しつつ応援申し上げておりますので、お体くれぐれもお大事に。仕事に邁進していただければと思います。よろしくお願いします」と達郎さん。
・極私的 村上"ポンタ"秀一 追悼 Part 2
先週、村上ポンタさんの追悼特集をオンエアしたが、一週だけでは足りずに二週目に突入。先週から文春オンラインでポンタさんに関する達郎さんのインタビューが3回に分けて掲載されている。
https://bunshun.jp/articles/-/44612
番組にはインタビューについてメールやお便りが届いていて大変好評なのだという。先週はライヴ音源が中心だったが、今週はレコーディングのもの、達郎さんが関わっていた1970年代の音源を中心に、77年から79年ぐらいまでの達郎さんが「RIDE ON TIME」でブレイクする直前までのポンタさんとの仕事、またその周辺の仕事、そんなようなものを拾って「極私的 村上"ポンタ"秀一 追悼 Part 2」。
・SPACE CRUSH
1978年の達郎さんのライヴ・アルバム『IT'S A POPPIN' TIME』。一曲目は実はスタジオ・レコーディングだという。ひじょうに風変わりな曲だが、こういうパターン・ミュージックはその当時のリズム・セクション、村上"ポンタ"秀一さんのドラム、岡沢章さんのベース、松木恒秀さんのギター、坂本龍一さんのキーボードのキャラクターがよく出てる演奏になっている。ひとり多重録音が当時は16トラックのアナログ・テープだったので、スタジオ録音が大変で、今みたいにプロトゥールスで何十トラックもできる時代ではないので、一回リズム隊をマルチ・トラックにミックス・ダウンして、その空いた14チャンネルにひとり多重の録音をして、どんどん重ねていって作ったという、当時のノウハウで作った苦心の一作。「SPACE CRUSH」。
リクエストした高知県の超常連のリスナーから「ポンタさんは大酒飲みと聞いてますが、飲み比べをされたことがありますか?」という質問。
「常に私が勝っておりました」と達郎さん。
・サマー・コネクション
大貫妙子さんの1977年のセカンド・アルバム『SUNSHOWER』の先行シングル「サマー・コネクション」。アルバムとは違うメンバーでレコーディングしたシングル・ヴァージョン。達郎さんはシングル・ヴァージョンの方が好きなんだとか。村上"ポンタ"秀一さんのドラム、田中章弘さんのベース、編曲は坂本龍一さんなので自分でキーボードを弾いている。ギターは松木恒秀さんと鈴木茂さん。先程の「SPACE CRUSH」の抑制的なドラムとは打って変わって、はっちゃけてる(古い表現でございます、と達郎さん)。
・恋は流星 (SINGLE VERSION)
文春オンラインでの達郎さんのインタビューの影響か、今週圧倒的にリクエストが多かったのは「恋は流星」(インタビューの最後の質問で、達郎さんがポンタさんと共演された中から「この一曲」を挙げるとすると、でこの曲を挙げている)。1977年のアルバム『TWILIGHT ZONE』の収録曲だが、アルバムとは別テイク、シングルはA面B面とも別テイクなんだそうだ。結構レアなので今日はシングル・ヴァージョンをオンエア。村上"ポンタ"秀一さんのドラム、高水健司さんのベース、ギターは松木恒秀さんと大村憲司さん、吉田美奈子さんのキーボード。ポンタさんはダブル・ドラム。ドラムを2回ダビングしてダイナミックを上げている。編曲は達郎さん。
・ドリーム・オブ・ユー (ALBUM VERSION)
この時代に達郎さんがポンタさんとレコーディングした中で気に入ってるヴァージョンがあるという。竹内まりやさんのセカンド・アルバム『UNIVERSITY STREET』で、もともとはシングルで出た「ドリーム・オブ・ユー〜レモンライムの青い風〜」のアルバム・ヴァージョンを作ってくれという依頼を受け、集まったメンバーが村上"ポンタ"秀一さんのドラム、岡沢章さんが他の仕事で来られず、小原礼さんのベース、松木恒秀さんのギター、佐藤博さんのキーボードという珍しいリズム・セクション。でもこの小原礼さんのベーズが大正解でいいテイクが録れた。1979年、竹内まりやさんのセカンド・アルバム『UNIVERSITY STREET』に入ってる「ドリーム・オブ・ユー (ALBUM VERSION)」。
・LOVE CELEBRATION
1977年に細野晴臣さんがアルファ・レコードのために、アメリカの女性をひとりプロデュースしアルバムを出す予定だった。いろいろな問題があり、結局お蔵入りになったまま、いまだに公式では発売されていない。プロモーション用のレコードが何枚かあるだけで、めちゃくちゃレアな作品で高値が付いているという。細野晴臣さんをはじめ、矢野顕子さん、吉田美奈子さん、達郎さんも2曲提供している。そんな中の一曲で達郎さん自身が気に入ってたので、1978年に『GO AHEAD!』でセルフ・カヴァーしたが、オリジナルが発売されていないのでどうしようもない。「LOVE CELEBRATION」という曲で歌詞を書いてるのはジェームス・リーガンというニューヨーク・タイムスのコラムニストなんだそうだ。村上"ポンタ"秀一さんのドラム、高水健司さんのベース、ギターは松木恒秀さん、佐藤博さんのキーボード。編曲は達郎さん。リンダ・キャリエールの歌う「LOVE CELEBRATION」。間奏のサックスは村岡健(たける)さんだったという記憶があると達郎さん。
・夫婦放談<番外編>
急ではあるけれど、来週は竹内まりやさんをゲストに迎えて「夫婦放談」の番外編。素敵なお知らせがあり、来週、本人から申し上げたいということ。なので急遽、お便り、メールを募集。
・YO-YO (LIVE)
ポンタさんのインストゥルメンタルをかけようと思ったが、何しろ曲が長く、時間がないし、松岡直也さんとのレコーディングはたくさんあるけれど、ラテン・ミュージックでパーカッションがたくさん入ってて、ポンタさんの独壇場の演奏はないから、今日は歌のバックを中心に。
達郎さんがポンタさんと最初に仕事をしたのは1974年のこと。ルネ・シマールというカナダのケベック出身のいわゆるアイドル・シンガー。フランス語圏のカナダで大変人気を博したアイドル・シンガー。マネージャーをやってた人は、その後、セリーヌ・ディオンのマネージャーになり、セリーヌ・ディオンの旦那さんにもなった。なので、その縁でセリーヌ・ディオンとデュオを発表した。東京音楽祭でグランプリを獲り、ライヴをやることになり、そのコーラス隊を達郎さん、吉田美奈子さん、大貫妙子さん、シュガーベイブのギタリストの村松邦男さんの4人で、バンドの方は村上"ポンタ"秀一さんのドラム、岡沢章さんのベース、松木恒秀さんのギター、バンマスである深町純さんのキーボードというラインナップ。ライヴアルバムが出ていて、やっているのはオズモンズのヒット曲の「YO-YO」。そのフランス語版。「我々がコーラスをやっているので間奏のコーラスは完璧です」と達郎さん。1974年の『FIRST LIVE ALBUM』からルネ・シマール「YO-YO」、クレジットはないが、渋谷公会堂かフェスティバルホールのどっちか。
こういう仕事をたくさんやって、でも1980年ぐらいからだんだん離れていって、好きなロックとラテンと、ジャズと、そういうものに、ポンタさんは行くことになる。
本当はドラム・ソロを今週は持ってきたが時間がないので、また次の機会に。
シュガーベイブからソロになり、達郎さんが「RIDE ON TIME」でブレイクする直前までの、77年から79年ぐらいまでの4年近く、スタジオ・ミュージシャンのメンバーとレコーディングとライヴを続け、その間を埋めてもらった。インタビューの中でも話しているが、スタジオ・ミュージシャンという職業は誰でも使える。ポンタさんを使いたい人がいれば呼べる。逆にいうと自分の音を作ったその人たちが、他に現場で同じ音を再現することができる。達郎さんはバンド上がりなので、自分のリズム・セクションで、独自性というか個性を出したいときに、スタジオ・ミュージシャンの人はスケジュール押さえやギャラの問題で、その当時はそんなにお金がなかったので、そういう制約がすごくあったので、どうしてもスタジオ・ミュージシャンではない、若い人で自分ががっぷり四つで一年中やれるミュージシャンが欲しくて、その後はそうしたアプローチにしようと思っていたときに、青山純さんと伊藤広規さんの二人と出会い、二人でその後10年以上やることができた。でもその間の修練というか修行の期間をああした一流のミュージシャンの、ひじょうに高度なプレイで一緒にできたというのはかけがえのない体験。ポンタさんは分け隔てのない人で、いろいろなアドバイスを受けた。最高のドラマーの一人だった。
・CIRCUS TOWN (LIVE)
リクエストした大阪府池田市のリスナーから「とあるテレビ番組でポンタさんが、演奏前にいつもドラムを蹴っ飛ばして、俺の方がお前より偉いんだぞって、ドラムにわからせてから叩き出すって仰ってましたが、本当にそんなことしてたんですか?」という質問。
「盛ってるんです。でも時々はやってます」と達郎さん。
1978年の達郎さんのライヴ・アルバム『IT'S A POPPIN' TIME』から「CIRCUS TOWN」。
「生きてる我々は旅立った方々の分まで一所懸命生きなければならないと思います。特にこういう時代でございますので。自分の身は自分で守ると言いましょうか。そうしたものは本当に問われる時代でございます。心引き締めていってみたいと思います。でもあくまで明るく前向きに」と達郎さん。
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2021年04月25日は、急遽「夫婦放談<番外編> ゲスト:竹内まりや」
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