2018年05月13日プレイリスト
「ギブソン・ギターで、棚からひとつかみ Part 1」
1. アンフィシアターの夜 / 竹内まりや
(松浦善博) "ヴァラエティ" '84
2. SCHOOL DAY / CHUCK BERRY '57
3. WHISPERING / LES PAUL '51
4. BACK IN BLACK (LIVE) / AC/DC (ANGUS YOUNG) '92
5. BORN UNDER A BAD SIGN / ALBERT KING '67
6. I'LL SEE YOU IN MY DREAMS / CHET ATKINS '87
7. BLUE SHADOWS / B.B.KING "IN LONDON" '71
8. STILL GOT THE BLUES / GARY MOORE '90
9. REBORN / 山下達郎
(日下部 "BURNY" 正則) '17
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■内容の一部を抜粋
・近況
「わたし、おかげさまでシングル完パケまして、工場へと旅立ちました。ちょっとだけのんびりしましたけれども、またライヴの準備その他、はじまるアレでございますが一所懸命やりたいと思っております」と達郎さん。
・ギブソン・ギターで、棚からひとつかみ Part 1
アメリカのギターのメーカー、ギブソンが経営破綻したというニューズが入ってきた。このところいろいろな買収をしており、それが原因で経営にしわ寄せが来たといわれている。達郎さんの友人の話によると、最近はギターが売れないそうで、アメリカのギターの売上がここの10年間で半減しているという数字があるそうだ。「若い子がもうギターを弾かなくなった。そうですよね。レコードが売れなくなったというか、全部レコードがタダ聴きでスマホで聴けるんですからね。一所懸命5つ6つから楽器練習してうまくなっても、それでご飯が食べられない。そういうような状態。日本はもう少子化でございます。美術なども美大に行って、昔は美術の先生になって、その間に一所懸命絵を描くみたいなものありましたけれど、美術の先生の職がないという。少子化で。そういうような暗いニュースばっかりですけれども。それでも別に絵を描くこととか音楽がなくなるわけじゃありませんですので、そう悲観してばかりいられませんが」と達郎さん。ギブソンは日本でいう意味の倒産ではなく会社更生法ではなく民事再生とかそういうことだという。フェンダー、ギブソンはエレキ・ギターのルーツ、ギブソン潰れないでほしいということで、今週はささやかな極東からの応援で今週、来週の二週間使って「ギブソン・ギターで、棚からひとつかみ」。ギブソンを使ってるギタリストの特集。ブルース系やルーツ・ミュージック系を中心に「ギブソン・ギターで、棚からひとつかみ Part 1」。
・アンフィシアターの夜
達郎さんはフェンダーのテレキャスターを40数年使ってきて、ギブソンはレコーディングしか使わないそうだ。達郎さんの知り合いのギブソン使いの中でいちばん親しいのが松浦善博さん。ゴールドトップのレスポールで素晴らしいギター・ソロ、それからボトル・ネックは彼が日本一だと達郎さんは信じてるという。何曲もレコーディングを頼んできたがその中から1984年のまりやさんのアルバム『VARIETY』に収録されてる「アンフィシアターの夜」。
ギブソンは1902年に創設されたギターの会社。はじめはアコースティックだけだったが、エレキギターを作りはじめ、いろいろなギターが出ている。ギブソンのギターを愛用しているミュージシャンは古今東西たくさんいる。なるべくギブソンだけしか使ってないミュージシャンに限って選曲。いわゆる御三家のエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジはいろんなメーカーのギターを使ってるのでかけないそうだ。
・SCHOOL DAY
チャック・ベリーといえば335。ミスター・ギブソン。1957年の大ヒット「SCHOOL DAY」。
・WHISPERING
ギブソンといえば最も歴史上有名なミュージシャンはレス・ポール。レスポール・モデルというのがあり、それはレス・ポールが開発したギター。レス・ポールはエレキ・ギターに関して革命的なことをした人で、ひとり多重とかエフェクターとか革新的なものを1940年代から1950年代にかけてすでに行った。1951年、全米チャート7位まで上がった「WHISPERING」は1920年ぐらいの曲で、作曲はヴィンセント・ローズ、「BLUEBERRY HILL」の作曲者で有名。レス・ポールのひとり多重の技が冴える一曲。
・BACK IN BLACK (LIVE)
ギブソンといって達郎さんがいちばん最初に思いつくのがAC/DCのアンデス・ヤング。ひたすらSGで突進する。1980年のアルバム『BACK IN BLACK』からタイトル曲の「BACK IN BLACK」。今日は折角だから1992年のライヴ・アルバムから。
ギブソンが今回経営破綻の危機だという報道があったけれど、何回か困難な時代があって'60年代や'80年代にもあったし、身売りしてまたもとに戻ってきたこともある。要するにギターを作るのは職人だから腕はよくても経営能力がないということもある。今回はいろんなものを買収して、それがうまくいかなくなったのが大きな原因だといわれている。「そうはいってもギブソンのブランドがですね、全く消滅するとか、そういうことは多分ありえないので、ギターの分門は黒字だと、やっぱりそうかと思いましたが、いくらギター、こどもが弾かなくなったといってもですね、まだまだロックンロールがある限り(笑)。でもロックンロールがやっぱりこう、違う方向になってきたのかな。ギターがそんなに売れなくなったというのは。そんなことブツブツいってもしょうがないですけれども」と達郎さん。
・BORN UNDER A BAD SIGN
次はブルース・ギタリスト。ミシシッピー生まれのアルバート・キング。アルバート・キングといえば日本では何といっても「BORN UNDER BAD SIGN」。アルバート・キングとブッカーT.ジョーンズの共作。アルバート・キングのヴァージョンはブッカーT. & THE MG'Sがバックを務めている。1967年、R&Bチャート47位。アルバート・キングはフライングVというギター。しかもサウスポー用。
ウェス・モンゴメリーを選曲してCM前にオンエアするつもりだったが、山岸さんから時間オーバーになると言われたそうだ。ジャズはギブソン・ギター一辺倒で、特に'60年代のシャズ・ギタリストはギブソンしかエレキ・ギター弾くものがなかったという。来週も長い曲を選曲しているのでウェス・モンゴメリーがかけられず、5月末に「ジャズ特集」を行う予定なのでそのときにオンエアすることにしたという。
・PERFORMANCE 2018
今年も6月23日から全国ホール・ツアーがはじまる。全国24都市49公演。8月1日、大阪のフェスティバルホール公演までのチケット発売は終了している。詳しくは山下達郎オフィシャル・サイトにて。
http://www.tatsuro.co.jp/live/
・細田守監督最新作『未来のミライ』
『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』、そして『バケモノの子』に続く細田守監督最新作『未来のミライ』が7月20日に公開される。この度、このアニメ『未来のミライ』のオープニング・テーマとラストのエンディング・テーマ(主題歌)を達郎さんが書下ろすことに決まった。2009年の『サマーウォーズ』以来、2度目のタッグとなり、実に9年ぶりのコラボ。この2曲はシングルとして7月11日に発売予定。詳しくはワーナーミュージック・ジャパンの山下達郎スペシャル・サイトにて。
https://wmg.jp/tatsuro/
達郎さんのメインのキダーはフェンダーのテレキャスター。ギブソンのギターは高くて達郎さんが中学・高校時代の'60年代、サラリーマンの初任給が4万円とか5万円だったときに、ギブソンのレスポールは正価で32万円したという。フェンダーのテレキャスターは17万。半分くらいなので、だからフェンダー使ってる人はみんな貧乏だという傾向がある(笑)と達郎さん。達郎さんの世代だとフェンダーよりギブソンのほうが質的に上だという認識だが、日本でフェンダーもギブソンも代理店をやっている山野楽器が、輸入品だから厳しくチェックしていたので、ギブソンがやばい時期に作られたギターは雑なものが多いそうで、山野楽器がそれを厳しくチェックしたので、日本でのギブソンのギターのクオリティーは高いのだという。達郎さんはスタジオで使用するアコースティック・ギター、BRUTUSの表紙に写っているのが愛用しているギブソンのギター。特にエレクトリック・アコースティック、エレアコと呼ぶギターは、ステージで使うときにアコースティックのピックアップを付けて演奏しているが、もう20数年、ギブソン一辺倒なのだとか。チェット・アトキンスがギブソンと契約していたときに開発したチェット・アトキンス・モデルのエレクトリック・アコースティック、ガット・ギター版とスチール・ギター版、スチールの12弦ギター版を今でも達郎さんはステージで愛用しているそうだ。特にエレ・ガットと呼ばれるガット・ギターのナイロン弦のエレクトリック・アコースティックはチェット・アトキンス・モデルがいちばんいい音がするのだという。チェット・アトキンスは昔、グレッチのカントリー・ジェントルメンを使っていたが、エレクトリック・アコースティックはいろんなライヴでチェット・アトキンスが使ってる映像が残っている。
・I'LL SEE YOU IN MY DREAMS
チェット・アトキンスがエレ・ガットを使ってる曲から、1987年に「チェット・アトキンス&フレンズ」というショーが行われ、それが映像作品として発売になり、今はDVDで観ることができる。この中でマーク・ノップラーが出てきて、マーク・ノップラーはフェンダのストラトキャスターを弾いて、チェット・アトキンスはエレクトリックのガット・ギターで掛け合いをしている「I'LL SEE YOU IN MY DREAMS」。
・BLUE SHADOWS
B.B.キングもギブソン・ギターの愛用者。「BLUE SHADOWS」はローウェル・フルソンの曲のカヴァー。今日はロンドンで録音したテイクで、1971年のアルバム『IN LONDON』から。
・STILL GOT THE BLUES
ゲイリー・ムーアはレスポール使いで有名な人。泣きのギターといえばこれ。1990年の「STILL GOT THE BLUES」。
・REBORN
達郎さんの曲でギブソンのギターでソロを取ってる曲はほとんどないとか。335で「蒼氓」の間奏をやってるくらい。昨年のシングル「REBORN」のコーダを弾いてるのが日下部 "BURNY" 正則さんで、ギブソンのブラック・ビューティーというギター。
・今後の予定
来週も引き続いて「ギブソン・ギターで、棚からひとつかみ Part 2」。来週はソロをフィーチャーした長めの曲と邦楽を少しオンエアする予定。前倒しで収録するのでリクエストには応えられないそうだ。今週もリクエストが来ていたけれどテンパって作ったので応えられなかったという。徹頭徹尾達郎さん好みの特集だとか。
■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
2018年05月20日は、「ギブソン・ギターで、棚からひとつかみ Part 2」
http://www.tatsuro.co.jp