10月13日(月・祝) 晴れ。
大貫妙子「ピュア・アコースティック 2008」を聴きに神戸へ行った。
新神戸オリエンタル劇場はクラシックの室内楽や舞台などで主に使用されている会場だとか。
弦楽四重奏とコントラバス、ピアノ、ドラムスという編成のアコースティック・コンサートには
ぴったりの会場で、大貫妙子は20年くらい前のアルバム『PURISSIMA』の公演を
ここでやっているのだそうだ。
暑かった夏がようやく終わり、陽がやわらぎ過ごしやすくなった初秋。
アメリカ発の金融危機で株価が暴落している中、
浮き世の騒動を忘れるかのような美しい音楽の調べが会場を浸した。
ライヴはフェビアン・レザ・パネの絹のようなピアノの音色と、
林立夫のドラミングが冴える「Hiver」ではじまった。
ジャズ・オリエンテッドな演奏だった。
映画のようなストーリー仕立てで冬の情景が浮かび、
「ピュア・アコースティック」の導入部としては成功だったと思う。
ストリングスは2曲目の「夏に恋する女たち」から。
ここからは昨年の"Boucles d'oreilles" Tour 2007とほぼ同じ構成で、
季節が春から秋に変わっただけという感じを受けた。
http://blog.goo.ne.jp/sitedoi/e/08a70c4d4dbff8079e5f0ba887e36a49
そうした季節の話題は大貫妙子のほうからもあり、
「新しいシャツ」の前に、人生を季節に例えると春夏秋冬ではなくて
冬春夏秋だと思っているという話をした。
「黒のクレール」の前に、人生の中には幾つもの思い出があって、
思い出したくないこともあるし、いつの間にか美しい思い出となって
ることもあって、自分の歌を通して聴いてる人が思い出と出会ってくれたら
いいなと思って歌っていると話した。
「空へ」、「突然の贈りもの」と静かな曲が続いた後でメンバー紹介。
今のメンバーとなって6年くらい経つそうだ。
スウィングするアレンジとなった「横顔」にオーディエンスは大喝采。
「Shall we dance?」では上からミラーボールが降りてきてクルクルと回った。
ベニスの風景を描写した「Cavaliere Servento」。
オーディエンスは空想の旅に出る。
坂本龍一作曲の「TANGO」が続いて演奏され、
空想の旅はアルゼンチンへと向かった。
美しい日本の自然のことを歌った「四季」の後で、
「モア・トゥリーズ」の話題があった。
これは「モア・トゥリーズの森」という活動で、坂本龍一の呼びかけにより
はじまったのだとか。
http://openers.jp/more_trees/index.html
http://www.more-trees.org/
アジアでの活動として四国の森を整備することからはじめているという。
森がよみがえることで大地に自然が戻り、動物や虫が戻ってくる。
自分たちが暮らす環境は自分たちで行動し作るという活動精神。
大貫妙子はこの活動に賛同し、コンサート会場でグッズを販売している。
オーガニック・コットンのTシャツにナマケモノのバッジが付いている。
Tシャツ1枚の収益で10坪の土地が整備できるのだとか。
最後の曲「Kiss The Dream」を歌う前に大貫妙子は、
何が起こるかわからない時代で希望を歌うには責任が持てなくなって
きているけれど、それでも夢を見ることを忘れず、それを実現してゆく
ようにしたいと話した。
ステージの後ろのスクリーンに星が降りそそいでいて美しかった。
■PURE ACOUSTIC 2008
10月13日(月・祝) 新神戸オリエンタル劇場
1階Q列23番
大貫妙子(vo)
フェビアン・レザ・パネ(pf)
吉野弘志(b)
林立夫(ds)
ASKAストリングス(金子飛鳥Vn/相磯優子Vn/志賀恵子Va/木村隆哉Vc)
Set List
01 Hiver
02 夏に恋する女たち
03 Siena
04 新しいシャツ
05 彼と彼女のソネット
06 黒のクレール
07 幻惑
08 空へ
09 突然の贈りもの
10 横顔
11 Shall we dance?
12 Cavaliere Servento
13 TANGO
14 四季
15 風の道
16 Time To Go
Encore
17 ベジタブル
18 Kiss The Dream
新神戸オリエンタル劇場
http://www.shinkobeoriental.com/
このライブ、行き損ねたので
どい さんのアップを楽しみにしておりました。
MORE TREESにも参加されてたんですね。
20年くらい前にはじめて「黒のクレール」を聴いたときは、そんなに好きな曲でもなかったんですが、時間が経って聴くといいんですよね~。曲の印象というのは変化しますね。
ライヴでは「ター坊、やっぱ男前」っていう声が飛んでましたが(笑)、きっぱりとした言動に心地よさがありました。モア・トゥリーズの話は初耳でした~。