ドミニック・ドゥ・ビルパン「戦争の精神に抗して」
今日三つ目の敵となっているのは、他者を排除する態度です。フランスは日を追って次第に身をこわばらせています。指導者たちの言葉はますます分裂へと、排除へと傾き、危険な同一視がいたるところで生まれています。歴史の教えに従えば、堤防が決壊した時、国は崩壊の危機に瀕するのです。私たちが暴力を引きつけてしまったのは、私たち自身が分裂し、力を失い、内向きになっていたからです。国が傷つき、血を流していたからです。[ウルベック氏の新作をめぐる]文学論議や党派的なデマゴギーが示すように、問題は他者から、何ものかの侵入から、想定されうる政治の交替から、私たちを救うことではなく、私たち自身から、私たちの諦念から、衰退をどこかうっとり眺める私たちから、自殺行為にも似た西洋中心主義の誘惑から、自分たちを救い出すことなのです。
試練のとき、私たちひとり一人には果たすべき義務があります。責任を持って、熱狂せず、手をとりあって行動しましょう。民主主義の模範を示すことによって見返してやりましょう。本来の私たちの姿に、対話と文化の力と教育と平和を信じる、共和国の民へと戻ることにしましょう。
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先日もお話ししたように、パリとその郊外で惨劇があったその翌日にドゥ・ピルパンが書いた文章です。この時点で、彼が、現首相バルスが議場で「戦争」という言葉を口にしたのを耳にしていたのかどうかわかりませんが、''Je suis Charlie''という合言葉で、フランスの街路が群衆で埋め尽くされる以前に、元首相がこうした言葉を連ねていたことに、ぼくは心うたれました。
misayoさん、NIさん、訳文ありがとうございました。今回も、ぼくからとくに付け加えることは何もありません。NIさんの訳から推察するに、フランス語をかなりしっかり読める方ですね。来年度4月からは「教室」の更新の頻度は月一回程度になりそうですが、今後ともよろしくおつきあい下さい。
お知らせが遅れましたが、昨年春からFRENCH BLOOM NET でもフランス語読解の講座を持っています。ここ三回ほどは、以前この教室で「要旨」のみ扱ったAlain Badieu の恋愛談義を教材に使いました。興味のある方は以下もまた参考になさって下さい。
http://www.frenchbloom.net/type/tips/3795/
また、重要だと思われる新聞記事などについては、Twitter 上で@hiokiのユーザー名で時々紹介しています。こちらも覗いてみて下さい。
ここ東海地方でも陽射しには春のきらめきが確かに感じられるようになりました。それでもまだしばらくは「春は名のみの」でしょうが、どうかみなさんお身体に気をつけて花の季節をお迎え下さい。また桜の頃にお目にかかりましょう。Shuhei
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