新年、明けましておめでとうございます。昨年は、ICカード共通化や新幹線の試運転開始など、話題の多い1年でした。今年はいよいよ、九州新幹線の全線開業。楽しく、忙しい1年になりそうです。
さて昨年末の12月27日、JR九州の割引きっぷの来春以降の取り扱いについて、大々的に発表がありました。九州内での特急利用は、今や「2枚・4枚きっぷ」が主流。「実勢価格」たる割引きっぷの価格にも注目が集まっていたところです。
それではプレス発表を元に、久留米視点で、この春から いくらで移動できるのか、分析してみましょう。
【1】 新幹線で博多まで1,550円
思いの他安く設定された、久留米~博多間の正規の新幹線自由席特急料金。さらに2枚・4枚きっぷで1,200円程度にまで下がってほしい、あわよくば1,000円程度まで…と思っていましたが、なんとこの区間には割引きっぷの設定なし! 正規運賃の1,550円が、実勢価格ということになってしまいました。
正規料金を安く抑えた代わりに、割引きっぷの設定はしなかったということだろうけど、正直、もう一声、安くなってほしかった。現行の「4枚きっぷ」1枚あたり800円のほぼ倍額ですが、それに見合う利便性かというと、ちょっと疑問。個人的には、快速か西鉄の利用が増えそうです。
【追記2013.6.27】現在は、有効期限1日という制限付きながら、「日帰り2枚きっぷ」が2,400円(1枚当たり1,200円)で設定されています。
【2】 新幹線で博多まで通勤1ヶ月44,750円・通学1ヶ月33,690円
一方の定期券「新幹線エクセルパス」は、現行の在来線特急定期に比べて1ヶ月当たり、5,650円アップに。新幹線のダイヤは通勤にも便利にできているので、この値上げ幅なら許容範囲内かなと思います。
ちなみに熊本への定期券は、通学1ヶ月55,280円。熊本の大学ならば、下宿ではなく通学を選択させる親も増えそうです。
【3】 在来線特急で博多まで850円
朝夕の有明3往復に加え、久大本線の「ゆふ」を合わせて、久留米~博多間では1日6往復が残ることになった、在来線特急。割引きっぷも、名前を「有明2枚きっぷ」に衣替えして存続することになりました。
値段は現行と同じ2枚で1,700円ですが、4枚きっぷは廃止になるため、1枚当りでは実質50円の値上げとなります。
【4】 新幹線で熊本まで3,280円(自由席)・鹿児島へ9,430円(指定席)、ネット割もあるけれど…
新幹線の主な区間には、「九州新幹線2枚きっぷ」を設定。これまで同様、久留米発より南に向かう区間の設定がないため、福岡市内発のきっぷを「内方乗車」することになります。
ところが熊本も鹿児島も、博多発の「2枚きっぷ」と比較した場合、正規料金の方が安いため、実勢価格=正規料金ということになりました。
熊本は従来の4枚きっぷから1,280円アップ。鹿児島は「新幹線つばめ2枚きっぷ」に比べ、1,430円アップ。時短効果を考えれば、まあ妥当なラインといったところでしょう。
一方、春からは大々的にネット予約が拡充され、専用の「九州ネットきっぷ」ならば博多から鹿児島中央まで9,000円。さらに3日前まで枚数限定で売られる「九州ネット早得」ならば、鹿児島中央まで8,500円、熊本まで3,000円になります。久留米からでも、これらのきっぷの方が安くなりそうです。
ただ、いずれも列車・席数限定で、ビジネス利用ならともかく、たまにしか乗らないような人にとっては、会員登録とクレジット決済を伴うネット割引のハードルは高いもの。また鹿児島ならともかく、わずか21分の熊本へ行くのに、3日前までに日程を決めて指定席を取るというのもストレスです。
実勢価格とは別の、特割的な位置づけになるでしょう。
【5】 新大阪への割引きっぷは未発表、ネット予約で13,020円
久留米~新大阪間など、現行の「往復割引きっぷ」は廃止され、現在新たな割引きっぷの発売を検討中だとか。
ネット予約の値段は はやばやと発表されており、久留米から新大阪までは13,020円(往復割引の片道当り)。現行の往復割引きっぷ13,200円よりも安く、値ごろ感があります。
なお本州方面の「eきっぷ」については、JR九州のクレジットカード「JQカード」への入会が必須。1年に1回の利用があれば年会費無料だし、スゴカへのオートチャージも対応しているので、鉄道派なら作って損はないはず。博多駅ビルの専門店街、アミュでは5%オフの特典もあります。
というわけで、久留米視点で見た場合、新幹線は通常運賃が実勢価格で、ネット割引を駆使すればもう少し安くなるという結果になりました。
これまで「分かりやすく、明快に」ということで、複雑だった割引きっぷを整理して2枚・4枚きっぷに衣替えしたJR九州でしたが、春以降、使いやすさという点では少しハードルが上がった気がします。
今後、2枚・4枚きっぷをどう扱っていくのか、利用者の判断は?新幹線開業とともに、大きな試金石となりそうです。