Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

GW韓国2014【2】南道海洋観光列車「S-TRAIN」に乗る

2014年05月07日 | ■旅と鉄道

 韓国旅行の2日目・5月4日は、昨年9月から韓国南部で走り始めた観光列車・S-TRAINに乗って、順天観光に出かけました。
 韓国鉄道・KORAILが送り出した定期観光列車は、O-TRAIN、V-TRAINに続き3番目。この5月には非武装地帯観光向けのDMZ-TRAINも走り始めており、なんだか九州のような状態になってきています。


 釜山駅9:19発、麗水EXPO行きのS-TRAIN。ユニークなデザインの機関車が、先頭を飾ります。


 座席は、一般的なムグンファ(急行格)の普通車と同じ。座席の柄と、全席にモバイル用コンセントが設けられていることが違いです。
 観光列車の料金はセマウル(特急格)の特室(グリーン車)扱いになっており、割高にも感じられますが、さまざまなサービス料金という考え方なのでしょう。S-TRAINも人気の列車で、3日前に出たキャンセルをどうにか押えることができました。

 なお、韓国鉄道乗り放題のKRパスは持っていましたが、S-TRAINは適用外とのこと。せめて特室料金の追加ででも、乗れるようになってほしいものです。


 三浪津までは、KTX開業まで二大都市間のメインルートだった、京釜線を上ります。左手に広がる広大な洛東江を、1号車の展望スペースから眺めました。KTXの全線開業までお馴染みだった車窓だけに、懐かしく感じます。
 洛東江沿いにはサイクリングロードが整備され、多くのサイクリストが休日のサイクリングを楽しんでいました。聞きしに勝る、自転車人口の急増ぶりです。


 カフェ&食堂車から、コーヒーを飲みながら慶全線の車窓を眺めます。慶全線は2009年に一度乗ったことがありますが、馬山までは大規模な線路改良が行われ、ローカル線というよりKTXにでも乗っている気分になりました。
 食堂車はテーブル席があり、本格的な食事を期待しますが、冷凍食品程度の品揃え。カフェはムグンファ号のカフェ車のような「茶房コーヒー」ではなく、ちゃんと苦いコーヒーを出してくれて満足しました。


 この列車の何よりの名物は、「茶礼室」。沿線名産地の茶を、茶礼体験とともに楽しめます。
 せっかくの機会なので、若芽を使っているという、一番お高い7,000ウォンのお茶をお願いしました。


 韓国の茶礼に細かい作法はないようですが、茶器は本格的。白磁の茶器を白湯で温め、葉を入れ、丁寧に入れてもらえました。
 茶は韓国らしくちょっと薄めでしたが、流れる車窓を眺めながらの茶は格別な気分。馬山を過ぎ、車窓もローカル線らしくなってきました。


 北川駅では、4分停車。列車交換や時間調整ではない、純粋な観光目的の停車時間です。コスモスの里として有名な駅ですが、春のこの日は、無数の風車が回っていました。
 4分間はちょっと短い感じで、10分くらい止まればV-TRAINのように、地元の商機にもなるのでは? S-TRAINでは唯一の観光停車だけに、充実が期待されます。


 約3時間で、4方面からの線路が集う要衝・順天着。離れたホームには、大田からやってきた兄弟列車のS-TRAINが待っていました。
 大田~光州間と釜山~麗水間の2系統のS-TRAINが順天で「接する」ことで、大田~麗水方面や釜山~光州方面への需要に応えます。このあたりのダイヤの巧みさは、O-TRAINに通じるところがあります。


 順天では、たまたまこちらへ旅行中だった友人と合流。Facebookのおかげで、5年ぶりの再会を果たすことができました。とりあえず、S-TRAIN接続の順天エコシティツアーバスに乗り込みます。
 各地で走る観光バスのシティツアーは安いのが魅力で、順天もわずか9,000ウォンです。予約には銀行振り込みが必要で、事実上日本から予約できないのが難点ですが、友人のおかげで席を抑えることができました。




 バスで幹線道路走ること30分、仙岩寺着。ここでお寺の参拝と、自由昼食の時間になります。13時50分までに正門に行けばガイド付きで参拝できるそうですが、40分しかない!
 川沿いに開けた、春風が気持ちのいい食堂で山菜定食。体に良さそうな味でしたが、ドンドン酒を合わせてしまったので、差し引きゼロかな? やはり13時50分には間に合いませんでしたが、満足の昼食でした。


 韓国の寺は美しい自然の山中にある所が多く、森林浴の気分。特に5月は新緑が美しく、山寺を訪ねるにはいい季節です。
 ただ垂れ幕には、「セウォル号犠牲者のご家族の悲しみを分かち合い、行方不明者の無事の帰還をお祈りします」とあり、今の韓国を映してもいました。


 釈迦誕生日を2日後に控え、提灯の飾り付けがなされていました。
 ただ例年であれば「お祭り」のように祝う日ですが、今年は多くが自粛されたとのこと。


 2番目の見学地、楽安邑城へ。シティツアーでは入場料を各地で現地払いになるのですが、観光シーズンとあって大行列!ただでさえ40分しかない見学時間のうち、10分はバスとの往復、10分は行列に費やされてしまいました。
 昔ながらの城郭が残る文化財なのですが、その中に入ると…


 そこに広がるのは、生活が続く昔ながらの家々。城郭の中にある集落、それが邑城なのです。時が止まったかのような風情に、しばし足が止まりました。
 しかし、なんせ時間がない! 場内には民泊も多いようで、次回はぜひ泊まって、夕暮れから朝への時の移ろいを感じてみたいものです。


 バスは最後のハイライト、順天湾自然生態公園に向かいますが、大渋滞で30分遅れ。しかも、こちらの入場券売り場も大行列で、ただでさえ1時間しかない見学時間では完全にアウトです。目の前にして、泣く泣く引き返しました。
 シーズンの半日では無理があるように思えたコースでしたが、それだけ順天は見どころが多い証。今度は必ずや、ゆっくり訪れようと思います。

 S-TRAINにギリギリ間に合う時間まで、見学時間は延長されました。ただ友人を始め、S-TRAINの前の急行に乗る人は間に合わなくなるため、タクシー代1万ウォンを渡され、先に駅へ帰るようフォローしてくれました。残念だったけど、きめ細かいフォローでした。


 順天駅で友人と別れ、僕は西大田行きのS-TRAINに乗車。車体のデザインは違い、茶礼室も運営する自治体が異なるようです。茶礼室にはミニ鉢植えが飾られ、手作り感のあるいい雰囲気でした。
 茶道ではないティーバックの発酵茶を頼んだところ、日本から来て頂いたからと、お茶請けをサービスしてくれました。発酵茶は、紅茶と緑茶の中間のような味。カフェインが豊富で、疲労回復に効果があるのだとか。


 西大田では後続のKTXに乗り、龍山へ。今夜は、駅前の「ドラゴンヒルスパ」(12,000ウォン)で夜明かしです。広々した風呂やサウナでくつろぎ、深夜にも関わらず営業中だったアカスリ(15,000ウォン)も受けて、スッキリしました。
 ただ、連休中のスパの混雑はすごかった。仮眠室は満員、毛布や枕も早々に品切れになり、結局タオルを枕に廊下でごろ寝しました。朝起きてみたら、脱衣所や風呂の洗い場にまで人がゴロゴロ。繁忙期のスパには、相応の覚悟が必要でした。

GW韓国2014【1】機張郡へ伸びる釜山都市鉄道4号線

2014年05月07日 | ■旅と鉄道
 GWは暦通りの4日間、恒例の韓国旅行に出かけてきました。
 日本はGWでも海外は平日!というのが韓国旅行のメリットなのですが、今年は5月3、4日が土日。5日の「こどもの日」は韓国も同じ休日の上に、旧暦基準の釈迦誕生日が今年は6日で、日本と韓国のGWが完全に重なる異例の年です。
 しかも5月1日のメーデーも祝日のため、2日に休めば6連休!という空前の暦並び。きっと各地はお祭り騒ぎなんだろうな…と覚悟していたのですが、2週間前の旅客船沈没事故は、韓国に重い影を落としてもいました。


 6時に早起きして、西鉄電車で天神へ。バスを乗り継ぎ、博多港へ出てきました。博多港という名前ではありますが、天神からの方が近く、県南からならば西鉄でのアクセスが便利です。
 GWの朝のビートルは、30分毎に雁行しているにも関わらず、9時の便はほぼ満席。日韓関係の悪化、円安、LCCの登場に加え、『船ばなれ』のトリプルパンチで苦境のビートルですが、さすがに連休初日とあって盛況でした。


 12時に釜山港へ着きました。シャトルバスで釜山駅に出て、明日から使う切符を購入。ランチは駅内のロッテリアで、「韓牛プルコギバーガー」を食べました。韓国ロッテリア、旅行中は一度食べておきたいのです。
 駅前にはセウォル号沈没事故の釜山市民焼香所が設けられ、多くの市民が列を作って花を手向けていました。地下道工事の仮囲いにも、行方不明者の帰還を祈る黄色いリボンがぎっしり。駅前からは旅立ちの高揚感よりも、祈りの空気を強く感じました。




 2011年、釜山北部に開業した4号線に乗りに来ました。1号線は東莱駅手前で地上に出ますが、4号線は地下になるため、東莱駅での乗り換えは高架から地下への大移動になります。
 4号線の特徴は、ゴムタイヤで走る「新交通システム」方式で、ATOによる無人運転を行っていること。日本では「ゆりかもめ」や「ニュートラム」でお馴染みのシステムです。最前部、最後部は客席になっており、迫力ある展望を楽しめます。


 せっかくの前面展望なのに景色を眺める人はおらず、日本との違いに少し寂しい気も…。ところが途中で二組の母子連れが乗り込んできて、最前部へ。「下るよ下るよ~」「すれちがうよ~」と、大喜びでした。
 地上に出れば、そこは郊外というより田舎の風景。新交通システムとはミスマッチな風景ですが、それもまた新鮮な感じです。


 盤松周辺まで来ると、住宅街が見えてきました。びっしりと並ぶ昔からの小さな住宅と、背後の大きな高層マンション群が印象的な風景です。大学も2つが立地しており、若者の乗降も目立ちました。
 終点・安平駅の住所は「機張郡」。ついに都市鉄道は、郡部にまで伸びてきたことになります。ただし機張郡は広大な釜山広域市の管轄なので、市内とも言えます。


 4号線の電車の車内は、こんな雰囲気。成田エクスプレスや富山ポートラムでお馴染み、GKのデザインなので、日本人にも違和感なくクールに思える内装です。
 窓はドア間に1枚とかなり大き目で、流れる車窓を楽しめます。


 帰路は、石坮駅から盤如農産物市場駅の1駅間をプラプラ散歩。石坮川沿いにサイクリングロード&遊歩道が続き、気持ちのいい散歩道です。時々頭上を、音も立てずに4号線の電車が走り去っていきます。
 盤如農産物市場駅は、吹き抜けの大空間が広がる大きな駅舎。田舎なのになぜ?といぶかしみましたが、どうやら保線担当の事務所があるようです。


 夕方4時、東莱駅前で釜山在住の友人らと合流。初めての土地なので、まずは街中をぶらぶらしました。
 駅東側には「そこそこきれいで、そこそこ安い」飲み屋が盛りだくさん。早くも飲み始めている人も多く、南浦洞や西面に飽きた人にはおすすめできるかも。


 僕らも、まずは「男子ホルモン」でカンパイ!韓国的味付けのホルモンは、ビールがすすむすすむ(笑)。
 フェイスブックで店のタグを付けると、焼酎が1本サービスに。おかげで、焼酎もすすみました(笑)。


 地下鉄で釜山大へ移動し、日本ではなかなか口に入らなくなったユッケの専門店へ。学生街の店だけに学生ばかりで、お値段もお手頃でした。


 さらに3軒目では、パジョンに焼き麺を食らう!
 隣の席では、日韓の交流ライブを終えたバンドが打ち上げしていましたが、意思の疎通がままならないということで、僕ら3人が即席通訳に。ノリノリのメンバーと日付が変わるまで盛り上がって、初日の夜は更けて行きました。