Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

広島酒まつり&清流線の旅【3】台風を避けつつ無事に九州へ

2014年10月17日 | ■旅と鉄道
 早朝6時に起床。折しも台風19号が接近中で、起きるや否やテレビをつけて情報をチェックしました。福岡や広島を直撃することはなさそうだけど、JR西日本の在来線各線では大規模運休が予告されており、はやめに帰っておいた方がよさそうです。
 予定を切り上げ、お昼の新幹線で帰ることを決心しましたが、本来「こだま往復」は変更ができないきっぷ。無理と言われればそれまでですが、さてどうなることか。


 というわけで、まだ台風の気配を感じない広島の街へ歩き出しました。早朝から、路面電車は長い編成で街を行き交います。


 中電前からもほど近い、平和記念公園へ。


 噴水のまわりに人が集まっており、何事かと思えば時刻は6時半。噴水に一礼した後、ラジオ体操が始まりました。
 せっかくなので、僕も飛び入り参加。久々に「第2」までしっかり体を動かし、全身がすっきりしました。


 体操が終わると、何人かは慰霊碑に向かって手を合わせ、公園を後にしていました。
 昼間だと観光客の姿の方が目立つ公園ですが、早朝は広島市民の健康づくりの場であり、毎朝の祈りの場でもありました。


 早朝の原爆ドーム。


 ホテルに戻り、充実の朝食を食べているうちに雨が降り出してきました。地下街の「紙屋町シャレオ」を巡り、基町クレドへ登る頃には時折暴風も吹くように。
 街を歩く人の姿も少なく、少しずつ台風が近づいてきていることを感じさせました。


 太田川や、名建築「基町アパート」を望むことができるテラスも、閉鎖中でした。


 広電で広島駅に行けば、みどりの窓口は大行列。「こだま往復」の変更を申し出ると、すんなり受け付けてもらえました。19号接近で旅行を中止する人には無手数料払い戻しも行っており、柔軟な措置が取られていました。
 発車までの時間は、駅ビルでお好み焼きを昼食に。麺入りのお好み焼きは、ボリュームたっぷりです。


 今回の台風では前日、JR西日本が京阪神地区の夕方以降全終日運休を予告し、予定通りに決行。一方で私鉄は大きな遅れもなく運行を続けていたことから、その措置には賛否が分かれました。
 中国地方でも同様の予告がなされ、12時前後には各方面の「最終列車」が出発。一事が万事、特に広島では大きな土砂災害があったこともあり一定の理解はできましたが、隣で新幹線がほぼ定時で走っているのは、奇異な光景ではありました。


 おかげで、無事に九州へ帰れます。ゆったりしたレールスターの座席に身を委ねていれば、3日間の旅疲れ(飲み疲れ?)であっという間に夢の中へ。気付けば、新下関駅の直前でした。
 寝てしまえば、「のぞみ」も「こだま」も変わらない!?


 福岡も吹き返しの風が強かったものの、間引き運転だった特急も徐々に本数を戻しており、ほぼ通常ダイヤでの運行が続けられていました。
 博多駅の2階カフェで「旅のふりかえり」をした後は、吹き抜けの「ななつ星」1周年記念コーナーを見学。「ななつ星」はちょっと無理だけど、次の旅への夢を膨らませつつ3連休の旅の幕は降りました。

広島酒まつり&清流線の旅【2】清流沿いを走る、生きた未成線に乗る

2014年10月17日 | ■旅と鉄道

 3連休の広島の旅。連休だけに宿探しは難航したのですが、一瞬だけ生まれたキャンセルを狙って確保したのが、コンフォートホテル広島大手町でした。
 14階の客室からは、ビルの谷間ではありますが広電の電車が見えます。まさにトレインビューホテルで、しばし行き交う電車を眺めていました。


 広島市内を縦横無尽に駆け巡る市内電車は、旅行者にとっても強い味方。広島駅~紙屋町~宇品を結ぶ1系統は利用者が多く、ほとんどが連接車による運行です。
 低床電車の「グリーンムーバ―Max」に当たることが多いのですが、中にはこんな古豪も。昭和50年に西鉄の福岡市内線を追われてやってきたベテランが、健在です。もう広島生活の方が長いのでは?


 7系統で横川へ。広島市街地から山陽本線を西へ向かうなら、一旦広島駅に出るよりも、こちらが便利です。
 駅前は大屋根で覆われていて、乗り換えにも傘いらず。駅の規模が小さい分、迷わずに済むのもいいところです。


 山陽本線の「黄色い電車」で岩国へ。錦川清流線のディーゼルカーに乗り換えました。
 錦川鉄道・錦川清流線は、1987年にJR岩日線を転換して生まれた、第三セクター鉄道。沿線人口は決して多くないものの、積極的な観光客の誘致で堅実な経営を続けています。


 派手なラッピングの気動車の車内は、ゆったりした転換クロスシートで快適。大きめのテーブルも備えられ、観光輸送にも対応した豪華仕様です。
 2両編成ながら後部の1両は締め切りになっていて いぶかしんでいたところ、清流新岩国駅から大挙、団体さんが乗り込んできました。1両目とて、ほとんどが観光客の風情です。


 清流線の名に違わず、車窓からは錦川の清らかな流れを望みます。川底まで透き通る川面は青色に輝き、アユ釣りに勤しむ釣り人の姿を映していました。
 眺めのいい場所では、どの列車も「観光徐行」を行い、遠来の乗客を楽しませてくれます。


 駅周辺に張り付く集落は、正しい日本の田舎!といった風情です。赤い瓦の家々は、庭の手入れも行き届いています。空き家も見られないわけではありませんが、山あいの集落としては少ない方では。レールが通じている分、過疎化のスピードも緩いのかもしれません。
 清流線の本数は1日10往復と決して多くないものの、5時台から22時台まで動いており、岩国市内への通勤にも充分使えます。


 急に開けて「街」らしくなったところで、終点・錦町駅に到着。終点の印が立つ、どん詰まりの終着駅です。
 しかし線路の路盤は続き、駅の先で待ち受けるのは…


 その名も「とことこトレイン」! 日本海側へと結ぶべく工事が始まり、途中まで完成していたのにも関わらず、国鉄改革で日の目を見なかった未成線「岩日北線」の路盤を活用したロードトレインです。
 マイカーでやってくる人も多いのですが、錦川鉄道に乗ってやって来ると特典いろいろ。往復運賃が1,000円に割引されたり、事前予約ができたりします。


 高規格の路線で、錦町を出発するとすぐに長いトンネルになります。暗闇の無聊を慰めてくれるのが、輝く壁画。LEDライトではなく、蛍光石にブラックライトを当てて光らせています。
 とことこトレインも一旦停止、下車して鑑賞することができました。


 長いトンネルを抜けると、コンクリートの橋梁の上に出ました。左手のコンクリートの構造物は、出市駅として計画されていたものです。


 路盤の両側に並ぶのは、桜並木。春の美しさは、さぞかしでしょう。つい先週までは彼岸花がきれいだったそうで、いずれかきれいな季節にまた訪れてみたいものと思います。
 ちなみにとことこトレインの走る路盤は、すべて細長い公園という扱い。とことこトレインも、園内の遊具という位置付けになっています。帰路のとことこトレインからは、「公園」を散歩する人の姿も見られました。


 2本目の長いトンネルは、コウモリの住み家。前方を眺めると、それはもう無数の黒い影が飛び回っていました。さすが動作が機敏な動物だけに、とことこトレインにぶつかることはなく、客席に飛び込んでくることもありません。
 終点、雙津峡(そうづきょう)温泉着。使われぬまま解体された、呼子線や高千穂新線を見てきた者としては、幸せな「未成線」に見えた岩日北線でした。


 せっかくなので、駅名にもなっている温泉に出かけることに。徒歩圏内にはアメニティ充実の「錦パレス」と、源泉かけ流しの湯が自慢の「憩いの家」があり、後者を目指しました。
 名前から高齢者福祉施設的なものを想像していましたが、普通の温泉施設のようです。


 お腹も空いたので、まずはお昼ごはんから。鮎の塩焼き定食と錦寿司を頼んで、シェアしました。あの美しい清流で育った鮎が、まずかろうはずがありません。
 温泉は「掛け流し」の字に違わず、浴槽にじゃんじゃん注がれていました。飲泉も可能で、ほのかに鉄の味を感じます。肌触りもなめらかになる、いい湯でした。


 15時のとことこトレインで、錦町に戻ります。雙津峡温泉駅で降りずにそのまま折り返す人も多く、ちょっともったいないなと思いました。時間が許せば、ぜひ山間の温泉へ!
 帰路のトンネルでは往路と違う位置に停車し、別の壁画を楽しむことができました。


 錦川の清流に少しだけ手を触れた後、16時05分の列車で錦町を後にします。
 ホームの腕木式信号機は、国鉄時代に使われていたもの。シンボルとして昨日、取り付けられたばかりだそうです。


 帰路は、清流新岩国駅で下車。新幹線との接続駅ですが、ホームが1本だけの小さな駅です。待合室は車掌車の改造でした。
 待合室には、昨年までの旧駅名である「御庄駅」の字が残っていました。


 新岩国駅までは、徒歩5分ほど。乗り換え通路には屋根があり、濡れずに乗り換えられます。


 新岩国駅は1975年の開業以来、大規模な改修は行われていないようで、国鉄時代そのままの懐かしい雰囲気が色濃く残ります。
 サイン類のフォントは「お手洗い」以外、古めかしい感じ。フレックスの広告の「エリート気分」というフレーズには、どこかバブル時代の名残りを感じます。


 公衆電話そのものも使う機会が減りましたが、この看板、ダイヤル電話がモチーフだよね…!?
 女子トイレは全部和式だったとかで、あちこちで「時代」を感じた駅舎でした。


 新岩国駅からは、いわくにバスに乗って錦帯橋へ。ちょうど夕暮れから夜へと移り変わる時間で、いろんな色に染まる橋を見ることができました。
 錦帯橋の見える小料理屋さんで、岩国寿司と鯛のかぶと煮をつまみながら一休み。日本酒が欲しくなりますが、昨日は飲みすぎているので、我慢我慢…!


 錦帯橋からは、バスで岩国駅へ。暗い夜道を走っていましたが、駅前通りに出た途端、明るいアーケード街になりびっくり。いろんな飲み屋さんも充実していて、フラリと降りたくなる衝動に駆られます。
 岩国駅からJRに乗り、今度は西広島で広電に乗り換え。こちらもドーム状の大きな屋根がかかり、解放感がある駅舎です。


 2系統に乗り、銀山町に出てきました。京橋川の川辺に立つのが、牡蠣料理の「牡蠣亭」。本来、建造物を作ることができない河川空間ですが、国交省の特例措置で認められているものなのだとか。
 河辺の風を感じつつ、橋に目をやれば広電の電車。30mを越える宮島線の電車は、大きな窓から街に光を投げかけるように走って行きます。いいロケーションです。


 牡蠣グラタンに焼き牡蠣、牡蠣飯と、牡蠣づくしの晩御飯を堪能。思わず顔がほころぶおいしさです。
 2日目の広島をすっかり満喫しつつも、台風の影が次第に忍び寄ってきていたのでした。