Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

越後酒めぐり&北陸新幹線の旅【1】平行在来線は酒街道

2015年04月24日 | ■旅と鉄道
 この春、ついに北陸新幹線が金沢まで開業! 九州人としてはあまり縁のない路線ではあるけど、鉄っちゃんとしてはぜひ抑えておきたい、話題の新幹線です。
 そこで、新幹線開業で経営移管された平行在来線の様子も見つつ、春の観光も存分に織り込んだ旅を企ててみました。代休を組み合わせて3連休を作り、その前日・4月23日木曜日の夕方に出発しました。


 現地での時間を作りたくて、東京までは航空機を利用。往路は、経営の行く末が乱気流に巻き込まれているスカイマークです。
 自動チェックイン機の上には、支援を感謝する手作りメッセージが掲げられていました。


 経営危機もなんのその、夕方の東京便はほぼ満席です。ゆったりした「グリーンシート」が自慢だったエアバス機は、登場1年も経たずして、経営再建の過程で廃止になってしまいました。ですがボーイング機の革張りのシートも、なかなか快適です。
 LCCほどではないけど ほどほどに安く、大手2社の間で頑張ってきたスカイマーク。ANAの支援で再建が図られることになりましたが、今後「らしさ」はなくなっていくのでしょうか…。


 羽田からは、妹の住む新子安へ。急行が横浜方面へ直通しますが、川崎で乗り換えた各駅停車は快特・急行のダブル退避になり、思いの他時間がかかりました。


 妹とご飯を食べ、この日は駅近くの東横インに投宿。
 翌朝カーテンを開けてみると、JRと京急が並行して走る、鉄っちゃんには魅惑の風景が広がっていました。予約の際に「トレインビューで」とリクエストすれば、応えてくれる…かも。


 早朝7時、京浜東北線で川崎へと向かい、東海道本線に乗り継ぎました。この春開業のもう一つの注目路線、上野東京ラインを超えて、高崎線を高崎まで乗りとおします。
 ラッシュ時だったので980円を投資してグリーン車に乗りましたが、やはりデッキまで満席。大荷物のご夫婦の前に立っていると、予想通り品川で下車され、座れました。品川は、成田エクスプレスとの接続駅でもあります。


 東京駅に着いても半分くらいの座席が埋まったままで、直通効果はまざまざ。わずか3.6kmの「新線」へと足を踏み出しました。
 新幹線を高架で渡り越す車窓は3次元的でダイナミックですが、距離はわずかで、あっという間に上野到着です。これまで東京、上野と2回も乗り換えがあったことを考えると、比較にならないほどラクチン。大荷物の旅行者であれば、なおさらです。


 そのまま2時間以上乗り通し、のどかな田園風景に親近感を覚えてくれば高崎着。さて越後湯沢方面は…と掲示板を見てみましたが、予定していた列車が見当たりません。なんとプランニングの段階で、水上駅と高崎駅を見誤る失態を犯していました!
 予定に乗せるためにはというわけで、大枚1,800円を叩いて特急券を購入。新幹線に乗りました。せっかく早起きして、節約してきたのに…。


 とはいえ、久々の2階建て新幹線の車窓は楽しいもの。防音壁をもろともせず、ワイドな車窓が広がります。
 渓谷に咲く桜を見つければ、越後湯沢駅着です。




 越後湯沢では、新潟行き「とき」と、ガーラ湯沢行き「たにがわ」が切り離し。バタバタと乗り換える人を受け入れて、「とき」が先発していきました。
 断面積が大きな、独特な面構えのE4系が離れていく姿は、なかなかの迫力です。


 越後湯沢駅は、高架下の土産物屋や飲食店が充実。日本酒ミュージアム「ぽんしゅ館」も併設されています。
 また「駅内温泉」の老舗でもあり、さっそく700円なりの「酒風呂」に入ってみました。あまり酒の香りはしなかったけど、酒を投入したタイミングにもよるのかな。


 湯上りは、酒粕ソフトクリームでクールダウン。ボリュームたっぷり、なかなかの食べ応えでした。


 食堂街のランチバイキングは、おかずは食べ放題なのに、ご飯のお代わりは別料金という一風変わったスタイル。南魚沼産コシヒカリということで、ドカ食いされても困るのでしょう。
 その肝心のご飯は、粒が立っててうまかった!


 「ぽんしゅ館」の名物で目玉と言えるのが、利き酒コーナー。思わずドキッとしてしまう、泥酔人形たちがお出迎えです。




 ずらりと並ぶ試飲マシーン。500円で5杯、ミニおちょこで試飲できます。酒蔵イベントの試飲コーナーを全自動化したようなもので、キャッチフレーズを頼りに好みの一杯を求めウロウロ。
 飲み比べれば個性がハッキリ分かり、にわかに通ぶれるのも酒蔵イベントと同じです。筑後の酒をずらりと揃えたバージョンが、久留米駅にもほしいな。


 越後湯沢といえば、つい一ヶ月前まで、新幹線と北陸特急「はくたか」の乗り継ぎ駅として賑わった駅でもあります。
 その役割は、直通で早い北陸新幹線に譲り、今はローカル列車との乗り継ぎ駅に。あふれ出てくる乗り継ぎ客を受け入れた おびただしい数の自動改札は、半分が役目を終えていました。


 乗り継ぎのタイミングで、売れに売れたのだろう駅弁売店は健在。商売になるのだろうかと思っていましたが、ローカル列車への乗り継ぎで買い求める人がいて、ほっとします。


 決して多くはない、ローカル需要を残すだけになった北越急行。しかし平日昼下がりという中途半端な時間帯にも関わらず、普通電車は2両編成で、ボックスはほとんどが埋まっていました。
 新幹線乗り継ぎの長距離客ばかりで、過疎ローカル線とは趣が異なります。


 六日町までは上越線を下ります。周囲には雪が残り、しかし桜は満開。冬と春が同居する車窓に、旅行者(含む僕ら)からは歓声が上がりました。


 六日町から北越急行線に入れば、とたんにスピードが上がります。
 160km/hの超高速輸送が自慢だった北越急行。普通電車も特急の邪魔にならないよう、俊足な足回りが自慢でした。ローカル専業になった今も、変わりません。


 十日町駅で下車。桜の名所という智泉寺に足を運べば、期待に違わぬ満開ぶりです。
 九州ではとっくに散ってしまった桜が、まだ満開だとは、思っても見ませんでした。今年二度目の花見、ちょっと得した気分に。


 さて今日の並行在来線の旅、メインともなる列車に乗り込みます。越後の酒の観光列車、越乃Shu*Kura(コシノ シュクラ)です。
 普通列車用の気動車の改造で、前面こそ素っ気ない感じですが…


 車内はご覧の通りの大変身。1号車は旅行センター「びゅう」のパッケージプラン用の席で、窓を向いた二人席と、グループ用の4人ボックス席が並びます。
 十日町~上越妙高までの3時間、乗車+指定席+料理&酒のセットで7千円です。


 3号車は、指定席料金で乗れる一般販売の指定席。普通のリクライニングシートですが、窓は大きくてピッチもゆったりしているし、振る舞い酒のサービスが受けられるので乗りドクかも。18きっぷも使えます。




 2号車は、まるごとイベントスペース。1つの列車の1/3以上をフリースペースに充てている計算で、なかなか思い切っています。


 十日町を発車すると、フレンドリーなアテンダントさんから、さっそくウェルカムドリンクのサービスが。日本酒ベースのカクテルで、さっぱりとした喉越しです。くいくいと飲めてしまいますが、日本酒の割合は結構高めなのでご用心。


 そして1号車向けのセットがこちら。越後の酒にぴったりの「アテ」に、1本千円見当の日本酒が2本ついてきます。結構な量になるので、1本は持ち帰りにしました。越後湯沢で結構飲んだし。


 2号車のカウンターには、利き酒のコーナーが。チケット制で、5銘柄から選んで試飲できます。なかなか徹底したテーマ型のイベント列車で、大人でよかったと思いました(笑)。


 日本酒列車とはいえ全体のテイストは「洋」で、女性でもお洒落に日本酒を楽しめる雰囲気の列車です。この日の客層こそ、「居酒屋列車」の方が似合いそうではありましたが…
 2号車では、ジャズの生演奏が3ステージに渡って開かれます。生演奏に耳を傾け、手には杯を傾け、日本海の大海原を眺める…またとない、贅沢な時間が流れて行きます。


 日本海を目の前にした青海川駅では、20分停車してホームの散策を楽しめます。折しも夕暮れ時で、水面はオレンジ色に。


 酒に火照った体には、ちょうどいいリフレッシュタイムでした。


 3時間弱という長い乗車時間でしたが、イベント続きでちょっと忙しいな…と思わせるほどの充実ぶりで、直江津に到着。18:00着で、富山方面の列車が同時刻に発車してしまうのが惜しいところです。
 直江津駅の看板は、「JR」の文字が外されていました。「えちごトキめき鉄道」の駅にもなったからでしょうけど、JRに加えて「トキめき」の看板も掲げるのが本来の姿でしょう。


 駅構内の看板は、トキめき鉄道仕様に変わってしまいました。


 富山までは、北陸本線から生まれ変わった並行在来線会社「えちごトキめき鉄道・日本海ひすいライン」と「あいの風とやま鉄道」を乗り継いでの、2時間の旅です。
 いずれも電化路線で、「トキめき」は途中デットセクションを挟むことから、JR時代は交直流両電源対応の電車が走っていました。しかし交直流電車は高価なこと、「ひすいライン」は乗客も少ないことから、1~2両のワンマンディーゼルカーに置き変わっています。


 ディーゼルカーとはいえ、関西の新快速に準ずる仕様の車両であり、高性能で快適です。
 ただいくら閑散区間といえども、夕方に1両では混み合い、空席ができたのは糸魚川付近でした。JR時代より運賃も上がった上に、40分の立ち通しを強いられるようになって、潜在的な不満が貯まっていないか不安です。


 県境の市振駅が会社の境界でもありますが、列車はそのまま乗り入れ、「あいの風」の列車には泊駅で乗り換えになります。同一ホームに2つの列車を止め、乗り換えの負担がないように配慮されていました。
 車両は、JR時代そのままの413系電車。3両編成とゆとりがありましたが、魚津あたりからは退勤の流れもあり、通勤ラッシュの需要があるのは心強いことです。


 魚津から富山までは富山地方鉄道と並行しますが、線路の規格が高く直線で結ぶ「あいの風」が有利。とはいえ第三セクターでもあり、地鉄をライバル視すれば「民業圧迫」にもなりかねないのは難しい立ち位置かも…
 などと考えているうちに、富山駅に到着。在来線高架ホームは、下り線のみ完成した状態です。新幹線開業後の高架化のため、長距離特急の発着を前提としない、コンパクトなつくりになっているのが特徴でもあります。


 新幹線開業で見違えるように立派になった、富山駅のコンコース。市内線の路面電車が駅に乗り入れたのも、この春の大きなエポックです。


 近年、高知や鹿児島、熊本と、電停と駅を近付ける試みが続いていますが、コンコースまで乗り入れた富山のインパクトは大きなものがあります。
 路面電車のドア越しに新幹線改札が見えるのは、とても新鮮な眺めでした。