席に戻り、ランチの残りに手を付けました。もともと冷めてもおいしいお弁当仕様なので、時間が経っても変わらない味です。
ベルニナ急行を思い出しながら、地ワインも1本。地元・上越の岩の原ワイナリーの、オリジナルブランドでした。
デザートは3種。味の薄い順に、左から右に食べていくのがおすすめとのこと。うーん、濃厚でおいしい。オリジナルの雪室コーヒーとも、よく合います。
ところで、洋食コースの日と和食コースの日がある、雪月花の冬季運行。次回の和食コースは、年明けの1月8日の予定です。しかし担当していた糸魚川の鶴来家 さんは、糸魚川の大火で、全焼の被害に遭いました。
店の営業再開の目途は立っていないようですが、雪月花のお弁当だけは対応できるよう、準備を進めているとのこと。すごいですね。洋食コースのおいしさには大満足だったけど、次回は和食で乗ってみたいものです。
列車は終着駅の上越妙高駅を、一旦通過。「皆さまには新幹線で13分の区間を、4時間かけて旅していただいております」との車内放送に、車内から笑いが。贅沢な時間の使い方だと思います。
そのまま妙高高原駅方面に走り、勾配を登って、二本木駅へ。スイッチバック式の駅です。
ポイントを雪から守るスノーシェルターに頭を突っ込んだ列車は、折り返して駅のホームへ。地元の皆さんが、手を振って歓迎してくれました。
2号車のハイデッキ個室からは、スイッチバックの様子も席に座ったまま、手に取るように分かる…んでしょうね。15,000円の別途料金がかかる席ですが、最大定員の4人で割れば、一人当たり3,750円。グループで利用してみたい席です。
二本木駅の待合室では、即席物産販売会が。通常運行時も、二本木では時間が取られており、おもてなしとスイッチバックの駅を楽しめます。
通常運行時はこの先、妙高高原駅まで行ってから上越妙高へ折り返すのですが、冬季運行では二本木で折り返しです。
厳しい冬の環境下、遅延が起きては遠来からの観光客に迷惑がかかってしまうので、冬季運行には慎重だったと聞きます。豪雪地帯を避けたり、悪天候時の「Bコース」を準備したりといった工夫は、その答えなんだと思います。
コース終盤には、おみやげの配布が。お米2合とオリジナルコーヒーから選べたので、2人で分け合ってみました。お米はちょっと重いけど、家でも新潟の土地の恵みを楽しんでみたいと思います。
おもてなしと、手作り感が心に残った冬季特別運行。今年は雪が遅く、雪国の風情に触れられなかったので、また豪雪の時に乗ってみたいです。
心もお腹も大満足の4時間の旅を終え、上越妙高駅着。乗客を見送った列車は、すべてカーテンを閉ざしてしまいました。舞台裏を見せない配慮でしょうか?クルーの皆さん、お疲れ様です。
富山方面への新幹線は、雪月花到着4分後の発車。乗り換えには厳しく、放送でも1時間後の列車が案内されていました。同乗していたトキ鉄の社員さんも、「なんせ第三セクターなんで…」と恐縮しきり。
急ぐのも嫌なので、大人しく1時間後の新幹線を待ちます。駅周辺に何もないと聞いていた上越妙高駅だけに、どう過ごそうかと思案。駅そのものは立派です。県産材で組まれた、「もてなしドーム」。
「光のテラス」からは、闇に溶け行く妙高連峰を見渡すことができます。
エントランスは、ホールへの大階段のよう。駅内には食事処や物販所も充実していて、雪月花を降りた皆さんも思い思いの時間を楽しんでいる様子でした。
ただ、すでにお腹いっぱいなので、食事処に入る気もせず、何もないと聞いていた駅前へ。
何もない、なんてことはなく、コンテナ商業施設「フルサット」が明かりを灯していました。
クリスマス企画で、二人組(カップル、夫婦に限らず)で来た人には各店舗でサービスもあるんだとか。お腹はいっぱいなので、立ち飲み屋の「ご当地ソウル」に入ってみました。
ずらっと並んだ、地酒メニュー。特典で、1杯ずつサービスしてくれるそうです。お腹いっぱいなのでお酒だけでもよかったけど、タダ飲みになってしまうので、おつまみを1品だけ頼みました。
それでも400円で酒2杯+つまみなのだから、申し訳なくなります。
馬上杯で出てくるのも嬉しいですね。
店主は不在でしたが、店番の女の子もお客さんにだいぶ「鍛えられて」いるらしく、馬上杯のいわれも詳しく教えてくれました。
立飲みのお店なのに、常連さんからは椅子を置いてほしいという、店のコンセプトを揺るがしかねない(笑)要望も出ているとか。12月31日には、オールナイト営業の予定もあるそうです。
新幹線駅前の観光施設のはずなのに、地元からの支持も熱い様子。新幹線開業前から脇野田駅として存在していた駅であり、駅前の街にとっても待望の飲食店だったんでしょう。観光客としても、地元の空気に紛れ込めたような気がして楽しめました。
持て余すかなと思っていた1時間は、あっという間。昼からシャンパン、ビール、ワイン、日本酒とチャンポンが続き、ほろ酔いの頭をぶつけないよう注意しながら、富山方面の「はくたか」に乗りました。
株優の「魔法」は解けてしまったので、定価での乗車。ずいぶん高く感じます。
雪月花でたどった道を、あっという間に糸魚川まで戻り、さらに1駅乗って黒部宇奈月温泉駅で下車。
駅内にはあちこちに生花が。うるおいのある駅は、いいですね。
黒部市の、そして立山観光の拠点として、駅前整備にも気合いが入っています。
黒部のトロッコ電車がライトアップされていました。
バスロータリーの風よけが、ガラスではなく膜構造なのは目新しいところ。照明を当てればきれいだし、悪天候時には破損防止のため、たたんでしまえる実用性もあります。
周囲は真っ暗闇の中、地域観光ギャラリーは19時まで明かりを灯し、遠来の観光客を出迎えます。
駅名から、宇奈月温泉は至近のようなイメージを抱きますが、実際は地鉄(富山地方鉄道)の電車に乗り換え、20分少々の道のりです。大手のホテルなら送迎もあるそうですが、僕らは電車でGO。
地鉄も地元の電車なので、必ずしも新幹線との接続がいいわけではありません。
元京阪特急の、クロスシートに揺られます。勾配を登り、次第に山深くなっていく感は、闇の中でも分かりました。
終点、宇奈月温泉駅着。かつては名古屋や大阪からの直通特急も走った、一大観光地です。
夜7時前なのに、旅館の番頭さんが何人か出迎えに来てました。昭和レトロな駅舎の雰囲気も相まって、昔ながらの温泉地の風情を感じることができます。
温泉噴水。寒いので、飛び込みたくなります。
今夜の宿は、駅から至近のフィール宇奈月。同じ価格帯なら、温泉街の大きな旅館も選べたのですが、源泉かけ流しにひかれて こちらを選びました。
3連休ながら、朝食付きで1泊1部屋14,040円でした。
室内は、正しい日本の温泉ホテル。布団の上げ下ろしはセルフサービスです。
窓の外は、昨日に引き続きトレインビュー。
乗り降りする人も少ない深夜(といっても8時前だけど)の地鉄の駅や、冬ごもりでシートをかぶせられたトロッコ電車も一望できます。
温泉街に出てみたものの、人通りはほとんどありません。ライトアップされた宇奈月公園にも、人っ子一人いませんでした。しばれる北陸の冬、みんな温かい旅館でぬくぬくと過ごしているんでしょう。
イルミネーション輝く足湯には、何人か集まっていました。
別府以外にも、杉乃井ホテルがあったとは!ニューオータニを買収し、昨年杉乃井ブランドになったのだとか。アジア圏からの集客力もありそうですね。
輝く杉乃井と対照的に、廃墟と化したホテルも点在し、少し寂しい雰囲気もあった温泉街。新幹線開業で宿泊客は4割増と聞きますが、より上向きますように。
クリスマス・イブの夜ではありますが、ランチでお腹がいっぱいなので、ラーメンで〆ることに。
寒い夜道を歩いてきた身には、ありがたい温もりでした。
宿に帰って、かけ流しの湯を、のぼせるまで堪能。ほかほかの体で布団を温め、おやすみなさい。