嫁さん ゆかりの街を歩く旅、3日目は町田で迎えました。
小田急とJRの駅の間に連なる、中心市街地。ペデストリアンデッキが、商業施設を結びます。
ごく狭い中に高層ビルが密集した、高密度な市街地です。
左のダイエーの店舗は、なんと7月21日にオープンの予定なのだとか。九州では惜しまれつつ消え去ったダイエーブランド、本州では健在どころか、新店舗も出来ているんですね。
右の高層ビルは、ベストウェスタンホテルと図書館の複合施設です。
市街地から10分も歩けば、低層の住宅地に変わります。その境界線は、嫁さんが住んでいた頃から変わらないそうです。街は変わっても、メリハリの効いた都市計画は変わっていないんでしょう。
なにげない住宅地も旧街道筋で、レトロな看板建築も残っていました。
歩行者天国の商店街は、若者でいっぱい。密度の高い市街地といい、アーケードのない歩行者天国といい、韓国の衛星都市を見ているような気分にもなります。
脇道にそれれば、庶民的な古くからの商店街も。老舗ばかりではなく、若いオーナーの店もあるのが面白いところです。可能性のある場所には、どんどん進出してくる元気さを感じます。
JRの駅前では、月末に迫った都知事選の某候補が演説されてました。道行く人からは、
「あれ、なんで都知事選?」
「町田は東京だから」
「そうなの!?」
なんて会話も。神奈川県に飛び出した形の町田は、あまり東京と認識されていないとは聞いていましたが、生の声を聴くことができました。
小田急沿線の町田にも進出している109。驚いたのは、市の生涯学習センターとの複合施設になっていたことでした。
図書館も複合施設だし、JR町田駅前のビルには町田市文化交流センターも入居してます。利便性はもちろん、土地の高度活用を市自ら積極的に行っているようです。
次なる「街」は、小田急を1駅下った相模大野。たかが1駅で市街地も連なっていますが、県境を跨ぎ神奈川県に入ります。
小田原線と江ノ島線の分岐駅とあってホームは多く、多くの列車が分割・併合を行う駅としても知られますが、駅ビルもかなりの規模。近年新築されたようで、嫁さんやっぱり浦島太郎状態です。
さらに駅前には「ボーノ相模大野」なる高層ビルが、ペデストリアンデッキで直結。商業施設とタワーマンションからなる複合施設で、2013年に完成したばかりだとか。
ここまで変わってしまうと、以前何があったかを思い出すのも大変だと思います。
RC造の列柱が連なる駅前通りと、伊勢丹デパートは変わらないそうです。
お昼になったので、よく自転車で通ったという道沿いにあるラーメン屋へ。「横浜家系ラーメン」なる店に初挑戦してみました。
とはいえ関東に来てまで豚骨を食べる気もしないので、鶏がらスープのラーメンを頼んでみたら、豚骨に負けないこってりさ。水炊きを食べているような気分でした。
小さめの郊外型店舗が並ぶ県道51号線を歩いていると、いよいよ もやもや感が満点です。
特徴を見出すとすれば、県道と交差して緑道のネットワークがあったこと。安心して歩ける散歩道だと思います。
隣駅の小田急相模原駅まで歩いてきました。政令市・相模原を代表するような駅名だけど、実際は普通のみが停車する駅です。
それだけに小駅を想像していたのですが、こちらもタワーマンションを伍する駅前再開発が完成していました。嫁さんの知っている相模原はいずこへ…
ペデストリアンデッキを上れば、マンションの2階はオシャレな店舗が。あえて設けた高低差で、憩える雰囲気を作っています。
ちなみにこの駅、地元では「オダサガ」と略されます。駅前ビルに入居している公共施設にもオダサガの文字が見られ、「公認」の略称でした。
小田急の上り電車で折り返し、町田を飛び越えて玉川学園前で下車。こちらも普通電車オンリーの駅ですが、2階建ての小ぶりで洒落たテナント駅ビルができていました。
ドラッグストアやコーヒーショップが入り、毎日の電車使いに便利な駅です。
駅の東側は、小高い峰のような地形。閑静な高級住宅街になっていて、落ち着いたたたずまいです。薬科大や企業の研修所のおかげで、緑も豊か。
玉川学園駅周辺には「玉ちゃんバス」なるコミュニティバスがネットワークを作っており、席が埋まる乗り具合でした。1時間に2本程度走り、交通機関として充分な本数。地方だと、隔日で数本ずつなんて運行形態も珍しくありません。
狭い住宅街の中もぐんぐん突き進んでいき、路線はコミバスらしさを感じました。
町田に戻り、JRに乗り継いで新横浜へ。嫁さんは、友人と共に意気揚々とBUMP OF CHICKENの日産スタジアム公演へ出かけて行きました。
バンプは僕もファンなんだけど、チケットが取れずにお見送りすることに。今回の教訓、ライブの参戦は計画的に。
駅前地下のパブが、ライブ客を目当てにかガンガン バンプの曲をかけていたので、一人ビールを飲みながら聞き入りました。
気を取り直して、一人の時間は趣味に費やすべし。JR横浜線の快速で、まずは横浜へと出てきました。
横浜線は、全車両がE233系に取り換えられたばかり。側面には「YOKOHAMA LINE」のロゴも入り、他路線の同型とはちょっと違うセンスを感じます。
相鉄の横浜駅へ。最近話題が豊富な相鉄線に、全線乗ってみようという魂胆です。
改札機にICカードをタッチしかけたところで「もしかして」と思い券売機に戻ってみたら、「全線1日乗車券」の口座を見つけてニンマリ。イベントに合わせた、期間限定モノでした。
各駅停車に乗って、1駅目の平沼橋駅で下車。東海道本線が平行し、全速力の電車が頻繁に走っていきます。
この駅で降りたのは、相鉄の「デザインブランドアッププロジェクト」でリニューアルされた第1弾の駅を見たかったから。相鉄100年を記念したもので、数年後の東京都心直通も見越した、電車と駅の両面に渡る戦略的なデザインプロジェクトです。
外観は、シックな黒。夕暮れの中では、駅名版の明かりがくっきり目立ちます。
コンコースの照明は、温かみのある色合いです。
今後、駅の改修のタイミングに合わせて、全駅が同様のデザインコンセプトに変わっていくのだとか。
相鉄でいえば二世代前のデザインにあたる、7000系電車の各駅停車で二俣川へ。アルミ地にドアの赤がいいアクセントで、これはこれで完成された、古さを感じさせないデザインだと思います。
海老名への急行を待つ間に、湘南台行きの普通として、新デザインの9000系が入ってきました。まだ1編成しかない車両だけに、出会えてラッキー。停車時間の間に、じっくり観察してみました。
外観は、つややかな「ヨコハマネイビーブルー」。周囲の物を映すほどの光沢で、定評のある阪急電車にも負けないレベルです。
何層にも何層にも重ねられた、丁寧な塗装の仕事が見えてくるようでした。
車内は平沼橋駅と同じく暖色系の照明ですが、時間帯によって色みを変えているのだとか。
今回は見られませんでしたが、クロスシート車ではスコットランド製の本革シートを使っているそうです。
クリーム色が基調ながら、ポイントにグレーを使って落ち着きを演出。相互直通が始まれば他社車両に伍して走ることになりますが、「相鉄は上質」という印象を与えられるだけの車両だと感じました。
デザインだけで阪急のようなブランドイメージの構築はできないと思いますが、まずは駅と電車が「社風」までも牽引していくきっかけになればと思います。
本線の電車で、終点・海老名へ。ライブ終了まで時間もないので、駅前の様子をチラリとのぞいて、急ぎホームへと戻りました。
折り返し電車は特急。普通と急行のすっきりしたダイヤに「割って入る」形の特急ですが、速達性の高さから人気が集まっていました。2年前に登場したばかりで、相鉄の変わる意欲を感じます。
無彩色とライトブルーの塗装は、まだ10年少ししか経っていない今風のデザイン。新しさを感じられるものだけど、ネイビーブルーは時代に左右されないデザインを目指しています。
二俣川までは1駅しか停車せず、あっという間。いずみの線に乗り換え湘南台まで走れば、相鉄の2路線全線踏破です。総延長35.9km。大手私鉄の中でも最短の距離ですが、都心直通という大プロジェクトに挑む今後にも注目していきたいと思います。
相鉄の特徴の一つが、電動で開閉できる窓。冷房の時期なので遠慮したけど、試してみたかったな。
新横浜までは、地下鉄のブルーラインで一気にバック。地下鉄では珍しい、本格的な快速運転を行う路線ですが、昼間までの運行しかなく、各駅停車でひたすら1時間近い道中を過ごしました。
新横浜で、ライブの興奮さめやらぬ嫁さんと合流。地下鉄で横浜に出て、遅い夕食を食べてから、下りサンライズを捕まえました。
嫁さんは明日が出勤日。ライブを最後まで見て、翌朝11時の出勤に間に合わせるため、もっとも現実的だったのがサンライズ+新幹線の乗り継ぎでした。夜行列車の有用性は、今の時代にも生きています。
サンライズ瀬戸は、3連休で琴平まで延長運転。終点まで乗って、金毘羅参りしてみたかった…
帰路は、上段の補助ベッド利用で2人で使える「シングルツイン」を確保できました。
上段の寝台の乗り降りといえばハシゴが定番ですが、サンライズでは階段状。上り下りも足元がしっかりしていて、不安がありません。
嬉しいのは、上段にもフルサイズの窓が付いていること。ベッドに寝転がれば、真上に横浜の夜景が流れていきます。
暑い夏の夜、それも旅の帰路の人が多い連休中日とあって、共用シャワーのシャワーカードはあえなく「売り切れ」だったのは残念。汗を流して、すっきりしたかったな…
ウエットティッシュで体を拭いて、おやすみなさい。