久留米市城島町の交通機関といえば、酒蔵びらきの時はシャトルバスで一気に充実するものの、通常は15系統のバスが1時間に1本走るだけ。広大な町域全域をカバーするには至りません。
そこで登場したのが、「よりみちバス」なるコミュニティバス。城島地区では、インガット号と呼ばれます。曜日別に路線が組まれ、くまなく町内をネット。この3月にはより使いやすいダイヤに変わったというので、町外からのおでかけにも使えるか、実践してみました。
「よりみちバス」は、バス15系統の城島町内のバス停の他、西鉄電車の犬塚駅と、バス45系統の江見停留所で接続しています。
まず往路は、西鉄久留米から45系統に乗って江見へと向かいました。
江見での時刻表の乗り換え時間は5分。便によっては、2分しか時間がないパターンもあります。
江見で、急いで乗り換え。ちなみに45系統が遅れた場合も、原則的に待つことはないようなので念のため。西鉄バスでは5分程度の遅れはよくあるので、確実に行きたいなら、西鉄犬塚駅からのルートが安心です。
江見は、佐賀県のみやき町に位置します。県域を越えてコミバスが乗り入れるのは、珍しいケース。45系統との接続と、スーパー「アスタラビスタ」三根店へのお買い物客への配慮です。
運転士さんから、1日乗車券を購入。たったの300円で、よりみちバスの他、15系統の城島町内エリアで乗降できます。
1回乗車が200円なので、往復するなら、1日乗車券を買った方がお得です。
宇多田ヒカルのニューアルバムをBGMに、よりみちバスは下田地区を下ります。城島町の中でも、下田地区は筑後川の佐賀県側。昔、筑後川が蛇行していた頃の名残りです。メインの県道ではなく、集落が張り付いている細い旧道を経由します。
筑後川は、下田大橋で渡ります。船が点々と浮かび、有明海もだいぶ近い地域です。
城島側に入ってもストレートに県道を下らず、集落の中を縫うように走っていきます。幅4mもないような道もあって、ワゴン車の本領発揮です。ダイヤ改正以前は、もっと狭い道も走っていたとか。
狭い道での運転テクニックもさることながら、運転士さん、細かな路線を覚えるのも大変だったそうです。特に、事前予約があった場合だけ迂回する「よりみちバス停」は分かりにくそう。曲がり角での目標物をメモした、手製の地図を携えていました。
図書館もある城島総合支所、福祉センターのげんき館、スーパーのアスタラビスタ城島店など、生活施設を巡るも乗客なし。このまま乗客ゼロでは寂しいなと思っていたら、楢津からおばあちゃんが乗ってきました。
僕たちは、あおき温泉で下車。田んぼの真ん中に沸く、民間の温泉施設です。15系統の青木校入口が従来の最寄りバス停ですが、ちょっと距離があり、目の前に止まるよりみちバスは便利です。
あおき温泉は、トロっとした泉質の掛け流しの湯。個人的には、久留米市内でも屈指の湯の良さだと思っています。車持ちの頃は、月イチ程度で通っていました。入浴料は500円と割安。1日乗車券の提示で、さらに50円引きになります。
西鉄犬塚駅までは、月・水・土で4往復、火・木・金なら6往復あるので、町外からの来訪でも実用的に使えるルートです。
お昼ごはんは、お向かいのうどん屋さんで。簡易な構造の小さな店構えは、香川のうどん屋さんみたい。
讃岐うどんなんだけど、コシは筑後うどん的。味はあっさり目でした。
13時24分発の逆方向のバスで、城島総合支所に戻りました。
折り返しのバスの時間までは、城島図書館でのんびり。雑誌も充実していて、くつろげます。
14時17分発・犬塚駅方面のバスには、地元のおばあちゃんが乗っていました。城島町南部の江上地区、かつては路線バスが頻発していたそうですが、十数年前に全廃。よりみちバスで、公共交通が復活したエリアになります。旧揚田バス停という停留所名も、その名残。
萬年内科で下車。バス停の中には病院もいくつかあり、通院利用のお年寄りは多いそうです。
来た道をトボトボ戻ること、約5分。猫カフェ「ねこる」にやって来ました。城島町に猫カフェができるとは予想外で、一度のぞいてみたかったのです。
曜日限定の営業で、営業時間も日によって違います。今日は15時からの営業だったので、14時45分のバスで着いた僕らは、少し待ちました。オープンしているかは、FBで事前チェックしてから行きましょう。
猫ルームの利用は、30分ごとに500円。別途、300円からのドリンクのワンオーダーが要になります。
そんなに広い部屋ではない分、猫の密度がすごい! 野良出身が多い割には人なつっこくて、結局1時間ばかり癒されてしまいました。
昼はうどんだけだったので、ちょっと小腹が空いてきました。交差点の向かい側にあった、プレハブのパン屋さんでおやつを調達。
アップルパイが名物とかで、その場でじゃんじゃん焼き上げているそうです。値段も150円くらいとお手頃でした。
16時17分発の最終バスで犬塚駅まで乗って、よりみちバス・インガット号の旅はフィナーレ。1日に2台が運行するよりみちバスですが、結局ずっと同じバスだったので、運転士さんともすっかり顔なじみになりました。
大型タクシー仕様のクルマなので、バスというよりはタクシーで街巡りした気分。300円で味わえる、贅沢な旅?とも言えるかも。
犬塚駅、西口が新しくなりました。東口のトイレも、改築工事が間もなく完成です。
西鉄久留米までは、大善寺に特急で乗り継いで17分。くまなく巡るよりみちバスとは異質の、あっという間の時間でした。
● 今回のルート(@tripへのリンク)
● よりみちバス(久留米市へのリンク)