ところでチューリッヒではトラムが充実していましたが、ザンクトガレンでは軌道が見当たりません。その代わりスイスの街としては珍しく、大通りの上には電線が張り巡らされています。その正体とは…?
トロリーバスです。蓄電池ではなく、架線から集電を行う昔ながらの方式の電気バスで、日本では立山黒部アルペンルートの2路線でしか見られません。
ザンクトガレンでは2両連接、長いものだと3両連接のバスもあり、トラムに負けない輸送力と存在感を発揮しています。
パスの適用範囲だったので、3バス停先まで試し乗りしてみました。長い連接車での運行を可能にしているのが、やはり信用乗車方式。3つの扉から乗り降りできる分停車時間は短く、日本のように運転士が運賃を受け取っていたら、ノロノロになるだろうなと思われます。
乗り心地自体はバスそのものだけど、響いてくるモーター音は電車のそれ。立山と同じで、なんとも不思議な感覚です。
一部にはバス専用道もあり、ディーゼルエンジンの黄色いポストバス(郵政事業部運行のバス)も共用していました。
3時の列車で、ラッパーズヴィルへと戻ります。
帰路の列車はリニューアル車で、やさしい色使いの車内に好感が持てます。2等車のクロスシートながら、すわり心地もなかなかです。
大学の下校時間に重なったらしく、途中駅からは大勢の若者が乗ってきて賑やかに。やはり観光列車というより、日常の足の雰囲気が強いです。
しかし車窓はスイス。波静かなオーバー湖の湖畔で憩う人々を、うらやましく思います。
ラッパーズヴィルまで戻り、エリー&マヌやん宅まではバスで戻ることに。ラッパーズヴィルはバス停にもバス車内にも券売機はなく、乗車時に運転士に申し出てチケットを買うというやり方です。
チケットの発行がある分、現金を放り込めば済む日本の先払い方式より、ずいぶん時間がかかります。ただ回数券やパスを持っている乗客がほとんどなので、さほど支障はないのでしょう。
街によってやり方がだいぶ違うので、パスを持たない旅行者にはなかなかハードルが高いです。
夕方は買い物に行くついでに、マヌやんに近所をぐるぐるとドライブしてもらいました。
立派な高速道路には料金所がありませんが、フリーウェイというわけではなく、年間の定額制です。証明のステッカーがなければ罰金というから、これも信用乗車の一種かな? 料金は1年で数千円と安く、それでも渋滞しないのは公共交通が充実しているから…という理由もあるだろうけど、絶対的な人口の少なさも寄与していそうです。
料金所がない以外、高速道路は日本と同じような雰囲気でしたが、一般道はだいぶ違います。最大の違いは、交差点のほとんどがロータリーで処理されていること。ぐるぐる回る車列に入るのは「集団縄跳びに飛び込むようなもの」で、慣れないと怖そうですが、地元人はスイスイと出入りしていきます。これなら信号待ちより早そう。
背後のガソリンスタンドはビルの1階に併設されており、これもよく見かける光景です。スーパーに併設されているところも多く、安売り商品の一つのようなノリなのでしょうか!?
湖面へ続く道!
チューリッヒ湖対岸・フライエンバッハの大型ショッピングセンター、シーダム・センターへ。スイスの2大流通大手、COOPとMIGROという2つのスーパーが呉越同舟しているのは、日本人の感覚から見ると新鮮です。九州で例えるならば、イオンとゆめタウンが入居しているようなもの!?
リンゴの祭りがあるらしく、館内はリンゴのオブジェがあちこちに飾られていました。
さすがスイス、乳製品の品揃えがすごい。チーズだけで、もう何十種類も揃っています。何でも高いスイスにあって、比較的割安でもあります。チョコレートの種類も、かなりのものでした。
ドイツと同様、レジの人は座って対応です。
オーバー湖とチューリッヒ湖の間を島伝いに渡って、ラッパーズヴィルへ戻ります。広いオーバー湖・チューリッヒ湖で、対岸に渡るルートはこれだけなのに2車線しかなく、夕方とあって渋滞ぎみ。
日本だったら4車線、韓国だったら6車線くらいにしそうな道路ですが、平行するルートの電車は頻発運行で、時間が読めます。
今夜のご飯は、買い出して来た材料でチーズフォンデュを振舞ってもらいました。日本のものより、お酒をぐっと効かせた感じ。また具も、野菜や肉は使わずパンオンリーというのが正統派なんだそうです。
お酒通のマヌやんのお父さんも太鼓判を押す、スイス産の白ワインも合わせて、いい気分に。時差ボケも次第に修正されつつあり、寝落ちすることなく3日目の夜を満喫できました。