福祉と経済は矛盾するか?

2006年12月11日 | 持続可能な社会

 少し前の朝日新聞の記事を小澤徳太郎先生が送ってくれました。

 とても重要なポイントが書かれてしますが、小さな記事なので、私同様、見落とした方も多いと思いますので、そのまま紹介しておきます。





 経済学者から始まって経済人や政治家に到るまで、日本のリーダー的存在の大多数が、こうしたスウェーデンのような事例があることつまり事実に反する思い込みを持っておられるように見えます。

 経済・財政と福祉は矛盾する、と。

 だから、経済・財政を立て直すには福祉は犠牲にせざるを得ないのだ、と。

 だから大きな政府ではなく小さな政府だ、と。

 はっきりそう言う場合もありますが、あまり言い過ぎると国民から背を向けられるので、「改革なくして成長なし」→「成長なくして福祉なし」というふうな言い方もされるようです。

 そして、経済・財政が最優先、福祉はその次、環境はさらにその次に余裕が出来たら取り組んでもいいが、今はそれどころではない、と。

 昨日NHKTVを見ていて、「一生懸命働いてもちゃんとした生活ができない=報われない方々=ワーキング・プア」が急増している現状を改めて知りました。

 景気が回復したといいながら、ますます痛みの強くなる人の増えている「改革」とは何だったのでしょう。

 しかも、経済成長はエネルギーの大量消費なしにはありえないから、クリーンでしかも大量に使える次のエネルギー源は原子力だ、等々と。

 そして、実際に経済・財政と福祉と環境のみごとなバランスを取りつつある国があるにもかかわらず、「あれは規模が小さいからできるのだ」などと、あまり論理的とは思えない理由で否認・無視し、「なぜできるのか」「どうしたら日本もそうできるか」と考えようとはされないようです。

 しかしうれしいことに、今回の朝日の記事は、「規模や負担の大小より政府の『働き方』が重要」と的確に報道・評論してくれました。

 国の規模に関わりなく、賢い政府がリードすれば、経済・財政と福祉と環境のみごとなバランスの取れた国を創ることは不可能ではないのではないか、と思われます。

 これから少しずつ、なぜそう考えるようになったか、この1年で集中的に学ぶことのできたポイントを紹介していきたいと思っていますが、とりあえず改めて、いくつか参考文献を挙げておきたいと思います。

 ぜひ、読んでみて、みなさんのご意見を聞かせて下さい。

1)小澤徳太郎『スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」』(朝日選書)

2)岡沢憲芙『スウェーデンの挑戦』(岩波新書)

3)神野直彦『人間回復の経済学』(岩波新書)

4) 〃  『痛みだけの改革、幸せになる改革』(PHP研究所)

5)竹崎孜『スウェーデンはなぜ生活大国になれたのか』(あけび書房)



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