今、日本は、ここ8年連続で自殺者が3万人を越えるという悲惨な状況が続いています。それにはさまざまな原因があり、当事者にとっては他に道がないように思われたというつらい事情もあると思われますが、しかし社会全体の問題としては、生きる意味、しかも苦しくても生き抜く意味が見失われていることが深刻です。
私たちの考えでは、生きる意味は事実として確実にある――というか人生の様々な時に創発するものである――にもかかわらず、そのことが見えにくくなっている、見失われている現代日本の文化状況が問題です。そうした不毛な文化状況に流されないためには、確固とした根拠に基づいて生きる意味を示してくれる人生観、世界観がぜひとも必要です。
今期は、そこにテーマをしぼって講座を企画しました。
従来、講座は東京に集中していましたが、ミーティング・ルームの開設に伴い藤沢でも行ないはじめています。20期は日曜の集中講座のみでしたが、今期から平日木曜日の夜の講座も開設することにしました。これまで参加できなかった方、ぜひお出かけ下さい。
また日程は未定ですが、21期も1日、1泊2日のワークショップもできるだけ頻繁に行なっていきたいと思っています。決まり次第、HPやサングラハ誌でお知らせしますので、ぜひご参加下さい。
A講座:「生きる意味の心理学―フランクルに学ぶ」
於 ヒューマン・ギルド(東西線神楽坂徒歩5分)
1/9, 23 2,/6, 20 3/6, 20 18:45-20:45 火曜日全6回
生きる意味がわからなくなり、ニヒリズム・空しさが当たり前という時代の雰囲気の中で、どうしたらかけがえのない私=実存の生きている意味を見出すことができるか。答えは最終的には自分で発見するものだとしても、ナチスドイツの強制収容所を生き抜いた記録『夜と霧』で知られるV・フランクルの心理学は、大きなヒントを与えてくれます。
19期の「自己実現の心理学」、20期の「自我確立~自己超越の心理学」の受講者の方などから、フランクルのロゴセラピーについてもっと深く詳しく学びたいというご要望がありましたので、今期はフランクルの主著の一つ『死と愛――実存分析入門』(みすず書房)をテキストとしてやや本格的に取り組んでいきたいと思います。
テキスト:『死と愛――実存分析入門』(みすず書房)
B講座:「フランクルとコスモス・セラピー 入門講座」
於 サングラハ藤沢ミーティングルーム(JR,小田急藤沢駅徒歩3分)
1/11, 25 2/8, 22 3/8,22 18:45-20:45 木曜日全6回
なぜ生きているのか? なぜ楽しい時、幸せな時だけでなく、苦しい時、不幸な時にも生きなければならないのか? 現代の教育や身心の癒しの現場で問われている根源的な問いにどう答えればいいでしょう。それは、専門家だけの問題ではなく、子どもたちの真剣な問いに直面する大人すべての課題でもあります。
この大きな問いへの答えの決定的なヒントを与えてくれるものとして、フランクルのロゴセラピーと当研究所のオリジナル・プログラムであるコスモス・セラピーをできるだけ平易に紹介したいと思います。
テキスト:『生きる自信の心理学』(PHP新書)、『サングラハ』第81、2号、フランクル心理学特集。どちらもミーティング・ルームでお頒けすることができます。
C講座:「『摂大乗論』を読む」続
於 不二禅堂(小田急線参宮橋徒歩5分)
1/19 2/2, 16 3/2, 16, 30 18:30-20:30 金曜日全6回
『摂大乗論』というタイトルは、「大乗を包摂して捉える」という意味で、唯識の立場から大乗仏教の全体像を描いた、大乗仏教の深層心理学・唯識の代表的な古典です。研究所の「サングラハ」はそのサンスクリット名にちなんでいます。人間のマイナス面・煩悩がどこから生まれるか、プラス面・覚りはどうすれば実現できるかを、きわめて明快に説いていて、その内容・主張は特定宗教・特定仏教の枠を超えた普遍性をもっています。
研究所の思想的営みの原点として、全巻にわたって主要な部分を学び続けていますが、今期で最終の第十章を学び終えることになります。
初心の方も、拙著『わかる唯識』(水書坊)、『唯識の心理学』(青土社)などをお読みになった上でなら十分ご参加・ご理解いただけるよう、わかりやすく解説していきます。また、これまでの講義はCDがありますので、そちらで学んでいただくこともできます。
なお、講義の前に30分程度の坐禅を行ないますので、坐禅のできる服装をご用意下さい。
テキスト:『摂大乗論現代語訳』(コスモス・ライブラリー)、コピーも配布します。
●受講料は、一回当たり、一般3、5千円、会員3千円、専業主婦・無職・フリーター2千円、学生1千円×回数分です。
●申し込み、問い合わせは サングラハ教育・心理研究所・岡野へ、E-mail: okano@smgrh. gr. jp または Fax0466-86-1824で。
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