最近、時々、「どういう詩・詩人が好きなんですか」とか、「どういう小説を読んできたんですか」いう質問を受けることがあります。
若い人が、私の読んできたものに関心を持ってくれるようなので、ちょっとばかりうれしくなってきて、少しずつお答えしようかな、という気になっています。
挙げはじめると止まらないくらいいろいろたくさんある・いるのですが、最近、コスモロジーの授業の時、コスモス・セラピーの時、時々読むことがあるのが次の詩です(『長田弘詩集』ハルキ文庫より)。
作者は、長田弘(おさだひろし、1939年福島県生まれ)さん。とてもわかりやすい、ダイレクトに心に沁みてくる詩があります(もっとむずかしい詩も書く「現代詩人」でもあるようですが)。
最初の質問
今日、あなたは空を見上げましたか。空は遠かったですか、近かったですか。雲はどんなかたちをしていましたか。風はどんな匂いがしましたか。あなたにとって、いい一日とはどんな一日ですか。「ありがとう」という言葉を、今日、あなたは口にしましたか。
窓の向こう、道の向こうに、何が見えますか。雨の雫をいっぱい溜めたクモの巣を見たことがありますか。樫の木の下で、あるいは欅の木の下で、立ちどまったことがありますか。街路樹の木の名を知っていますか。樹木を友人だと考えたことがありますか。
このまえ、川を見つめたのはいつでしたか。砂のうえに坐ったのは、草のうえに坐ったのはいつでしたか。「うつくしい」と、あなたがためらわず言えるものは何ですか。好きな花を七つ、あげられますか。あなたにとって「わたしたち」というのは、誰ですか。
夜明け前に啼きかわす鳥の声を聴いたことがありますか。ゆっくりと暮れてゆく西の空に祈ったことがありますか。何歳のときのじぶんが好きですか。上手に歳をとることができるとおもいますか。世界という言葉で、まずおもいえがく風景はどんな風景ですか。
いまあなたがいる場所で、耳を澄ますと、何が聴こえますか。沈黙はどんな音がしますか。じっと目をつぶる。すると、何が見えてきますか。問いと答えと、いまあなたにとって必要なのはどっちですか。これだけはしないと、心に決めていることがありますか。
いちばんしたいことは何ですか。人生の材料は何だとおもいますか。あなたにとって、あるいはあなたの知らない人びと、あなたを知らない人びとにとって、幸福って何だとおもいますか。時代は言葉をないがしろにしている――あなたは言葉を信じていますか。
最初にこういう質問をされては、たまりませんね。自分がどう生きているか、根源的に問われてしまいます、それも責める調子ではなく、とてもやさしく、しかしやっぱり結局はきびしく……。
私は、ただ何となく生きているか、それともよく生きているか、それはどちらであろうと自分の自由な選択に任されていることではありますが、しかし何かから問われていることでもあると思うのです。
今日、私はよく感じ、よく考え、よくコミュニケーションをし、よく働き、よく生きただろか?
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