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山岳ガイド 江口正徳の仕事と日常

縦走用・クライミング用

2011-12-08 11:13:17 | うんちく・小ネタ

いきなりのタイトルですが、以前から気になっていた「うんちく」

登山用品店のピッケル、アイゼン売り場などで必ず目にするのがこの「縦走用」や「クライミング用(登攀用)」といった分類。例えばピッケルの場合、「縦走用」はシャフトが長く、ピックの角度が緩いタイプ。「クライミング用」はシャフトが短く、ピックの角度が急なタイプ。となっている。 でもそもそもこの「縦走用」と「クライミング用」というのを同列に並べた分類って正しいの?っていうのが疑問なのです。 なぜなら「縦走」というのは『山から山へ、稜線通しにあるくこと(山と渓谷社 山用語なんでも辞典より)』の意味であり、「クライミング」とは『手を使って攀じ登ること』です。つまり縦走というのは例えば「ピストン」や「周回」などと同じく「登山形態」としての分類であるのに対して、クライミングというのは「ウォーキング」や「マウンテニアリング(基本的に手足だけで登れること)」などど同じく「行動形態」としての分類なのである。  例えば日本を代表する岩稜ルートの「剱岳 八ツ峰」。1峰~長次郎の頭まで連なるこのルートは完全に「クライミングルート」ですが実際にトポなどで紹介される場合は必ず「八ツ峰縦走」という表現がされます。また「雪の西穂~奥穂縦走」は限りなく「登攀(クライミング)ルート」です。 逆に「北八ヶ岳縦走」などは「マウンテニアリング」のコースです。このようなことは非常に沢山あります。つまり縦走に限らず、ピストン山行であってもクライミングをするコースもあれば、マウンテニアリング的なコースもあるというように、内容をみる必要があるのです。ですが実際にはこれらごちゃ混ぜになってしまっているようで、装備購入の際に余計ややこしくしてしまっているのでは?と思います。例えば冬の八ヶ岳の「赤岳から硫黄岳縦走」は手(ピッケル)を使っての登攀的な動作が出てくる箇所があちこちで出てきますが、こういう箇所で「縦走用」の長~いピッケルを使用していると、と~っても使い辛いのです。 

結論をいうと、目的とするコース内で「最大どのような行動箇所があるのか?」ということこそ重要なことなのです。そして実際に装備を選ぶ際にも「縦走用」などという大雑把な表現に惑わされるのではなく、目的のコース中にクライミング要素がある。もしくは近い将来「クライミング要素のあるコースへ行きたい」というのであれば「クライミング用」を購入すれば良いわけだし、逆に目的のコースが歩き主体(マウンテニアリング)であれば「縦走用」として売られているようなタイプを購入すれば良いのではないかと思います。

まあ僕的には「マウンテニアリング用(基本的に手足だけで登ること)」と「クライミング用(手を使って攀じ登ること)」が最もスッキリして分かりやすいかなぁ~と思っていますね。

※雪山の場合はクライミングの中でもさらに「氷雪主体」と「岩主体」などによって異なるので注意が必要です。

まあ、文章下手なのでなかなか上手く伝わりにくいですが装備購入の際の参考にしていただければと思います。

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