旧ソ連で生まれた格闘技『サンボ』の研究所

サンボの技術・トレーニング法を徹底的に研究します。

身体能力

2006-04-26 19:44:11 | サンボの技術
 
 1991年、私はフランス・シャンベリーで行われた世界選手権の62kg級に参加しました。
 この大会の予選で私は1勝2敗。その2敗はナティック選手(ベラルーシ)とグルジアの選手で、今考えると運が良かったのか(トップクラスの選手と戦えて)運が悪かったのかわかりませんが、ともかく決勝リーグには進めず、ひたすら旧ソ連勢の試合に注目して観戦していました。

決勝戦は私が予選で対戦した、ナティック選手とグルジアの選手でした。

序盤から、ナティック選手は「飛び十字」と切れ味鋭い「内股」を連発し、ポイントをリードしていました。1か2ポイント差だったと思います。僅差ながらも試合はとても激しいものでした。
ラスト1分くらいで、グルジアの選手が膝をついた「一本背負い」を仕掛け、ナティック選手は不意をつかれた形で完全に相手の腰に乗ってしまい、観ていた私は「うわー!4ポイント(柔道なら、かつがれたその瞬間、一本!と思うような感じです)とられたー!」と思ったのですが、結局ナティック選手はその技を、防ぎ1ポイントも相手に与えませんでした。

完全にかつがれた状態から1ポイントも許さなかったその防御法とは・・・。

大外刈りのように相手の後頭部に自分のふくらはぎを引っ掛け、防いだのです。

あんな防御法、見たこともありませんでしたので、「人間技じゃねー!」と私は思いました。

床の上でいわゆる背筋運動(頭を上げ、足も上げるタイプ)をしていると想像して下さい。その状態から柔軟体操の前屈をする体勢になり、かついでいる相手の後頭部を足で刈ったのです。・・・何を言っているのかわからない人もいると思いますし、なんとなく状態が想像できる人も「そんなことできる訳が無い!」と言われるかもしれません。しかし本当にあったことなのです。

-------------------------------------------------------

 「サンボとは身体機動力の最大開発!」という田中さんの言葉を思い出すたび、ナティック選手が頭に浮かぶのでした。

-------------------------------------------------------
 
 格闘技人気ブログランキング

応用

2006-04-20 14:37:50 | サンボの技術
 
 サンボでは「近いところから攻める」というのがありますから、袖口やルール上禁止されていますが手首の関節をまず考えていきます。しかし、サンボ着がない(つまりレスリングのような裸体で行う格闘技)で手首の関節をとらない、或いは戦略的な準備の為ではなく、引き手の様な感覚で手首を握るのは、かなり危険です。

--------------------------------------------------

 袖口を取ったときと同じように自分の肘を90度でロックしようとするのは、身体の構造上無理があります。相手は嫌がってすぐ外してしまいます。
 では、肘を90度ロックせずにただ握っていると、逆に相手が肘の90度ロックを使ってしまい、こちらのバランスが大きく崩れます。また、相手からみれば「掴まれている」から「掴ませている」状態でコントロールをしやすいのです。

---------------------------------------------------
---------------------------------------------------

 「ロシアンパワー養成法」に書いた、片襟からの方法は、同じ着衣の格闘技でもチタオバでは少し変わってきます。チタオバは袖が無いベストのようなものを着るので、必ずしも内から(片襟)握らなくても良く、肩口から指を入れ、外からでもしっかりと握れますので、片襟と同じくらい強い組手になります。

---------------------------------------------------
---------------------------------------------------

 身体の強い使い方は状況に応じて変化します。本にも書いておきましたが「応用技術」はあくまで、サンボ(一部レスリングもありますが)において、私はこの様に使っているといった参考例にすぎません。そこをご理解いただき、独自の素晴らしい技を創ってもらいたいと思います。

--------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング