旧ソ連で生まれた格闘技『サンボ』の研究所

サンボの技術・トレーニング法を徹底的に研究します。

相撲の鉄砲

2005-06-27 17:19:29 | サンボの技術

 サンビストらしい身のこなし方を体得する為に、準備運動の段階でマット運動やサンボ独特の肩回し運動、腰フリ動作などを行うように指導していますが、セミナー等で「一人の時できる、簡単な運動法はありますか?」と聞かれる事がよくあります。その時、私は相撲の「四股踏み」と「鉄砲」が良いのではないですかと言うと皆さん意外な顔をされます。確かにロシア生まれの技術を指導している私が日本人であれば誰でも知っているような運動法を教えれば、その反応は当然といえば当然なのかも知れません。

 前にも書いたと思いますが、日本人は元々体の使い方が下手な民族であったと思っています。この意見には異論もあるでしょうが、伝統的な空手や合気道、そして相撲の準備運動がどれも独特で、それに時間をかけていた事を考えると、戦う為に必要な体の使い方に矯正する方法が、日本の伝統的な武道の準備運動なのではないかと思うのです。


 


 またまた、昭和25年発行の「相撲」からですが、鉄砲はカッコして体調運足運動と書いてあります。

 (鉄砲というよりも、体調運動といったほうがよいかもしれない。一般にはあまり用いられてないのであるが、専門力士は実に重要なものとして実行している。なぜかというと、相撲には最も重大な手足の運行を必要とするからである。すなわち、右手は右足と共に進退し、左手は左足と共に進退するのである。)秀ノ山勝一著 相撲より引用

 ロシアに渡った時、何事においても教わる事ばかりだった私ですが、相撲の四股と鉄砲だけは、そのやり方にロシアの選手も興味が湧いたらしく、唯一教える事が出来たという懐かしい思い出があります。

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------



前帯

2005-06-23 23:43:48 | サンボの技術
 前帯を取られたときに苦戦している選手を多く見かけます。

 参考までに相撲の技術を載せておきます。相撲には参考にすべき点が数多くありますので研究してみるのも良いと思います。



 昭和25年発行 秀ノ山勝一著 相撲より

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------

これもロシア流

2005-06-21 20:18:03 | その他


 自作したテレビ台です。向こうの生活を思い出していると、買ってこようという気にはならず、何でも自分で作ってしまおうと思ってしまいます。

-------------------------------------------------------------------

 留学した時、ニコライ・クーリック先生は30年前くらいの車を大事に乗っていましたが、整備・修理はもちろん、足りない部品があると全て自分で作っていました。週末に泊まる為のダーチャ(別荘)も自分で(私も手伝いましたが)建て、食べる物も自分の畑で作っていました。

 ロシア留学で得た物は数多くありますが、人間の生きる為の知恵だとかタフさというのを間近に感じたことが一番の収穫だったように思います。現在、技術的な練習をする場がほとんどない状況なのですが、それでも自分が日に日に強くなっている気はします。

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------

外無双

2005-06-20 17:39:12 | サンボの技術


 相撲の決まり手の一つ、外無双です。

 モスクワ体育大学に、この技の名手がいて、スパーリング中、木の葉の様に何度も投げられ、結局一度も防ぐ事が出来ませんでした。私もこの技を使ってみようと、いろいろ研究したのですが、相手を捻り倒すようになってしまい(捻り倒す形でも投げるようになるまで結構時間がかかりましたが)彼の様に、相手がきれいに宙に舞うところまではなかなか上手くいきません。柔道で背負い投げからの変化で似たような技はありますが、その様な形で入るものではありません。

 どなたか、外無双を研究して試合で使いこなしていただければ、面白いと思うのですが・・・。

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------

昔ながらの方法

2005-06-17 23:02:34 | その他


 5日ほど前、右手中指を骨折してしまいました。
 この写真を見て「あれ!」と思われた方がいらっしゃるはずです。
そうです、骨折していますが、骨折の治療につきものの”ギブス”はしていないのです。当然のごとく固定はしていますが、固定に使っているのは一本の包帯のみです。日本の治療ではおそらくあり得ないこの方法、実はこれもロシア式なんです。

-------------------------------------------------------------------

 23歳の時、サンボを本格的に学ぶ為ロシアに渡りましたが、出発の2週間前、私は、左手薬指を骨折してしまいました。最初ギブスで手首まで固定していましたが、あまりにも動かせないので、アルフェンス(金属プレートがついた固定具)で骨折した薬指と中指だけを固定するものに換えてもらいロシアに旅立ちました。
 ロシアについてから1週間くらい、その固定法で練習や生活をしていたのですが、みるに見かねた恩師のニコライ・クーリック先生に大学内の病院で一度診て貰いなさいと言われました。「どうせ、レントゲンを撮ってそのまま固定を続けなさいみたいな、ありきたりな事を言われ帰されるんだろう」と思いながら、「ただで見てもらえるしこれも経験だ」と、しぶしぶながら行ってみることにしました。

 日本の病院と同じように、まずはレントゲンを撮りましたが、私の固定法を見た女医さんは「こりゃ駄目だ」とばかりに、私がしていたアルフェンスをポイッと捨て、くるくると包帯を巻き始めるではありませんか。あっけにとられ見ていましたが、巻き終わった後、その巻き方の美しさと完璧な固定にビックリしてしまいました。ギブス固定の様に、隣の指への障害や関節への機能の影響は全くなく、それでいて固定すべきところはキッチリ固定してあったのです。一本の包帯を使った芸術を見ているようでもありましたし、医者とは本来この様な人のことなのではないかと思ったりもしました。ポイントを抑えた最小限の固定ですので、リハビリもさほど時間がかかりませんでした。

 おそらくロシアでは昔からある当たり前の方法だと思いますが、何かトレーニング理論とも相通じるところがあるように感じたのでした。

-------------------------------------------------------------------

 格闘技人気ブログランキング

-------------------------------------------------------------------