旧ソ連で生まれた格闘技『サンボ』の研究所

サンボの技術・トレーニング法を徹底的に研究します。

袖は上から掴むべし

2018-07-25 16:33:00 | サンボの技術
『ロシアンパワー養成法』P110

【袖口は上から?下から?】では

結論として袖口は上から掴む方が

合理的であると説明しました。

相手に力を伝えるのはコンタクトしている所、

つまり掴んでいるところからです。

当たり前と言えば当たり前の話なんですが、

相手に力を伝える重要なポイントなのに

意外と深く考えている方が

少ないように思います。

ワタシが所有している柔道の本で

組手に関して詳しく書いてあるものを

探してみると

『柔道立技テクニック』池田光輝著

『無敵王者の柔道』藤井省太著

『柔道 組手入門』柏崎克彦著

などが主だったものです。

とても詳しく解説してあるので

柔道をされる方にはとてもおススメの本です。

・・・ハナシを元に戻します。

さて、上に紹介した3つの本には

釣り手の握り方は載っています。

また、柔道の基本組手からの

攻防も詳しく載っています。

しかし、袖の握り方については

どこを掴むといった説明や

「遊びがないように絞るように握る」

といった記載はあるものの

掴み方そのものについての

生理学的・戦略的な説明を

見つけることができませんでした。

ワタシが袖(袖口あるいは袖口に近い)の

掴み方について考え始めたのは高校のときです。

多分一年生の頃だと思いますが

他校の柔道部OBの方から

袖の掴み方を教えてもらいました。

それまでは、そんなことを気にしてもいなかったので

とても理論的な説明に感動した覚えがあります。

しかし、ハバロフスクで教わったとき

コーチのホランスキーは

口をすっぱくして

「袖は上から掴むように」と言われました。

今までやってきたこととは逆なので

ワタシは、ちょっと混乱します。

22歳の時にモスクワスポーツ単科大学で

サンボを学んだ時は

先生にもコーチにも袖の掴み方で注意されることは

ありませんでしたが、周りをみてみると

皆、上から掴んでいます。

・・ので、ワタシもマネして

上から掴むようにしてみました。

『ロシアンパワー養成法』の

チューブを使ったトレーニングと

上から掴む方法がマッチして

いい感触を掴んで帰国。

ところが、タイミングよくというか

悪いというか

日本のサンボ界では大先輩にあたる方から

指導を受けた際、こういわれます。

「袖を上から掴んだら

投げのときに相手を引っ張り出せないだろ!

それでは上達しないから

下から掴め、下から」

上から掴むことに慣れて

いい感触だったのに

もう大混乱です。

どうしていいかわからなくなりました。

ワタシの出した答えは

投げのときは下から掴む

関節に行くときは上から掴む

といった今考えると

アホみたいなことをしていた訳です。

それがきっかけとなり

今ではよく知られるようになった

動き方そのものが

わからなくなる精神的な病

イップスとなったワタシは

現役を退くことになるのです・・・

しばらくサンボを離れて

30歳過ぎてから

解剖学的・生理学的な知識も増え

もう一度、自分の脳ミソで

しっかり考えてみることにしました。

長かったイップスからも脱出し、

選手としてではありませんが

サンボに復帰し、その後

『ロシアンパワー養成法』の執筆に

至ることになります。


・・ハナシが脱線しました。

さて、袖は上から掴むか、下から掴むか

この結論は既に『ロシアンパワー養成法』に

記した通りですが、説明がながくなるため

書けなかったことも沢山あります。

上から掴むことの利点のひとつは

「掴むことそのものの行為で

相手を戦術的にコントロールできる」

掴むということは

指の屈曲運動です。

下から掴んだ場合、指の屈曲だけでは

相手をコントロールすることができません。

何かプラスα、手首を返したり

押さえつけたりといった動作が必要です。

握るというエネルギーは相手に

伝えることができません。

しかし、上から掴んだ場合

指の屈曲運動分のエネルギーが

無駄なく相手に伝わり

相手は前に引っ張られます。

そしたら、相手は防御反応で

踏ん張る動きをするわけで

戦術的には「前に動くことを制限した」

ことになるのです。

・・・・自分で書いといて

言うのも何ですが

読むだけで疲れそうな

長い文章になってしまいました。


~~~~~~~~~~~~

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握力って必要?

2018-07-23 15:08:00 | サンボの技術
『ロシアンパワー養成法』の中で

お風呂での握力強化を述べましたが

かなり勘違いされている方が多いようなので

補足説明をさせていただきます。


お風呂での握力強化って

言い方しちゃっているので

勘違いが多いのだと

今は反省しておりますが

そのトレーニング法って

指を開くことに慣れるためのもので

握る動作は・・・

まぁ、別にどうだっていいのです。

生理学的に考えると

人の指ってやや屈曲しているのが

自然な姿です。

木に登る生活を考えると

指を開くという動作は

逆に不自然な動作になります。


前腕の疲労には2種類あります。

ひとつめ、初心者のうちにありがちな

握ることに力を使い過ぎて疲労するパターン。

ジャケットを握るのに力はいりません。

柔道の野村さんや古賀さんが

握力弱くても強いのは

正しいグリップを使っているからで

そもそも握力を必要としないからです。

意外なことに体操選手も

握力が弱い人が多いそうですが

それも同じ理由です。

また、グリップを握り込むと

肩にも力が入ります。

そして肩に力が入ると

足が動かなくなります。

・・・ハナシをもとに戻すと

前腕の疲労について

初心者の「力み」からくるものは

技術的に向上してくると解決されます。

次に、中級者~でも起こりうるもので

正しいグリップを行うために

指を開く動作を繰り返すことによるもの。

先の説明通り

生理学的に指を開く行為は自然なものではありません。

だからトレーニングする必要があるのです。


・・・因みに

スマホの使い過ぎで

手首のトラブル(痛み)がある方

最近、多いですね。

あれも、上に書いた理由と同じです。

スマホの場合、特に親指



上手に使う方は親指で弾くように

スマホを操作していますね。

親指を開く動作の繰り返し・・・

これが手首のトラブルの原因です。


お風呂のトレーニングや

柔道や柔術、サンボの選手も

手首のトラブルの原因になるのでは?

なんて言われそうですが

心配無用です。

お風呂のトレーニングなんて数分です。

格闘技の練習だって

大体2時間くらい。しかも

常に指の伸展動作を

繰り返している訳ではありません。

スマホいじっている時間と

桁が違うのです。


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2018-07-21 22:32:00 | サンボの技術
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ツツハリヤン試合動画
サンボのバランス その1
サンボのバランス その2
チューブプル

2012 第47号
ロシアンタイからアクティブポイントへ
ロシアンタイから隅返し

2013 第1号
アヒル歩き
アヒル歩きの応用

2013 第20号
ロシアンタイからの基礎練習

2014 第13号
肩越し組手ができない場合
戦術練習・基礎技術練習

2014 第47号
構え方から戦術を考える

2015 第36号 
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2015 第37号 
抱え投げ習得法3・4・5


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フェイクの片襟戦術

2018-07-12 00:45:00 | サンボの技術
サンボの基礎技術というのは

将棋で例えるなら

『駒の動かし方』を覚えるようなものです。

実際に試合を行うには

『定跡』・・・つまり

戦術であったり戦略であったり

そのようなことが重要に

なってきます。

TOU TUBEにはサンボの基礎技術を

何本かアップしておりますし

これからも更新していきたいと思いますが

大切なのは戦術になります。

サンボWEB教室では

その戦術面を中心に解説をしています。


この動画は2014年の第19号

『片襟の戦術』を

PR用に再度撮影し編集したものです。

その中で使われている基礎技術については

サンボラボHP『基礎技術講座』から

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