銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

電気湯(東京・京成曳舟)

2025-03-29 08:06:00 | 銭湯
#電気湯




京成本線
#京成曳舟駅
▲京成曳舟駅

▲スカイツリーがある押上の隣にある


▲東改札口を降りて

▲改札口をでたらすぐ右の出口にむかう(右に見えてるのが東改札口)

▲降りると目の前にOK曳舟店がある

▲左にむかう

▲そのまま真っ直ぐだが

▲道がかなり曲がりくねっている

▲不自然な曲がりぐあい

▲かつて川だったところだろうか




▲奥に八広中央通りがみえてくるので

八広中央通りの横断歩道を渡ると

▲ひだりに電気湯がみえてくる



▲開店前のシャッター。ひよこの絵柄がかわいい




▲開店5分前になると常連客たちがゾロゾロと集まってくる

時間になると客たちが力をあわせて勝手にシャッターを開けていた



▲到着

▲電池を回収するボックス


▲中の入り口


我先へとなだれ込む客たち。それを後ろで眺めながら落ちついた頃を見計らうと、中に入った。
下駄箱を正面にしてひだりが入り口。
奥に休憩所の畳敷きがあり、将棋盤が置かれていた。電気湯だけに交流がある場所なのだろう。
入り口からみて左に券売機がある。
券売機に千円札を投入すると、すぐに戻ってきた。お札の表裏を入れ替えて入れ直そうとすると、後ろから「新札は入らないんです」との声。
振り返ると受付に座るのは、10代後半ぐらいのかなり若い女性が座っていた。ボーイッシュな髪型で、ぱっと見男の子にも見えなくはない。今時の流行とは無縁の髪型だ。
「それでは、崩してください」と新札を出してお願いすると、旧札の千円札を渡された。
入浴料は550円で、貸しタオル(フェイスタオル)は100円。
受付にチケットを出すと、「タオルは返却する時に、券売機の横にあるカゴに入れてください」と言われる。
明らかに一見さんとわかるので「ここは下駄箱の鍵とロッカーの鍵を交換してます」と教えてくれた。下駄箱の鍵を渡してロッカーの鍵を受け取る。
「ごゆっくりです」(たしかこんな言い方だと思ったが、記憶があいまい)と案内される。
男湯は左側で、女湯は右側。


のれんをくぐると、脱衣場はほぼ真四角で広々としている。真ん中には畳のテーブルがあり、洗面所は右端。手前の場所にととのい用の椅子が並ぶ。
トイレは左奥にあるが、扉をあけると奥にも通路があって、こちらはボイラー室につながる道のようだ。トイレは左の扉をあけてくださいと案内されていた。やはり和式トイレだった。
脱衣場は音楽が流れ、入った直後は中島みゆきの地上の星が響いていた。


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲こちらは昔の写真だろう。今と若干雰囲気が異なる


浴室の扉は2つあり、その真ん中に棚が置かれてある。
中に入ると、浴室自体は昔ながらの典型的な作り。真ん中に島カランと、左右の壁にカランが並ぶ。
右手前には立ちシャワーが2つある。簡素な仕切り板で作られ、シャワーはハンドシャワーだが、珍しくホースが金属製だった。なので使っていると壁のタイルにぶつかって金属音が鳴る。
左の手前には、サウナ。この時は利用しなかったのだが、中を覗くと6人前後ぐらいの広さだった。別料金は400円と少し値段が高いと感じた。
サウナの横に、ほぼ真四角の水風呂がある。角が丸くなっていて群青色のタイルが張られてあった。
詰めれば4人が入れるだろうが、たぶん密着することになるので実質2人ぐらい。水温は20℃ぐらいとふつうの温度だった。


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲カランの勢いはふつう。立ちシャワーは使いやすかった


湯船は浴室の奥にあり、おおざっぱにみると左右に分かれている。
左から見ていくと、最初は浅浴槽で左端に湧出口がある。すこし大きめでここに体をピッタリ寄せて浴びている人がいた。真ん中はバイブラ。
真ん中部分には座湯が2つある。
左の浅浴槽と繋がっており、温度は43℃ぐらいか。低温の湯船と表記されていたが、決して低くはない。
右が深浴槽で、こちらは熱湯と表記されてなかったものの、動物の絵柄を使って(なんの動物か不明)、あつい湯なので水をうめないでね、という趣旨が書かれてあった。
温度は44℃ぐらいとそんなに熱くはなく、全部が似たような温度だ。


客層は入った直後だと高齢者ばかりだったのだが、途中から二十代か三十代ぐらいの人がちらほら入ってきた。
客同志はそんなに活発に会話をしてる感じはなかったが、一部の人たちが盛り上がっていた。


壁絵は赤富士のペンキ絵。
と思いきや、中島盛夫さんが描いた赤富士なのだが、平成26年に制作した赤富士の絵をプリントしたもの。ペンキ絵にしてはずいぶんと状態が良いなと違和感があったが、近づいて見てなるほどと思った。
注目すべきは、休憩所から脱衣場、浴室にいたるまで満遍なく写真が張られてあったことだ。写真家の作品を紹介したもので、全国津々浦々の日常に溶け込んだ面白いものを撮影している。
なぜ飾ってあるのかわからないが、文化的なイベントを取り入れるのは最近の銭湯にみられる傾向である。
地ビールを用意してあるのも若い店主の銭湯あるあるである。ここも例に漏れず一般に売られてない缶ビールの広告があった。700円と表記され、入浴料より値段が高い。


建物自体はかなり古く、昭和の遺構みたいなところである。ちなみに名前が電気湯なのは、創業当時(大正11年創業)に新しいエネルギーである電気を使って沸かしていたことから由来するらしい。今となっては電気で湯船を沸かすところなんてないけれども(たぶんコスト面で相当高くなると思う)。
このように歴史をたどることができてレトロ感が満載である。とくに浴室内のデザインがいかにも昭和後期に見られる感性にあふれている。
天井はくすみ気味な水色、黄色、緑色がストライプ模様で描かれ、壁タイルも白地に青いストライプが全体を覆っている。
一方で、古いからといって老朽化した雰囲気を感じさせないのがすごい。きれいに磨かれ、メンテナンスを怠っていないのが一目瞭然だった。
多くの人たちでにぎわっていたけれども、受付の良さだったり清掃をきちんとするなど、基本を怠らない大切さを再認識させてくれる銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 京成曳舟
経路 まがりくねった道をそのまま
周辺の環境 住宅

●空間演出
建物外観 古いビル型
壁画・眺望 赤富士の絵のプリント
統一感 あり
置物 なし
照明 ふつう

★設備
休憩所 畳敷き
脱衣所 広い
シャワーの出 ふつう
浴槽の種類 バイブラ、座湯
サウナ あり
温度 43~45℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 丁寧
清潔さ きれい
貸しタオル あり(100円)
備え付け あり

◆人
受付 10代後半の女性
客層 高齢者がメイン


【案内】

住所
〒131-0046
墨田区京島3−10−10

電話番号
03-3610-8998

アクセス
京成押上線「京成曳舟」駅下車、徒歩5分

休日
土曜

営業時間15:00−24:00(最終受付23:30)
日曜は8:00−12:00も営業

※東京銭湯ホームページ転載

ゆ家和ごころ 吉の湯(東京・永福町)

2025-03-22 06:54:00 | 銭湯
#ゆ家和ごころ 吉の湯




京王井の頭線
#永福町
▲永福町駅

▲改札口

 
▲この駅は屋上に公園がある

▲新宿方面を眺める

▲降りるのは北口

▲大勝軒がある方面にすすみ

▲奥の隣にミニストップがあるが

▲そのミニストップのひだりにある道をひたすら進む


▲道のりが長いので途中は割愛。駅周辺はおしゃれな飲食店が多い

▲住宅街が続く

▲一度十字路を直進し(この道を右に進んでもいい)

▲その先の右にファミマがあり

▲ファミマに沿って右に進む

▲その先に横断歩道があるので

▲左の横断歩道をわたる

▲すると大宮八幡宮の案内がみえる

▲そのまま直進すると

▲左に大宮八幡宮がある。これを通り過ぎて

▲川を渡り、和田堀公園を過ぎて(和田堀公園の画像も省略)

▲和田堀公園を過ぎたら坂道を上る

▲松の木中学校を横切り

▲再びファミマが出現する

▲ファミマに沿って左折する

▲住宅街を歩き

▲最初の十字路かあったら右に進む

▲ちょっと歩けば

▲右側に吉の湯がみえてくる

▲歩いて30分もかかった。健脚以外、バスで来ることをお勧めする




▲到着


扉をあけて中に入ると、真ん中には消毒液があった。いまでもコロナ対策が続いているようだ。
奥へと進むと、左側に券売機が設置されている。入浴料は550円で、サウナ込みだと1000円!だった。
サウナの追加料金は当然にしても、合計で1000円は強気に感じた。使い切りのシャンプーとボディソープは無料で配ってると書いてある。
自販機の右隣は受付で、やはりシートで覆われていた。やりとりのするところだけ空いている。
座るのは20代ぐらいの男性。
「貸しタオルありますか?」と尋ねると、「自販機でお願いします」と言われる。フェイスタオルの100円を購入。チケットを渡そうとすると、すでにバスタオルが用意されていた。受付の男性はフェイスタオルのチケットを見るなり、「フェイスタオルか」と残念そうにひとりごちていた。フェイスタオルは持ち帰られるようにビニールに入っていた。
受付では下駄箱の鍵を出すように言われて、ロッカーの鍵と交換する。
受付の右対面のところが休憩所になっており、すべての椅子が正面に並べられてあった。これも感染対策だろうか。まるで講演会の会場のようだ。
壁沿いに自販機があり、アイスや飲み物を買うことができる。
右側が男湯で、左側が女湯だった。


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲玄関の入り口


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲休憩所は写真とだいぶ異なる


のれんをくぐると脱衣場はすこし複雑な形をしていて、ロッカーが壁に沿いに設置され、左側に洗面台がある。
トイレは多目的トイレだったり、外気浴のスペースが設置されてあったり、設備がかなりしっかりしている。おのずと浴室への期待感が高まる。


出典:東京銭湯ホームページ引用


浴室の扉をあけると、最初の印象は普通の銭湯かな?という感じ。
壁全体に沿ってカランが並び、立ちシャワーは手前の左側に2つと奥の右側にも2つ。ハンドシャワーと固定シャワーに分かれていた。
通常のカランは、やや古いタイプのカランで、一部ボタボタのシャワーになっていた。湯量は多くていいが、ボタボタだとやはり使いにくい。


出典:東京銭湯ホームページ引用


真ん中の奥にある湯船は、先端がカマボコのように丸くなっていて、奥は長方形である。
湯船に入ってみると左壁のところに電気風呂があった。威力はふつう。
奥にはジェット関連が並び、左がショルダージェット、真ん中がボディジェット、右がミドルジェットだった。
ショルダージェットはその名の通り上半身を湯船に傾けると、微妙ではあるがギリギリ肩にぶつかる。
真ん中のボディジェットはそのまんまだが、勢いがそこそこあった。最後の右にあるミドルジェットは、やはり中程度の威力。腰あたりに当たるようになっている。些細ではあるけど、いくつもの仕掛けがあった。
温度は41℃ほどと長湯するにはもってこいの温度だ。


右奥に目を向けると、露天風呂への入り口がある。
二重扉になっていて、最初に目に飛び込んでくるのは、つぼ湯だ。一般の銭湯でつぼ湯があるのはかなり珍しい。
2つ並び、温度は42℃ぐらい。最初は少し熱いと感じた。
露天風呂の眺めは住宅街の中にあるのにかなり開けている。
天井は格子になっていて、湯船のある部分だけすだれがかかっていた。
つぼ湯の奥にはサウナがある。今回は迷ったあげくにパスしたが、中を覗けば10人ぐらいは入れそうな広さだった。たしかに高い料金を取るだけはある。ちなみに2時間の制限が設けられていた。


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲写真でみると高級感があるが、実際はかなり古くてくすんだ印象


露天風呂の手前側には水風呂。
水風呂も広くて、4~5人ぐらいは入れそうな広さだ。水温はさほど冷たくなくて、せいぜい18℃ぐらいだろうか。
一年で一番寒い時期に来たのにこれだと、夏はかなりぬるいかも。あるいは冬だからあえてチラーを使ってなかったか(チラーがあるかどうか知らないけど…)。


最後の左側のところに高濃度炭酸泉がある。温度は39℃ほどと冬場からするとやや足りない感じもするが、入っていて寒くはなかった。
炭酸の濃度はスーパー銭湯と比べて微妙だが、まずまず。4人前後が入れる広さだった。
全体の広さは一般の銭湯と比べてけっこう広めで、休憩用の椅子が横と奥に合計で6つほどあった。
残念だったのは、水はけが悪いので椅子の足下に水たまりができていたことだ。衛生的に問題がある。


出典:東京銭湯ホームページ引用


出典:東京銭湯ホームページ引用


客層は、幅広く年代が偏ってる感じはしなかった。平日に訪れたせいか分からないが混雑しておらず、ゆったりと過ごすことができた。
壁絵などは一切なく、最初から最後まで完全にミニスーパー銭湯だった。
銭湯料金だけで考えるとかなりコストパフォーマンスが高いところである。
設備自体は古さがあり、いまのデザイナーズ銭湯と比べると前時代的なところがあるが、大半の人が満足できるのではないだろうか。
悔やまれるのはどこからアクセスしても遠く、歩くと30分。バスを使っても18分。待ち時間などを考えると徒歩とあまり変わらない。
サウナ込みで1000円を払うとなると、これなら近場のスーパー銭湯が選択肢として考えられるし、なんとも微妙な心証が残る銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 永福町
経路 北へ進む
周辺の環境 住宅

●空間演出
建物外観 自宅兼銭湯
壁画・眺望 なし
統一感 あり
置物 なし
照明 明るい

★設備
休憩所 ロビー
脱衣所 ちょっと複雑
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 電気風呂、ジェット関連、坪湯、炭酸泉、水風呂
サウナ あり
温度 38~42℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 ふつう
清潔さ ふつう
貸しタオル あり(フェイスタオルは100円)
備え付け 使い切りをもらえる

◆人
受付 20代の男性
客層 幅広い年齢層


【案内】

住所
〒166-0015
杉並区成田東1−14−7

電話番号
03-3315-1766

アクセス
京王井の頭線「永福町」駅よりバス。「松ノ木住宅」下車、徒歩5分

休日
月曜

営業時間
13:30−22:00(最終入場21:30)
土曜・日曜は8:00~11:00も営業

※東京銭湯ホームページ転載

錦湯(東京・旗の台)

2025-03-15 07:51:00 | 銭湯
#錦湯
2025年3月31日閉店




東急大井町線
#旗の台駅
▲旗の台駅。大井町線と池上線が交錯するハブ駅でもある

▲大井町線から池上線に降りて

▲東口

▲東口を出たら、左に向いて昭和大学病院へと進む

▲正面の大きな建物が昭和大学病院

▲目の前の大通りは中原街道

▲中原街道を一度わたり

▲渡ったら右折する

▲中原街道に沿って歩く

▲分かれ道。左の道でも行けるが、そのまま中原街道を歩く


▲ここで立ち止まり


▲左に少し曲がると


▲右奥の小道に錦湯がある


▲到着。開店まえに常連さんたちが数人並んでいた


▲閉店(廃業)のお知らせ。諸般の事情とあるが、閉店するのは実はここだけでなく


▲入り口の隣にある石垣理容院もまったく同じタイミングで閉店するという

▲先ほどの横断歩道前にあった凝ったデザインのテナントビルもサイゼリヤが入っていたと思われるがすでに閉店した後だった。一斉に閉じたとなるとデベロッパーがこのあたりを地上げしたか

▲テナントビルの奥には祠をみつけた

▲中原街道の札場(法令や禁令などを伝えるもの)の跡地。昔から人通りの多いところだったことが伺える

▲錦湯の裏側に回ると煙突がみえる

▲錦湯の裏側


▲バックヤードの姿。薪で沸かしてるところのようだ


開店時間に店先へと戻ると、白髪の恰幅がよいTシャツ姿(だいたい薪を沸かしているところの店主は年中Tシャツ姿)の男性が入り口にのれんをかけて、常連さんたちから挨拶されていた。そして一度外に出ると、並んでいた客たちが入りきるのを待って最後は扉を閉めていた。


下駄箱は右側にあり、左に向くと手前側にソファーが奥まで続く。その対面に受付があった。
座るのは60代ぐらいの気品ある女性。
「こんにちは」と挨拶して、「貸しタオルありますか?」とたずねると、「はい、あります」と穏やかな話し方で出してくれる。
「こちらのタオルは無料になります。サウナに入りますと有料ですがバスタオルもつきます」と案内してくれた。「それならサウナをお願いします」と言うと、「なんか無理を言っちゃったみたいですみません」と気遣いの言葉を掛けてくれた。


出典:東京銭湯ホームページ引用
女湯は左側で、男湯は右側


出典:品川浴場ホームページ引用


のれんをくぐると、脱衣場は狭いスペースで、かなり古く感じられる。
脱衣場の入り口から見て右側に畳のテーブルが配置され、さらにその奥に縁側があった。縁側にある坪庭は手すりが囲み、左側には椅子と角型スタンド灰皿が置かれてある。
庭の中には大きな池があるが、今は枯れていて水が張られていない。そのかわりに枯れ葉が埋もれていた。


出典:東京銭湯ホームページ引用


出典:品川浴場ホームページ引用


▲前はこんな感じだったらしいが…

▲今は廃れてしまった


▲高い建物に囲まれ、死角の場所だからこそ作れた縁側だろう


浴室に入ると、浴室もまたやや狭いスペースだった。
真ん中と左の間仕切り壁にカランが並び、右の奥にもカランがあるが、こちらは2つのみ。その右の一番手前にサウナが設置してある。
サウナは、フロントで鍵が渡されるので、その鍵で引っ掛けて開ける。
中は昭和の文化が色濃く反映された空間で、さながら純喫茶の様相。壁の上側は石の壁面で、半分下は木材。床も木で作られているが、見事に朽ち果てていた。歩く時に少し沈む感覚があるのと、きしみ音がして足裏にはなんともいえないザラついた感覚があった。
控えめな音量でBGMが流れていたが、ほとんどが昔の80~ 90年代あたりの曲だろうか。ただ懐古趣味ばかりでなく、入った直後には宇多田ヒカルの「花束を君に」が流れていた。亡くなった母親に思いを馳せる歌で、悲しいメロディーがお別れにふさわしい曲にも感じた。
照明のガラスなどは西洋風のデザイン。外国文化の影響を強く受けた80年代あたりの余香が随所に残っていた。


出典:品川浴場ホームページ引用


出典:品川浴場ホームページ引用
▲熟成された渋い空間


サウナの前には水風呂がある。
2人用を想定してると思うのだが、たまたま自分がみたときは太った男性が目一杯独占して入っていたので、一人用とみて差し支えないであろう。
水風呂の奥には立ちシャワーが2つ。こちらは壁が覆っていて重厚感がある。しかも、2つのうちひとつはジュビナバス(複数のノズルが壁面に設置されて一斉に吹き出すやつ)だった。ほとんど壊れていたけれども。


湯船は浴室の奥にあって、均等に3つに分かれている。
左から見ていくと、最初は深浴槽でバイブラ。なかなか勢いのあるバイブラだった。真ん中が座湯。壁のところに水まくらがあるが冷たくなかった。ジェットの一部も壊れていた。最後の右は浅浴槽で、少しバイブラらしきものがあったもののオマケ程度。壁に湧出口があり、塩素を投入する筒がむき出しになっていた。
温度はすべて45℃。最初に入るときはキツく感じたが、訪れたのは冬日だったのでちょうど良かった。縁側での外気浴も気持ちよかった。


出典:品川浴場ホームページ引用


浴室全体はカランのハンドルや壁のタイルなどが淡いピンク色に覆われていて、柔らかな雰囲気を放つ。
天井は高く、水色に塗られている。所々剥がれ、やはり老朽化はだいぶ進んでいたようだ。


この日は3月の上旬で、まだお別れを言うには早い時期だったけれども、名残惜しさからなのか元々なのか分からないが凄い混雑ぶり。カランはほぼ埋まり、湯船もだいぶ人が入っていた。
これだけ人気がある銭湯なので閉店してしまうのは勿体ない気がするけれども、やはり老朽化した建物を今後も維持するとなると大変だろう。
変化の波は誰もあらがうことができず、循環の中でこそ新しいものが生まれることを考えると、いまのタイミングで手放すのは良かったのではないかと思う。

▲右の建物も再開発で建て壊すだろう


▲この一帯は古い建物がいくつも残る貴重な場所であったが…


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 旗の台
経路 中原街道を目指す
周辺の環境 中原街道

●空間演出
建物外観 古い建物
壁画・眺望 タイルに花の絵
統一感 あり
置物 なし
照明 ふつう

★設備
休憩所 フロント前のソファ
脱衣所 少し狭い
シャワーの出 ふつう
浴槽の種類 バイブラ
サウナ あり
温度 45℃
棚 なし
男女入れ替え なし

■サービス
接客 気遣いと気品がある
清潔さ きれい
貸しタオル あり(フェイスタオル0円)。ちなみにタオルは生乾きの臭いが少しした
備え付け あり

◆人
受付 60代の女性
客層 高齢者をメインに幅広い年齢層


【案内】

住所
〒142-0064
品川区旗の台1−2−17

電話番号
03-3781-8618

アクセス
東急池上線「旗の台」駅下車、徒歩7分

休日
土曜

営業時間
15:00−24:00

※東京銭湯ホームページ転載

銭湯Gokurakuya(東京・荻窪)

2025-03-08 06:43:00 | 銭湯
#銭湯Gokurakuya




JR中央線
#荻窪駅
▲荻窪駅


▲改札口

▲改札口を抜けたら左の北口に進む

▲北口を出たらバスターミナルを左にそって歩く


▲青梅街道にでるので左の環八通り方面へと進む

▲環八通りまでしばらく直進



▲アキダイを通り過ぎて


▲途中で杉並公会堂がある


▲ウルトラマンの初お目見えがおこなわれた記念のプレートがあった


▲この目の前の通りが環八通り

▲長い横断歩道をわたり


▲そのまま直進すると左にドミノピザがみえてくる

▲その先にラーメン屋さんがあるが、左にある小道にすすむ

▲左に向いたところ

▲少し歩くと

▲右に銭湯Gokurakuyaがみえてくる




▲到着。ここは2024年3月にリニューアルしたところらしい


中に入ると、銭湯というよりもおしゃれな雑貨店のような雰囲気。黒をベースにスタイリッシュな空間だった。
右端にある下駄箱に靴を入れると、階段を下れば受付があるが、その手前側に券売機がある。
メニューはいくつかあるが、今回はサウナも入れる930円コースを選択。バスタオルとフェイスタオル、使い切りシャンプーなどがついてくる。
受付に立つのは、30代前半ぐらいの男性。丁寧に対応してくれた。
受付の周りに物販があり、飲み物などを買うこともできる。ただ、休憩所らしきものは見かけなかった。
奥へと進むと、脱衣場が左右に分かれていて、左が女湯で右が男湯だった。


のれんをくぐると、脱衣場も洗練されていて、スーパー銭湯のような感じ。
左側にドレッサーが配され、ほぼなにもないがドライヤーは無料だった。
右側にはロッカー。洋楽のBGMが常に流れていた。


浴室の扉をあけると、やはりマンションの地下銭湯ということで、明らかに狭い。天井も低い。それとリニューアルとあるが、浴室は根本的に変えてないだろう。脱衣場までが最新のデザインだったので、浴室の古さが際だつ。
カランは左の間仕切りがメインで、11個並ぶが、右は手前に2つだけ。
あとは奥にかけて浴槽が並ぶ。
浴槽は4つあり、手前は電気風呂で温度は40℃ぐらい。
電気の刺激はそんなに強くないが揉兵衛と呼ばれる設備で、リズミカルな電気刺激がある。スペースは詰めれば2人が入れるが、実質1人用。

出典:東京銭湯ホームページ引用


出典:東京銭湯ホームページ引用


お隣が主浴槽で、微細泡が発生する装置を取り付けられている湯船。こちらは詰めれば4人。実質2人ほどだ。
温度は思ったよりも高く、43℃ぐらいか。それに隣接する形で横に座湯がある。お湯を共有してるのでこちらも43℃ぐらいだった。
最後の奥にあるのが水風呂で、水温は20℃ほど。そんなに冷たくはなかったし、スペースも実質1人ぐらいしか入れない。このように、一つひとつの浴槽が1人用か2人用だった。


出典:東京銭湯ホームページ引用


浴室の一番端っこにあるのがサウナである。
サウナも予想通りというべきか、当然ながら狭く、段差のところに座れるのは体を細くして3人。足下にベンチが用意されており、こちらは詰めて2人。最大で5人が入れるものの、3人いた段階で入るのに躊躇するだろう。
温度は90℃ぐらいで標準的だ。


客層は比較的若い人が多く、ほぼ均等に年齢が分かれていた。
狭くてカランの数はそんなに多くないのだが、客はそれなりに多かった。
駅から少し歩く場所なので若干不便だが、環八と青梅街道がクロスする場所なので、地元の人たちには通いやすい所かもしれない。
地下にあってスタイリッシュな雰囲気は、いかにも東京らしい銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 荻窪
経路 環八からすぐ近く
周辺の環境 マンション

●空間演出
建物外観 マンション
壁画・眺望 なし
統一感 あり
置物 なし
照明 ふつう

★設備
休憩所 あっかもだが記憶にない
脱衣所 きれい
シャワーの出 勢いがあるが一部弱い
浴槽の種類 電気風呂、微細泡、座湯、水風呂(すべて薬湯)
サウナ あり
温度 40~43℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 丁寧
清潔さ きれい
貸しタオル あり(セット料金)
備え付け なし

◆人
受付 30代前半の男性
客層 幅広い年齢層


【案内】

住所
〒167-0043
杉並区上荻2−40−14

電話番号
03-3390-6764

アクセス中央線「荻窪」駅下車、徒歩7分

休日
火曜

営業時間
16:00−24:00
(最終受付23:00)

※東京銭湯ホームページ転載

文化湯(東京・西荻窪)

2025-03-01 08:22:00 | 銭湯
#文化湯




JR中央線
#西荻窪駅
▲西荻窪駅



▲改札口

▲左の北口を目指す


▲北口方面へ歩き

▲さらに左。交番がある方向にむかう

▲この道をひたすら真っ直ぐ(右の電柱広告にあるネコソダテってなんだ?と調べたら、猫の首輪専門店だった)


▲伏見稲荷神社の鳥居をすぎて


▲おしゃれな飲食店や雑貨屋などが並ぶ。このあたりは文化的感度の高い人たちが集まる地域なので、それぞれの偏愛と理想を追い求めるこだわりによって街が磨かれている






▲左にセブンがみえてきたら


▲右のすみれ洋裁店がある横の脇道にすすむ

▲すみれ洋裁店を左に見て通り過ぎる


▲右の白い建物が目的地だ



▲到着

▲右にも下駄箱があるが、こちらは完全に閉められている。かつては違った設備も運営していたのかも?


▲地下にある銭湯なので地下に降りる

▲下駄箱のあるスペース

▲地下への階段を降りる



▲フロントのある場所に到着。ベンチが青でマッサージチェアのタオルが黄色。入り口は青地の縁取りに黄色の文字だったのでカラーを統一しているのだろう。上の写真の手すりも黄色になっている。下駄箱も青と黄色だ


階段を降りると、真下は休憩所で、左側にフロントがあった。
座るのは、40代後半から50代前半ぐらいの女性。話し方が柔らかく、愛想を振りまいてるわけではないのだがとても感じのいい人だった。
「こんにちは」と挨拶したあとに「貸しタオルはありますか?」と言いつつ、テーブルに並べられてあった手ぶらセットをみつけて(貸しタオルはないかな…)と思っていると、脇のところから「これで大丈夫ですか?」とややくたびれたタオルを出してくれた。
お金を出そうとすると、「シャンプーとか持ってないですか?」ときいてくれて、すかさず無料の使い切りシャンプーとボディソープを渡してくれた。
女湯は左側で、男湯は右側だった。


のれんをくぐると、脱衣場は縦長の空間になっており、手前側(入り口からみて右側)に洗面台がある。浴室側に向かうと、右側の壁沿いにロッカーが並ぶ。
ここは地下であるが、中庭があった。
全面ガラス張りで脱衣場からも見渡すことができる。花が植えられ、丁寧に手入れがされていた。この控えめできちんとした感じがとても素晴らしい。


出典:すぎなみ銭湯ホームページ引用


体重計があったが、古いもののいつの時代の物なのかは不明。
扇風機は、工事現場にありそうな業務用のサイズ。ロッカーのうえに客の私物が無造作に置かれ、せっかくの雰囲気がやや台無しな気がした。
ロッカーの切れ目のところにモップが立てかけてある。これは濡れたら自分で拭きなさいというものだろうか。


浴室に入ると、一番寒い時期(この時は寒気が居座っていた)とあってか、湯気がものすごく充満していた。
浴室全体は白に統一され、気品あるデザイン。作りは非常にシンプルで、真ん中の島と壁沿いをカランが囲み、奥に浴槽があるのみだった。
手前の右側に立ちシャワーが2つ。カランにせよ立ちシャワーにせよ、勢いがあって使いやすい。


出典:すぎなみ銭湯ホームページ引用


奥にある浴槽もかなりシンプルだ。
ひとつの湯船になっていて、左にバイブラ、右に寝湯が3つ。それだけ。
広さはそれなりにあり、詰めて9人は入れそうだった。
温度は41℃ぐらいなので、のんびりと長湯をさせてもらった。
湯船の奥にも、中庭がみえる。
周囲を掘り下げているので、地下にいることを忘れそうだ。惜しむらくは湯気のせいで水滴がつき、せっかくの庭がぼやけてみえていた。


出典:すぎなみ銭湯ホームページ引用


出典:すぎなみ銭湯ホームページ引用
▲地下の銭湯とはおもえない景色。開店が16時なので、光の差し込む浴室がみられるのは夏の開店直後ぐらいか


天井はそれなりに高く、中二階ぐらいの高さがあった。
壁絵はなかったものの、タイルのところに花の絵が描かれてあった。
客層は高齢者が中心で、若い人はみかけなかった。たまたまなのか分からないが、発信力の高い若い人たちが集まる街なので、彼ら彼女らをひきつけないのは勿体ない気がした。
すべてがシンプルゆえに回遊性がなく(湯船や外気浴、水風呂などを巡るパターンがなく)、長く居ることはなかった。手持ち無沙汰になると身の置き所に困る。
これで奥の中庭を一部でも外気浴できるスペースに作り替えてサウナでも増設したら、多くの人が来るのではないかと勝手に妄想した。


設備にやや残念な部分があったものの、入り口から平成レトロモダンな雰囲気があり、経営者の感性を具現化したような、街とも調和がとれた優美な銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 西荻窪
経路 北口をまっすぐ
周辺の環境 西荻一番街、住宅

●空間演出
建物外観 ビル
壁画・眺望 庭、花の絵
統一感 あり
置物 なし
照明 明るい

★設備
休憩所 ロビー(フロントの前)
脱衣所 縦長
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 バイブラ、寝湯
サウナ なし
温度 41℃
棚 なし
男女入れ替え なし

■サービス
接客 感じが良い
清潔さ きれい
貸しタオル あり(0円)
備え付け なし(使い切りをくれる)

◆人
受付 40代の女性
客層 高齢者が中心


【案内】

住所
〒167-0042
杉並区西荻北4−3−10

電話番号
03-3390-1051

アクセス
中央線「西荻窪」駅下車、徒歩5分

休日
月曜、第2・第4火曜

営業時間
16:00−24:00

※東京銭湯ホームページ転載