社会科学上の不満

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外交と防衛、歴史と現状についての不満のハケ口。(観念論の方は出入り禁止)

中国の軍事力

2012-09-17 11:14:48 | 外交と防衛

 中華人民共和国人民解放軍の特徴は、各地区に軍司令部があり上層部は異動が多い。軍閥化を防ぐためだ。しかし、その地のプロパーの高級軍人は貴族的な生活を行っている。どこが共産主義なのだろうか?そもそも論であるが共産党国家の軍の地位は、特に中華人民共和国に於いて、政府(行政府)の上にある。日本、米国、英国、仏国などのシビリアンコントロールの近代国家と大きく異なる。共産党がありその下に軍、そして行政府の順位となる。役職名でいけば、書記長、人民解放軍指令長官、首相の順だ。これを理解できていないとしか思えないニュース解説をTVは行っている。新幹線の事故の検証を行政府が行えないのは、鉄道は軍の支配下にあるためだ。大量の兵隊を輸送するため鉄道は軍の支配下にある。18世紀のヨーロッパみたいだ。

 中華人民共和国人民解放軍の編成は陸軍主体ということである。大陸国家であるためその特徴が出ている。空軍戦力もロシア(ソ連)空軍の派生型である。海軍は潜水艦を中心とした3流海軍である。兵器は近代化に資金を投入している。問題は陸軍の人員の質である。徴兵のため人数は多いのだが、一人っ子政策で親が軍事訓練にまで口を出し軍当局が閉口している。また内陸部と沿岸部との格差は軍の統一性にも大きな影響を与えている。片やパシコンや車を自由に扱い、片や車の運転どころかパソコンに触ったこともないと言った極端な格差が部隊単位で生じている。ハーグ軍縮条約やジュネーブ条約などの存在そのものを知らない。また知らせない。国際法や国際情勢を国民に知らせることは極端に嫌がる。自分たちの行動が明に法に抵触するためだ。ネットが盛んでも「天安門事件」などは検索できない。もの凄い情報操作である。

 陸軍の兵器もロシアのコピーが大半であり、ロシアのプーチン大統領曰く「デットコピー」(粗悪コピー)だそうだ。空軍に至っては創設時から外国の力を借りていた。小林大日本帝国陸軍航空隊少佐の部隊が毛沢東に協力しために、国民党から制空権を奪え蒋介石を台湾に追い払えた左翼や日本のマスコミが認めたがらない史実がある。海軍は空母を有したと話題になって久しいが未だに艦載機の着艦訓練さえ行われていない。近代空母の着艦訓練は難しい、斜め甲板だからだ。

 中華人民共和国人民解放軍は陸続きならば、その「数」が脅威と直結するが、海に弱い。制空権を大量の飛行機で奪うとしているが、稼働率が低いのも事実。海で怖いのは潜水艦であるが、外洋航海可能な原潜は、ダンプカーが直脇を通過するほどの騒音をだす。潜水艦は静寂性が命。静寂性に優れた改ロメオ級は日本の対戦部隊の敵ではない。このことは中華人民解放軍はよく知っている。知らないのは日本国民だけではないだろうか。

 軍事力は或る意味「数」の力でもある。如何に遊兵を作らないか、如何にその「数」を移動させるか、食わせるか、やる気を煽るかである。そのやる気に直結するのが「質」である。兵器の質、兵の質、将の質などを見る必要がある。1996年の台湾沖ミサイル演習を米海軍が封じ込めた。この事実が如何に中華人民共和国に与えた影響が大きかったか検証の必要がある。この反省に立って兵制を変えてきた中華人共和国だから。そしてその教訓から米海兵隊に採用されたのがオスプレイである。

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