社会科学上の不満

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台風に軍艦は弱い

2012-09-29 06:41:47 | 外交と防衛

 戦前に台風で駆逐艦の艦首がモゲル事故があった。強度不足であった。第四艦隊事件と言う。高速を求める軍艦は嵐による事故が意外と多い。中国の空母元バリヤーグもその例外ではない。ロシアから購入して10年以上経過する。製鉄会社の技術者の方に聞いた話で申し訳ないが、空母の鋼鈑の製作はかなりの技術を要するそうだ。未だ中国の技術力では難しいらしい。

 艦船は波による縦揺れや横揺れに対抗できる強度の鋼鈑が必要となるそうだ。排水量が大きくなればなるほど艦船の長さが長くなる。縦方向だけでなく横方向にも。波で船体が持ち上がるとヤジロベイみたいになり折れやすくなるそうだ。横揺れの場合艦船が傾き縦揺れの波を受け持ち上げられると支点なるベキ位置に強度が低い部分がくると破損するそうだ。更に空母の場合航空機の30t近い重量が250km/hの速度で着陸(落下)してくる。鋼鈑にかかる力の方向が複雑になるそうだ。未だ中国の技術力では「これらの力に対抗できる鋼鈑を製作できる技術はない」そうだ。

 言われてみれば、未だに戦闘機の離発艦訓練が行われていないようだ。先日も書いたが近代空母の斜め甲板は空母での訓練を必ず必要としている。

 また、米国がスチーム・カタパルト(発艦装置)の技術や運用のノウハウを出さないため、スキージャンプ式飛行甲板である。この形式の甲板で運用できる航空機は武装を大幅に外した戦闘機かハリヤーとYu28との2機種しかない、他はヘリとなる。ハリヤーは中国に輸出されないためYu-28かそのパッチモノと考えられる。ハリヤーと比べれば数段性能が落ちる航空機である。そして現在の垂直上昇機は速度が遅いいずれの機も音速はでない。対空攻撃に弱い、この件はフォークランド戦争で実証されている。(空戦《ドッグ・ファイト》は強かった)中国が艦載機に考えているSu-33は最大33tを超える戦闘機だ。燃料や武装を外し軽くしなければスキージャンプでの発艦は無理である。

 問題はスチーム・カタパルト(発艦装置)のようにベテランが必要で運用も困難なカタパルト(発艦装置)ではなく、日本のリニア技術を欲していることだ。小泉政権時この輸出を潰した。故に現在中国を走るリニアはドイツ製でありバカデカイ、とても船には載せられる大きさではない。しかし、民主党政権がこのような輸出可か不可かの技術に理解があるか?心配である。官僚の苦労が想像できる。

 何にしろ初めての技術(ロシアでも初めての空母と言ってよい)は色々と問題が生じるものだ、まして購入後10年以上も運用できなかった技術である。バリヤーグがどこまで中国の空母として稼動できるか興味深い。「空母」と言うだけで騒ぐマスコミにはいい加減にして欲しいものだ。空母はある意味重厚長大の技術の結晶でもある。

 

コメント
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