木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

65年目に起こった「第二の敗戦」

2011年03月20日 | Weblog

CS朝日ニュースターでの原発に関する広瀬隆氏の解説は衝撃的だった。
この間の政府やそれを受けてのNHKをはじめとするマスメディアの、「原発事故」に対する報道はウソっぽいと感じてはいたが、やっぱり。
広瀬氏が指摘するような内容を私たち国民が少しでも知っていたら、原発はこんなに日本に林立することはなかっただろう。
残念ながら殆どの人達が得る情報は地上波テレビであり、大新聞だ。
その報道の決まり文句は「放射線の量は直ちに健康に影響するものではない。しかし念のため」というものだ。
放射能を浴びてすぐ健康に影響が出るということは、広島・長崎の原爆投下や、第5福竜丸の死の灰レベルということだ。
こんな言葉で安心してはいけない。安心したい気持はあるけれど。
広瀬氏の番組出演は木曜日だったが、この日から原子炉や使用済み燃料の保管プールへの放水が始ったが、殆ど効果がないのではと広瀬氏。
それよりチェルノブイリ事故と同じく石棺として閉じ込めるべく準備に入るべきだという。
私のような科学に弱い素人は原発というと、使用済み燃料の放射能レベルが殆ど半永久的に下がらず、その保管場所に困るということぐらいが頭にあって、そんな馬鹿なものを作るのは狂気の沙汰とずっと思ってきたが、広瀬氏の解説で、原子力発電というものは、電源の確保が一番重要で、この電気でポンプの水を循環させて、常に冷やし続けなければ、炉内の温度が上がって、核分裂の危険が高まる仕組みのものだということをようやく知った。
他の電力施設は停止させれば事故は終息に向かうが、原発では熱を出し続ける燃料を冷やし続けなければならない。
この電源が失われた時に取ることは、廃炉覚悟ですぐさま海水を注入し、外部電源の確保を急ぐことだった。
広瀬氏は、原子炉のことを一番よくわかっているのは、炉を設計した技術者であり、テレビに出てくる原子力の専門家と言われる学者たちは何もわかっていないと言った。
また東電関係者は運転すること以外はわかっていなくて、原子炉のことは東芝や日立といったメーカーの技術者にすぐさま支援を頼まなければならないのだという。
「原発は運転により労働者が被爆し、事故により住民が被爆する」そういう施設なのである。
原子力発電所は協力会社という下請け、孫受け会社に危険な作業をさせ、さらにその上、この間のリストラ旋風に乗って、現場の人減らしをしているのではと疑っている。
今回の津波自体は避けようのない天災だが、その後の政府や東電の対応は人災だ。
この間の事態の進行には既視感がある。
中国侵略から始ったアジア・太平洋戦争、そして敗戦に至る過程での責任を持つ地位にいる人間の無能・無責任ということだ。
政府首脳はもちろん、東電の社長はどうなってるんだ。今回の事態のようなことに対して矢面に立つために高い報酬を得ているのではないのか。
菅直人はTPPで「第三の開国」と言ったが、今日本で進行している状況は太平洋戦争敗戦から65年目の「第二の敗戦」だ。
今回厄介なのは目に見えない放射能の害がいつまでも残ることだ。
広瀬氏は最後に「私の言う予測が間違っていればそれが最もいい」と言った。

コメント (2)
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