STAP細胞騒動渦中の理研研究員笹井芳樹氏自殺。
夜7時のNHKニュースがトップで伝えた。
私はNHKが検証した一連の不正操作に関する番組を見たが、笹井氏も小保方氏も外堀どころか内堀も埋められたという感想を持った。
残った疑問はなぜそのような、結果として稚拙な捏造をしなければならなかったのかということだった。
IPS細胞を作り出してノーベル賞を受賞した山中伸弥氏へのライバル意識だとか、理研が特別待遇の法人に格上げされるために画期的研究成果を急いだためとか言われているが、結局人生と研究を破滅させてしまった。
ここまでNHKにその不正の手口を検証されてしまっては、研究者としての道は終わったと感じたことと、この問題を幕引きさせるための選択だったのだろうか。
粗悪安倍政権の「科学立国」の目標は挫折するべくして挫折した。笹井氏には申し訳ないが、これで安倍政権の外堀の一部は埋まった。
防衛大生、上級生からの執拗、陰湿、残忍ないじめに刑事告訴。
これも今日報じられたニュースだ。自衛隊の幹部を養成する防衛大の一年生のAさんは、本人の顔は隠したままだったが、部屋の私物をめちゃくちゃにされた写真などを公開して、そのいじめを告発した。
肉体的暴力はもとより、全裸写真を仲間内でみるラインに公開されたり、体にアルコールをかけられ、ライターで体毛に火をつけられるという残忍な目に遭い、なかなか火は消えず、死の恐怖を味わった。
将来は自衛隊の幹部として指揮を執ることを期待されている者達のこれが実態だ。
防衛大に行こうという動機はそれぞれあるだろうが、「国を守る」という使命感を持って入学する若者もいる。Aさんはそんな一人だった。
しかし軍隊は殺人を訓練し、そのために武器の扱いをおぼえ、実際に戦闘を行う組織だ。
自衛隊は今まで9条の縛りにより外国へ出かけて行って戦闘を行うということはなかったわけだが、非人間的組織であるという本質は変わらない。
海上自衛官だった息子を上官のいじめによる自殺で失い、上司の責任を認めさせた母の話も以前あったが、「人殺し集団」である軍隊という組織は21世紀には廃止されなくてはならないものだと思う。
世のため、人のためという社会的使命感を果たしたいなら、むしろ警察官や海上保安官、消防隊士をめざすべきだろう。
これらの組織にも腐敗は見えるが、そうした負の部分を変えていくことはこれらには可能だが、殺人を目的とする組織にそれを求めても無駄だ。
集団的自衛権行使容認で、軍隊が大手を振れば、自衛隊はますます荒み、米兵が日本でしょっちゅう引きおきこしているような事件が多発するようになる。
自衛隊の不祥事が表に出るのはこれまた軍事志向の安倍政権の外堀埋めの助けになる。グッドタイミングの勇気ある告発だ。自殺しないで反撃に出たことをたたえたい。
軍事志向や無用な攻撃は兵器産業の要請でもある。先進国はそろって「武器輸出大国」だ。アメリカ、フランス、ドイツ、スエーデン等々。日本もそれに乗り出している。
「武器輸出・軍需で経済成長」、こうした資本の魔物の野望を止めるのは普通の人達の感覚だ。「命と健康を保つ程度の食べるものがあって、雨風、暑さ、寒さをしのげる質素な住まいがあればいい」。