文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

昨夜の日経夕刊から。

2010年12月19日 09時05分57秒 | 日記

ハーバードはアメリカの東大か? 寺澤芳男さん。

 

 学歴社会を論ずることは一種のタブーとなっているからやりにくい。しかし三十年も外国で暮らしていると日本にいまだにある学歴信仰が気になるので思いきって書く。      ‐

 

「ハーバードはアメリカの東大です」というとたいていの日本人はわかったような顔をしてうなずく。しかしその比喩は正しくない。

 

ハーバードは私立大学であり、国立の東大のように政府官僚のキャリアのほとんどがハーバード卒ということでもない。もちろん優秀な高校生が集まってくる大学だが、東大法学部のように「国家公務員試験や司法試験の予備校」(水木楊著『東大法学部』)ではない。

…中略

 

いま学歴はなるべく出さない作家やもの書きが多い。マスコミはいまだに「東大出」をタレントや歌手のウリにするから、加藤登紀子さんというと東大出と私の頭には刷りこまれている。

 

そんなに出身大学のことが気になるのならいっそのこと会社の名刺に「東大卒」と書いておけばよい。

 

選挙のとき国会議員立候補者で名刺の裏に出身地、大学名などを刷っている人を見かけるが、ビジネス用となるとそうもいかないのか。

 

むかしは官立(国立とはいわない)大学と私立大学と初任給に差をつける会社もあった。

 

発展途上国の場合は別として欧米先進国の中で、国立と私立の差をこれほどつける国はない。もちろんどこの国でも大学のブランド名は卒業後も役に立つ。しかし日本の「東大卒」の神がかり的な権威はない。

 

「国は亡びても東大は亡びず」なのか。


週刊文春、今週号から。

2010年12月19日 08時53分29秒 | 日記

「本音を申せば」小林信彦さん。

 

あいかわらず机に向っている。小説はもうすぐ完成する予定だが……。以下略。

 

 政治のニュースを聞くと、これはもう、どうしようもない。タクシーの運転手さんでさえ、「小沢一郎さんはどうなりますか」と訊く。一年前にはなかったことだ。

 「〈特高〉検察がデキる人間を働かさないようにしている」

 私は答える。鈴木宗男も収監された。日本は〈霞が関の利権を守る権力集団〉に占拠され、今のところ、光はまったくない。

 敗戦後の六十五年を見てきたぼくは、最悪の時代に突入したと思っている。

 

 〈特高〉検察と政治家が悪いだけではない。ダマされる国民がもっとも悪い、とぼくは気づいていた。

 すべてが、ユルんでいる。…以下略。