文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

イエスが大工の子、ホッブズが酔いどれ牧師の子、カルヴァンが川の渡し守の孫、ルターが鉱夫の子、アーレントが梅毒もちの電気工事人夫の子、

2024年10月10日 06時22分38秒 | 全般

以下は9/26に発売された月刊誌WiLLに、p292から3段組みで掲載されている、世界有数の学者である古田博司筑波大学名誉教授の連載コラム「たたかうエピクロス」からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。

加藤陽子自伝「周到にしなやかに」(朝日新聞掲載)を読む
左翼学者の蜥蜴の尻尾切り 
朝日新聞8月1日付「オピニオン&フォーラム」に、歴史学者で東大教授の加藤陽子氏の「自伝」らしきものが載った。
加藤氏の今までの言説中では、珍しく正直だったので、私はこれを自伝と受け取ったのだが、多くの人々は学者の「愚痴・泣き言」と見なしたようである。 
順にみていくと、自分は夫婦別姓論者だが、夫の「加藤」姓を私の「野島」姓に加えて用いている。
「私の配偶者は予備校で日本史を教えています」。
私は東大教授だが、予備校の夫を尊敬して加藤姓も名乗っている、ということだと思われる。
そこをインタビュアー田中聡子氏(に名を借りた編集委員・高橋純子氏)に突っ込まれる。 
「-アナーキーですね。昨年のNHKの番組『100分deフェミニズム』では関東大震災後、憲兵隊に虐殺されたアナキストの伊藤野枝の著作を紹介していました」と、無規範、無秩序だとなじられた。 
返す理由は、「家庭のケアは女性が行うべきだとの社会的規範が昔も今も多くの女性を苦しめています」、そんな中で社会運動をよくやってきた野枝は立派じゃないですか、といっているのである。ところが番組では、上野千鶴子氏に馬鹿にされた。じつに心外である。 
「一緒に出演した旧知の間柄の上野千鶴子さんには『なぜ緻密で周到な加藤陽子が、粗野な運動家の伊藤野枝を選ぶのか』と不思議がられた」。
野島陽子は、じつに不愉快だったといっている。
私はあくまで「周到」なのだ。 
ところがこれには根拠があり、日本の社会学者はほぼ全員だと思われるのだが、「家族は擬制である」と、信じているのである。
これは、筑波大学の社会学の学者たちに私がじかに確かめたことがあった。 
そしてその論理的根拠はと尋ねると、一番親切な樽川典子先生が、西洋人の本を持ってきてくれたのだが、一瞥して余りに馬鹿々々しかったので、書名も著者も忘れてしまった。
結局は、この人たちの「学問」の黙契のようなものなのであろう。
社会学者でフェミニストの上野氏にとっては、こんな「フェイク」のために育児や家事労働に追われた野枝は、粗野な運動家だということになる。
上野千鶴子フェミニズムこそ、ただのフェイクなのだが、……。
本連載の2022年5月号の第34回から第36回までと、とんで38回、47回に論理的かつ詳細に書いておいた。
ほんとうのことを知りたい方は、是非ご覧いただきたい。

使えない学問が淘汰される 
日本の大学の文系の縮小改組はすでにきまった文科省の方針である。
その方針に沿って、「使えない学問」が淘汰されていく。
この過程は、『使える哲学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2015年)、第三章「『使える学問』と『使えない学問』」にすでに書いておいた。
これは、大学行政の一端を担った実務家としての私の体験談である。
ネットで筑波大学の大学院、国際公共政策専攻の教員一覧を見てほしい。
そこに旧社会科学系の半分の専攻教員が分類別になっているはずである。
ポリティカル・アスペクトとか、カルチュラル・アスペクトとか、教員をアスペクト別にしたのが私の業で、こうすると素人目には教員がどう減っているのかわからないが、玄人にはどこのポストが埋まっていないか一目瞭然なのである(「詳細」のところをタッチのこと)。 
今これを見ると、政治学も半分近くいなくなり、文化人類学など虫の息だ。
だがまずいことに、日本の社会科学中、最も使えない、社会学があまり減っていないのである。
これは、社会学教員が一丸となって自己防衛しているのであろう。 
東大は、この淘汰圧に研究室を解いて専攻をばらばらにすることで応えたが、社会学研究室が固まって残っている。
上野氏などのOBが他分野「左翼の尻尾切り」で、牽制球を投げているからかもしれない。
あるいは自家の者たちを脅しているものか。 
他に、東大朝鮮史研究室は半壊状態だが、進歩史観の信者ばかりなので、教員の定年を待って、あとポストが埋まることはないだろう。
ついでに、重村智計氏(早稲田大学名誉教授)が、『Hanada』誌8月号で、「悲しいことだが、日本では″一流‘の論者やジャーナリストは韓国・北朝鮮問題にかかわらない。'一流‘とは、有名人という意味ではない。人間的に優れ、見識と知恵のある人間のことだ(212頁)。と、勇気をもって真実を報じているので、ここは真摯に応えておきたいと思う。
小此木政夫・慶應義塾大学名誉教授は天才・神谷不二先生の弟子だったが、反発して朝鮮戦争を米韓の「北侵」に拠るとする戦争起源説をとっていた。
即ち左翼である。
だが、1991年に、ソ連邦が崩壊し、金日成の南侵の問いに、スターリンがGOサインを出した所謂「スターリン電文」が流出すると、翌年、学生たちに「もう研究はやめた。これからはテレビに出る」といったそうである。
これは、日韓文化交流基金元職員で、当時小此木ゼミにいた秋鹿女史から直接聞いた。 
その後の彼の研究論文は、弟子たちに書かせたものである。
鐸木(すずき)昌之氏(元尚美学園大学教授)が7本、倉田秀也氏(現防衛大学校教授)が5本、平岩俊司氏(現南山大学教授)が3本代筆した。
以上は直接本人らに取材した。
「手は拔いたか」と聞くと、「それがいざ書くと、力が入っちゃうんだよね」と鐸木が答えていた。
彼は師よりも研究ができたのである。 
小此木の出版に関する事務は一番弟子の鐸木が支え、学会に関する事務は弟子でもない古田が支えた。
彼は、実務もできなかったのだ。
ここまで弟子たちを使役しても就職の世話を全くしなかったので、反発が起きたが、人使いがうまかった。
これを倉田一人への贔屓に転じて内紛を誘い、彼らを学界から散らしたのであった。
現代韓国朝鮮学会は、古田が作ったが、小此木氏の後にこれを支える人材たちは、すでにいなかった。
学会賞は小此木賞と命名された。

加藤陽子氏の先生 
8月19日、歴史学者で、東大名誉教授の伊藤隆先生が合併症で死去された(読売新聞8月27日付)。
このかたも不思議なかたで、自身は右派なのだが、学問が出来る出来ないは、左右を問わないのである。
何か読むとすぐ分かるらしく、2013年に拙書『「紙の本」はかく語りき』(ちくま文庫)をお送りすると、即座に「あなたのすごさが分かりました」という葉書が届いた。
どこが良かったかは、さっぱり分からないが、私にとっては時々木の下闇を照らしてくれる、月影のような人だった。 
最後の著作、『歴史と私』(中公新書、2015年)を読むと、戦前の昔気質の学者を数倍気難しくしたような「永遠の学徒」であり、「自分が拠って立つ論理がなければ実証研究は成り立ちませんし、以後もだいたいこの図式に沿って研究を展開しています」
(56頁)といって、簡単な図式が提示されているのだが、私は少しだけ眉に唾をつけた。 
私に近い世代の人たちも何人か出てくる。
藤原信勝さんは本当は好きだったタイプのようである(96頁)。
文春オンラインのインタビューなどを見ると、ケンカっぱやくてまいったみたいなことが書いてあった。
西部邁さんとは通じ合うものがあったようである。 
そんなところからの類型化であるが、この人は、私が「数学頭」と呼んでいる人たちに属するのではないかと思う。
西部邁、藤原信勝、柄谷行人、高橋洋一氏等々。 
ここだけの話であるが、数学頭の人たちは、ほんとうは右でも左でも出来てしまうのである。
ただ文系である以上、世問的にどちらかにしないと信用されないこともよく知っていて、どちらかにしている。
直観と明晰さと、論理と汎用性の経験主義の勝負だろうか。
「理科頭」の、大森荘蔵、岡田英弘、平川祐弘氏らとは、少し違う。
こちらはもっと頻繁に飛ぶし、理に強引であるが故に右だ。
岡田英弘先生は自然科学の神を信じていた。 
『歴史と私』の冒頭、「まえがき」を見ると、平成に改元されてから、しばらくして赤坂御所に御呼ばれし、陛下に日本近代史を講じたという、「夢のような話」が描かれている。
私が大いに驚いたのは、このようにシャーマニックな文章を、伊藤隆先生がお書きになれるのだという、事実だった。
菊の御紋の入った煙草をいただき、まずかったとおっしやるのだが、私はうまいと思った。

加藤陽子氏の家の話 
前にも書いたが、加藤氏の東大着任は、伊藤隆先生が1993年に東大を去ったあと、待っていたかのように1994年に行われた。
加藤氏の自伝にもどろう。
話はそこから生家に及ぶ。 
「自己決定権を持たない女性の姿は家族の中で見てきましたので」「父は先妻を病気で亡くしたのですが……『義祖母』が同居していました」「家の中には常に緊張感がある。自分の居場所を自分では決められなかった彼女らを可哀想だと思っていた」「義祖母と母は父の意向に従うしかなかった」「自己決定権の行使には賞味期限がある。義祖母や母は問に合わなかった。すみません。なんで涙が出てくるのだろう……」「また1931年生まれの母の兄弟2人は大学に進学できても、姉妹4人は行かせてもらえなかった時代でした。ならば私は、学問の力で人生の選択肢を増やしていこうと早くから決めていました。今思えば、とても優等生でしたね……」。 
JR東海名誉会長だった故・葛西敬之氏によれば、加藤氏の実家は電車の車輪を作る埼玉の鋳物工場の工場長だったという。
そう打ち明けられた葛西氏は、「なんだ、じゃあ僕らのお仲間ですね」と返したそうである。 
女の自己決定権云々や父の意向が女たちの人生を捻じ曲げたやらは、すべて今の価値観を過去に持ち込み、今の時点に立って眺望的に批判したものである。
朝ドラの「虎に翼」の脚本家・吉田恵里香氏が、昭和30年代にゲイ・カップルを登場させ、今の時点から眺望的に、つまり過去を見渡すように愛でているのと同じである。 
筆を職とするものは、こういうことをしてはいけないのである。
さもないと、歴史が放埒になり、韓国人のようになってしまう。
韓国時代劇などは全部これだからである。 
昭和30年代に、今の価値観をもちこまず、意識を飛ばして着地し、辺りを見まわせば、加藤氏の実家は「下」の階級としては、至極穏やかなものである。 
前にも縷々述べたように、横浜芸者町の質屋であった私の生家などはこんな平穏なものではなかった。
「下」の階級もろであり、無知と無明が支配し、土蔵からは悪徳があふれ出していた。
3番目の本物の姉は、親戚にもらいだされ、長じて家族を裏切り、叔母の遺産を持ち逃げした「托卵」の姉の方は、去年の9月に某所で死体で発見された。
去年の猛暑で、肉汁が床をそめていた。

知識人における階級の恐ろしさ 
そこからの加藤氏の記述は、「『奥歯男』に殴られた話」「修士のときに女は大学に就職できないから俺と結婚して米国に行こうと誘われた侮辱」など、どんなに男性に憎しみを募らせてきたかを、フェミニズムの神に報告する、忠誠競争に費やされる。
結局この人は、自分に自信がないのだ。 
「怒りを忘れないように年月日をメモしつつ、『研究教育職のポストに就けた日』『初めてアメリカを研究調査で訪れた日』なども併せて記録し、ガッツポーズを決めたりしていました」。
「幼い頃から自分のことを『特別な任務を背負っている』人間だと気負って生きてきたせいか、過去の女性も同時代の他の女性たちをも、きちんと見てこなかった」。 
そう、その通りである。
「自信がないのに自意識過剰だった」。
本連載、2021年11月号第28回で述べた、明治の元勲の孫・森有正に出会う前の栃折久美子、2023年9月号第50回のハンナ・アーレントが上流階級のヤスパース夫妻に受け入れられる前の、それと変わりないではないか。 
「下」の階級のものは、「良き人」を見たことがないのだ。
「下」の階級のものは、第51回の小見出し「知識人における階級の恐ろしさ」で書いたが、どんなにつらくても、侮辱的ではあっても、上流階級のものとの交わりを持たなければ、人生行路のいつかの時点で、己の「階級的品格のなさ」があふれ出してしまうのである。 
イエスが大工の子、ホッブズが酔いどれ牧師の子、カルヴァンが川の渡し守の孫、ルターが鉱夫の子、アーレントが梅毒もちの電気工事人夫の子、シュライェルマッハが貧しい従軍説教師の子。
みな神官の家、ジェントリー家、修道院、上流家庭で躾け直された。 
だから西洋では、ノーブレス・オブリージュというものがあるのである。
竹田恒泰氏には、動画チャンネルで「日本は一君万民で、階級なし」などとは言ってほしくない。
階級で苦労したものからのお願いである。
この稿続く。

 


2024/10/6 in Umeda, Osaka

 


筆を職とするものは、こういうことをしてはいけないのである。さもないと、歴史が放埒になり、韓国人のようになってしまう。

2024年10月10日 06時20分08秒 | 全般

以下は9/26に発売された月刊誌WiLLに、p292から3段組みで掲載されている、世界有数の学者である古田博司筑波大学名誉教授の連載コラム「たたかうエピクロス」からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。

加藤陽子自伝「周到にしなやかに」(朝日新聞掲載)を読む
左翼学者の蜥蜴の尻尾切り 
朝日新聞8月1日付「オピニオン&フォーラム」に、歴史学者で東大教授の加藤陽子氏の「自伝」らしきものが載った。
加藤氏の今までの言説中では、珍しく正直だったので、私はこれを自伝と受け取ったのだが、多くの人々は学者の「愚痴・泣き言」と見なしたようである。 
順にみていくと、自分は夫婦別姓論者だが、夫の「加藤」姓を私の「野島」姓に加えて用いている。
「私の配偶者は予備校で日本史を教えています」。
私は東大教授だが、予備校の夫を尊敬して加藤姓も名乗っている、ということだと思われる。
そこをインタビュアー田中聡子氏(に名を借りた編集委員・高橋純子氏)に突っ込まれる。 
「-アナーキーですね。昨年のNHKの番組『100分deフェミニズム』では関東大震災後、憲兵隊に虐殺されたアナキストの伊藤野枝の著作を紹介していました」と、無規範、無秩序だとなじられた。 
返す理由は、「家庭のケアは女性が行うべきだとの社会的規範が昔も今も多くの女性を苦しめています」、そんな中で社会運動をよくやってきた野枝は立派じゃないですか、といっているのである。ところが番組では、上野千鶴子氏に馬鹿にされた。じつに心外である。 
「一緒に出演した旧知の間柄の上野千鶴子さんには『なぜ緻密で周到な加藤陽子が、粗野な運動家の伊藤野枝を選ぶのか』と不思議がられた」。
野島陽子は、じつに不愉快だったといっている。
私はあくまで「周到」なのだ。 
ところがこれには根拠があり、日本の社会学者はほぼ全員だと思われるのだが、「家族は擬制である」と、信じているのである。
これは、筑波大学の社会学の学者たちに私がじかに確かめたことがあった。 
そしてその論理的根拠はと尋ねると、一番親切な樽川典子先生が、西洋人の本を持ってきてくれたのだが、一瞥して余りに馬鹿々々しかったので、書名も著者も忘れてしまった。
結局は、この人たちの「学問」の黙契のようなものなのであろう。
社会学者でフェミニストの上野氏にとっては、こんな「フェイク」のために育児や家事労働に追われた野枝は、粗野な運動家だということになる。
上野千鶴子フェミニズムこそ、ただのフェイクなのだが、……。
本連載の2022年5月号の第34回から第36回までと、とんで38回、47回に論理的かつ詳細に書いておいた。
ほんとうのことを知りたい方は、是非ご覧いただきたい。

使えない学問が淘汰される 
日本の大学の文系の縮小改組はすでにきまった文科省の方針である。
その方針に沿って、「使えない学問」が淘汰されていく。
この過程は、『使える哲学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2015年)、第三章「『使える学問』と『使えない学問』」にすでに書いておいた。
これは、大学行政の一端を担った実務家としての私の体験談である。
ネットで筑波大学の大学院、国際公共政策専攻の教員一覧を見てほしい。
そこに旧社会科学系の半分の専攻教員が分類別になっているはずである。
ポリティカル・アスペクトとか、カルチュラル・アスペクトとか、教員をアスペクト別にしたのが私の業で、こうすると素人目には教員がどう減っているのかわからないが、玄人にはどこのポストが埋まっていないか一目瞭然なのである(「詳細」のところをタッチのこと)。 
今これを見ると、政治学も半分近くいなくなり、文化人類学など虫の息だ。
だがまずいことに、日本の社会科学中、最も使えない、社会学があまり減っていないのである。
これは、社会学教員が一丸となって自己防衛しているのであろう。 
東大は、この淘汰圧に研究室を解いて専攻をばらばらにすることで応えたが、社会学研究室が固まって残っている。
上野氏などのOBが他分野「左翼の尻尾切り」で、牽制球を投げているからかもしれない。
あるいは自家の者たちを脅しているものか。 
他に、東大朝鮮史研究室は半壊状態だが、進歩史観の信者ばかりなので、教員の定年を待って、あとポストが埋まることはないだろう。
ついでに、重村智計氏(早稲田大学名誉教授)が、『Hanada』誌8月号で、「悲しいことだが、日本では″一流‘の論者やジャーナリストは韓国・北朝鮮問題にかかわらない。'一流‘とは、有名人という意味ではない。人間的に優れ、見識と知恵のある人間のことだ(212頁)。と、勇気をもって真実を報じているので、ここは真摯に応えておきたいと思う。
小此木政夫・慶應義塾大学名誉教授は天才・神谷不二先生の弟子だったが、反発して朝鮮戦争を米韓の「北侵」に拠るとする戦争起源説をとっていた。
即ち左翼である。
だが、1991年に、ソ連邦が崩壊し、金日成の南侵の問いに、スターリンがGOサインを出した所謂「スターリン電文」が流出すると、翌年、学生たちに「もう研究はやめた。これからはテレビに出る」といったそうである。
これは、日韓文化交流基金元職員で、当時小此木ゼミにいた秋鹿女史から直接聞いた。 
その後の彼の研究論文は、弟子たちに書かせたものである。
鐸木(すずき)昌之氏(元尚美学園大学教授)が7本、倉田秀也氏(現防衛大学校教授)が5本、平岩俊司氏(現南山大学教授)が3本代筆した。
以上は直接本人らに取材した。
「手は拔いたか」と聞くと、「それがいざ書くと、力が入っちゃうんだよね」と鐸木が答えていた。
彼は師よりも研究ができたのである。 
小此木の出版に関する事務は一番弟子の鐸木が支え、学会に関する事務は弟子でもない古田が支えた。
彼は、実務もできなかったのだ。
ここまで弟子たちを使役しても就職の世話を全くしなかったので、反発が起きたが、人使いがうまかった。
これを倉田一人への贔屓に転じて内紛を誘い、彼らを学界から散らしたのであった。
現代韓国朝鮮学会は、古田が作ったが、小此木氏の後にこれを支える人材たちは、すでにいなかった。
学会賞は小此木賞と命名された。

加藤陽子氏の先生 
8月19日、歴史学者で、東大名誉教授の伊藤隆先生が合併症で死去された(読売新聞8月27日付)。
このかたも不思議なかたで、自身は右派なのだが、学問が出来る出来ないは、左右を問わないのである。
何か読むとすぐ分かるらしく、2013年に拙書『「紙の本」はかく語りき』(ちくま文庫)をお送りすると、即座に「あなたのすごさが分かりました」という葉書が届いた。
どこが良かったかは、さっぱり分からないが、私にとっては時々木の下闇を照らしてくれる、月影のような人だった。 
最後の著作、『歴史と私』(中公新書、2015年)を読むと、戦前の昔気質の学者を数倍気難しくしたような「永遠の学徒」であり、「自分が拠って立つ論理がなければ実証研究は成り立ちませんし、以後もだいたいこの図式に沿って研究を展開しています」
(56頁)といって、簡単な図式が提示されているのだが、私は少しだけ眉に唾をつけた。 
私に近い世代の人たちも何人か出てくる。
藤原信勝さんは本当は好きだったタイプのようである(96頁)。
文春オンラインのインタビューなどを見ると、ケンカっぱやくてまいったみたいなことが書いてあった。
西部邁さんとは通じ合うものがあったようである。 
そんなところからの類型化であるが、この人は、私が「数学頭」と呼んでいる人たちに属するのではないかと思う。
西部邁、藤原信勝、柄谷行人、高橋洋一氏等々。 
ここだけの話であるが、数学頭の人たちは、ほんとうは右でも左でも出来てしまうのである。
ただ文系である以上、世問的にどちらかにしないと信用されないこともよく知っていて、どちらかにしている。
直観と明晰さと、論理と汎用性の経験主義の勝負だろうか。
「理科頭」の、大森荘蔵、岡田英弘、平川祐弘氏らとは、少し違う。
こちらはもっと頻繁に飛ぶし、理に強引であるが故に右だ。
岡田英弘先生は自然科学の神を信じていた。 
『歴史と私』の冒頭、「まえがき」を見ると、平成に改元されてから、しばらくして赤坂御所に御呼ばれし、陛下に日本近代史を講じたという、「夢のような話」が描かれている。
私が大いに驚いたのは、このようにシャーマニックな文章を、伊藤隆先生がお書きになれるのだという、事実だった。
菊の御紋の入った煙草をいただき、まずかったとおっしやるのだが、私はうまいと思った。

加藤陽子氏の家の話 
前にも書いたが、加藤氏の東大着任は、伊藤隆先生が1993年に東大を去ったあと、待っていたかのように1994年に行われた。
加藤氏の自伝にもどろう。
話はそこから生家に及ぶ。 
「自己決定権を持たない女性の姿は家族の中で見てきましたので」「父は先妻を病気で亡くしたのですが……『義祖母』が同居していました」「家の中には常に緊張感がある。自分の居場所を自分では決められなかった彼女らを可哀想だと思っていた」「義祖母と母は父の意向に従うしかなかった」「自己決定権の行使には賞味期限がある。義祖母や母は問に合わなかった。すみません。なんで涙が出てくるのだろう……」「また1931年生まれの母の兄弟2人は大学に進学できても、姉妹4人は行かせてもらえなかった時代でした。ならば私は、学問の力で人生の選択肢を増やしていこうと早くから決めていました。今思えば、とても優等生でしたね……」。 
JR東海名誉会長だった故・葛西敬之氏によれば、加藤氏の実家は電車の車輪を作る埼玉の鋳物工場の工場長だったという。
そう打ち明けられた葛西氏は、「なんだ、じゃあ僕らのお仲間ですね」と返したそうである。 
女の自己決定権云々や父の意向が女たちの人生を捻じ曲げたやらは、すべて今の価値観を過去に持ち込み、今の時点に立って眺望的に批判したものである。
朝ドラの「虎に翼」の脚本家・吉田恵里香氏が、昭和30年代にゲイ・カップルを登場させ、今の時点から眺望的に、つまり過去を見渡すように愛でているのと同じである。 
筆を職とするものは、こういうことをしてはいけないのである。
さもないと、歴史が放埒になり、韓国人のようになってしまう。
韓国時代劇などは全部これだからである。 
昭和30年代に、今の価値観をもちこまず、意識を飛ばして着地し、辺りを見まわせば、加藤氏の実家は「下」の階級としては、至極穏やかなものである。 
前にも縷々述べたように、横浜芸者町の質屋であった私の生家などはこんな平穏なものではなかった。
「下」の階級もろであり、無知と無明が支配し、土蔵からは悪徳があふれ出していた。
3番目の本物の姉は、親戚にもらいだされ、長じて家族を裏切り、叔母の遺産を持ち逃げした「托卵」の姉の方は、去年の9月に某所で死体で発見された。
去年の猛暑で、肉汁が床をそめていた。
この稿続く。

 


2024/10/6 in Umeda, Osaka

 


私が大いに驚いたのは、このようにシャーマニックな文章を、伊藤隆先生がお書きになれるのだという、事実だった。

2024年10月10日 06時17分37秒 | 全般

以下は9/26に発売された月刊誌WiLLに、p292から3段組みで掲載されている、世界有数の学者である古田博司筑波大学名誉教授の連載コラム「たたかうエピクロス」からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。

加藤陽子自伝「周到にしなやかに」(朝日新聞掲載)を読む
左翼学者の蜥蜴の尻尾切り 
朝日新聞8月1日付「オピニオン&フォーラム」に、歴史学者で東大教授の加藤陽子氏の「自伝」らしきものが載った。
加藤氏の今までの言説中では、珍しく正直だったので、私はこれを自伝と受け取ったのだが、多くの人々は学者の「愚痴・泣き言」と見なしたようである。 
順にみていくと、自分は夫婦別姓論者だが、夫の「加藤」姓を私の「野島」姓に加えて用いている。
「私の配偶者は予備校で日本史を教えています」。
私は東大教授だが、予備校の夫を尊敬して加藤姓も名乗っている、ということだと思われる。
そこをインタビュアー田中聡子氏(に名を借りた編集委員・高橋純子氏)に突っ込まれる。 
「-アナーキーですね。昨年のNHKの番組『100分deフェミニズム』では関東大震災後、憲兵隊に虐殺されたアナキストの伊藤野枝の著作を紹介していました」と、無規範、無秩序だとなじられた。 
返す理由は、「家庭のケアは女性が行うべきだとの社会的規範が昔も今も多くの女性を苦しめています」、そんな中で社会運動をよくやってきた野枝は立派じゃないですか、といっているのである。ところが番組では、上野千鶴子氏に馬鹿にされた。じつに心外である。 
「一緒に出演した旧知の間柄の上野千鶴子さんには『なぜ緻密で周到な加藤陽子が、粗野な運動家の伊藤野枝を選ぶのか』と不思議がられた」。
野島陽子は、じつに不愉快だったといっている。
私はあくまで「周到」なのだ。 
ところがこれには根拠があり、日本の社会学者はほぼ全員だと思われるのだが、「家族は擬制である」と、信じているのである。
これは、筑波大学の社会学の学者たちに私がじかに確かめたことがあった。 
そしてその論理的根拠はと尋ねると、一番親切な樽川典子先生が、西洋人の本を持ってきてくれたのだが、一瞥して余りに馬鹿々々しかったので、書名も著者も忘れてしまった。
結局は、この人たちの「学問」の黙契のようなものなのであろう。
社会学者でフェミニストの上野氏にとっては、こんな「フェイク」のために育児や家事労働に追われた野枝は、粗野な運動家だということになる。
上野千鶴子フェミニズムこそ、ただのフェイクなのだが、……。
本連載の2022年5月号の第34回から第36回までと、とんで38回、47回に論理的かつ詳細に書いておいた。
ほんとうのことを知りたい方は、是非ご覧いただきたい。

使えない学問が淘汰される 
日本の大学の文系の縮小改組はすでにきまった文科省の方針である。
その方針に沿って、「使えない学問」が淘汰されていく。
この過程は、『使える哲学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2015年)、第三章「『使える学問』と『使えない学問』」にすでに書いておいた。
これは、大学行政の一端を担った実務家としての私の体験談である。
ネットで筑波大学の大学院、国際公共政策専攻の教員一覧を見てほしい。
そこに旧社会科学系の半分の専攻教員が分類別になっているはずである。
ポリティカル・アスペクトとか、カルチュラル・アスペクトとか、教員をアスペクト別にしたのが私の業で、こうすると素人目には教員がどう減っているのかわからないが、玄人にはどこのポストが埋まっていないか一目瞭然なのである(「詳細」のところをタッチのこと)。 
今これを見ると、政治学も半分近くいなくなり、文化人類学など虫の息だ。
だがまずいことに、日本の社会科学中、最も使えない、社会学があまり減っていないのである。
これは、社会学教員が一丸となって自己防衛しているのであろう。 
東大は、この淘汰圧に研究室を解いて専攻をばらばらにすることで応えたが、社会学研究室が固まって残っている。
上野氏などのOBが他分野「左翼の尻尾切り」で、牽制球を投げているからかもしれない。
あるいは自家の者たちを脅しているものか。 
他に、東大朝鮮史研究室は半壊状態だが、進歩史観の信者ばかりなので、教員の定年を待って、あとポストが埋まることはないだろう。
ついでに、重村智計氏(早稲田大学名誉教授)が、『Hanada』誌8月号で、「悲しいことだが、日本では″一流‘の論者やジャーナリストは韓国・北朝鮮問題にかかわらない。'一流‘とは、有名人という意味ではない。人間的に優れ、見識と知恵のある人間のことだ(212頁)。と、勇気をもって真実を報じているので、ここは真摯に応えておきたいと思う。
小此木政夫・慶應義塾大学名誉教授は天才・神谷不二先生の弟子だったが、反発して朝鮮戦争を米韓の「北侵」に拠るとする戦争起源説をとっていた。
即ち左翼である。
だが、1991年に、ソ連邦が崩壊し、金日成の南侵の問いに、スターリンがGOサインを出した所謂「スターリン電文」が流出すると、翌年、学生たちに「もう研究はやめた。これからはテレビに出る」といったそうである。
これは、日韓文化交流基金元職員で、当時小此木ゼミにいた秋鹿女史から直接聞いた。 
その後の彼の研究論文は、弟子たちに書かせたものである。
鐸木(すずき)昌之氏(元尚美学園大学教授)が7本、倉田秀也氏(現防衛大学校教授)が5本、平岩俊司氏(現南山大学教授)が3本代筆した。
以上は直接本人らに取材した。
「手は拔いたか」と聞くと、「それがいざ書くと、力が入っちゃうんだよね」と鐸木が答えていた。
彼は師よりも研究ができたのである。 
小此木の出版に関する事務は一番弟子の鐸木が支え、学会に関する事務は弟子でもない古田が支えた。
彼は、実務もできなかったのだ。
ここまで弟子たちを使役しても就職の世話を全くしなかったので、反発が起きたが、人使いがうまかった。
これを倉田一人への贔屓に転じて内紛を誘い、彼らを学界から散らしたのであった。
現代韓国朝鮮学会は、古田が作ったが、小此木氏の後にこれを支える人材たちは、すでにいなかった。
学会賞は小此木賞と命名された。

加藤陽子氏の先生 
8月19日、歴史学者で、東大名誉教授の伊藤隆先生が合併症で死去された(読売新聞8月27日付)。
このかたも不思議なかたで、自身は右派なのだが、学問が出来る出来ないは、左右を問わないのである。
何か読むとすぐ分かるらしく、2013年に拙書『「紙の本」はかく語りき』(ちくま文庫)をお送りすると、即座に「あなたのすごさが分かりました」という葉書が届いた。
どこが良かったかは、さっぱり分からないが、私にとっては時々木の下闇を照らしてくれる、月影のような人だった。 
最後の著作、『歴史と私』(中公新書、2015年)を読むと、戦前の昔気質の学者を数倍気難しくしたような「永遠の学徒」であり、「自分が拠って立つ論理がなければ実証研究は成り立ちませんし、以後もだいたいこの図式に沿って研究を展開しています」
(56頁)といって、簡単な図式が提示されているのだが、私は少しだけ眉に唾をつけた。 
私に近い世代の人たちも何人か出てくる。
藤原信勝さんは本当は好きだったタイプのようである(96頁)。
文春オンラインのインタビューなどを見ると、ケンカっぱやくてまいったみたいなことが書いてあった。
西部邁さんとは通じ合うものがあったようである。 
そんなところからの類型化であるが、この人は、私が「数学頭」と呼んでいる人たちに属するのではないかと思う。
西部邁、藤原信勝、柄谷行人、高橋洋一氏等々。 
ここだけの話であるが、数学頭の人たちは、ほんとうは右でも左でも出来てしまうのである。
ただ文系である以上、世問的にどちらかにしないと信用されないこともよく知っていて、どちらかにしている。
直観と明晰さと、論理と汎用性の経験主義の勝負だろうか。
「理科頭」の、大森荘蔵、岡田英弘、平川祐弘氏らとは、少し違う。
こちらはもっと頻繁に飛ぶし、理に強引であるが故に右だ。
岡田英弘先生は自然科学の神を信じていた。 
『歴史と私』の冒頭、「まえがき」を見ると、平成に改元されてから、しばらくして赤坂御所に御呼ばれし、陛下に日本近代史を講じたという、「夢のような話」が描かれている。
私が大いに驚いたのは、このようにシャーマニックな文章を、伊藤隆先生がお書きになれるのだという、事実だった。
菊の御紋の入った煙草をいただき、まずかったとおっしやるのだが、私はうまいと思った。
この稿続く。

 


2024/10/6 in Umeda, Osaka

 


小此木政夫・慶應義塾大学名誉教授は…反発して朝鮮戦争を米韓の「北侵」に拠るとする戦争起源説をとっていた…即ち左翼である

2024年10月10日 06時11分59秒 | 全般

以下は9/26に発売された月刊誌WiLLに、p292から3段組みで掲載されている、世界有数の学者である古田博司筑波大学名誉教授の連載コラム「たたかうエピクロス」からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。

加藤陽子自伝「周到にしなやかに」(朝日新聞掲載)を読む
左翼学者の蜥蜴の尻尾切り 
朝日新聞8月1日付「オピニオン&フォーラム」に、歴史学者で東大教授の加藤陽子氏の「自伝」らしきものが載った。
加藤氏の今までの言説中では、珍しく正直だったので、私はこれを自伝と受け取ったのだが、多くの人々は学者の「愚痴・泣き言」と見なしたようである。 
順にみていくと、自分は夫婦別姓論者だが、夫の「加藤」姓を私の「野島」姓に加えて用いている。
「私の配偶者は予備校で日本史を教えています」。
私は東大教授だが、予備校の夫を尊敬して加藤姓も名乗っている、ということだと思われる。
そこをインタビュアー田中聡子氏(に名を借りた編集委員・高橋純子氏)に突っ込まれる。 
「-アナーキーですね。昨年のNHKの番組『100分deフェミニズム』では関東大震災後、憲兵隊に虐殺されたアナキストの伊藤野枝の著作を紹介していました」と、無規範、無秩序だとなじられた。 
返す理由は、「家庭のケアは女性が行うべきだとの社会的規範が昔も今も多くの女性を苦しめています」、そんな中で社会運動をよくやってきた野枝は立派じゃないですか、といっているのである。ところが番組では、上野千鶴子氏に馬鹿にされた。じつに心外である。 
「一緒に出演した旧知の間柄の上野千鶴子さんには『なぜ緻密で周到な加藤陽子が、粗野な運動家の伊藤野枝を選ぶのか』と不思議がられた」。
野島陽子は、じつに不愉快だったといっている。
私はあくまで「周到」なのだ。 
ところがこれには根拠があり、日本の社会学者はほぼ全員だと思われるのだが、「家族は擬制である」と、信じているのである。
これは、筑波大学の社会学の学者たちに私がじかに確かめたことがあった。 
そしてその論理的根拠はと尋ねると、一番親切な樽川典子先生が、西洋人の本を持ってきてくれたのだが、一瞥して余りに馬鹿々々しかったので、書名も著者も忘れてしまった。
結局は、この人たちの「学問」の黙契のようなものなのであろう。
社会学者でフェミニストの上野氏にとっては、こんな「フェイク」のために育児や家事労働に追われた野枝は、粗野な運動家だということになる。
上野千鶴子フェミニズムこそ、ただのフェイクなのだが、……。
本連載の2022年5月号の第34回から第36回までと、とんで38回、47回に論理的かつ詳細に書いておいた。
ほんとうのことを知りたい方は、是非ご覧いただきたい。

使えない学問が淘汰される 
日本の大学の文系の縮小改組はすでにきまった文科省の方針である。
その方針に沿って、「使えない学問」が淘汰されていく。
この過程は、『使える哲学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2015年)、第三章「『使える学問』と『使えない学問』」にすでに書いておいた。
これは、大学行政の一端を担った実務家としての私の体験談である。
ネットで筑波大学の大学院、国際公共政策専攻の教員一覧を見てほしい。
そこに旧社会科学系の半分の専攻教員が分類別になっているはずである。
ポリティカル・アスペクトとか、カルチュラル・アスペクトとか、教員をアスペクト別にしたのが私の業で、こうすると素人目には教員がどう減っているのかわからないが、玄人にはどこのポストが埋まっていないか一目瞭然なのである(「詳細」のところをタッチのこと)。 
今これを見ると、政治学も半分近くいなくなり、文化人類学など虫の息だ。
だがまずいことに、日本の社会科学中、最も使えない、社会学があまり減っていないのである。
これは、社会学教員が一丸となって自己防衛しているのであろう。 
東大は、この淘汰圧に研究室を解いて専攻をばらばらにすることで応えたが、社会学研究室が固まって残っている。
上野氏などのOBが他分野「左翼の尻尾切り」で、牽制球を投げているからかもしれない。
あるいは自家の者たちを脅しているものか。 
他に、東大朝鮮史研究室は半壊状態だが、進歩史観の信者ばかりなので、教員の定年を待って、あとポストが埋まることはないだろう。
ついでに、重村智計氏(早稲田大学名誉教授)が、『Hanada』誌8月号で、「悲しいことだが、日本では″一流‘の論者やジャーナリストは韓国・北朝鮮問題にかかわらない。'一流‘とは、有名人という意味ではない。人間的に優れ、見識と知恵のある人間のことだ(212頁)。と、勇気をもって真実を報じているので、ここは真摯に応えておきたいと思う。
小此木政夫・慶應義塾大学名誉教授は天才・神谷不二先生の弟子だったが、反発して朝鮮戦争を米韓の「北侵」に拠るとする戦争起源説をとっていた。
即ち左翼である。
だが、1991年に、ソ連邦が崩壊し、金日成の南侵の問いに、スターリンがGOサインを出した所謂「スターリン電文」が流出すると、翌年、学生たちに「もう研究はやめた。これからはテレビに出る」といったそうである。
これは、日韓文化交流基金元職員で、当時小此木ゼミにいた秋鹿女史から直接聞いた。 
その後の彼の研究論文は、弟子たちに書かせたものである。
鐸木(すずき)昌之氏(元尚美学園大学教授)が7本、倉田秀也氏(現防衛大学校教授)が5本、平岩俊司氏(現南山大学教授)が3本代筆した。
以上は直接本人らに取材した。
「手は拔いたか」と聞くと、「それがいざ書くと、力が入っちゃうんだよね」と鐸木が答えていた。
彼は師よりも研究ができたのである。 
小此木の出版に関する事務は一番弟子の鐸木が支え、学会に関する事務は弟子でもない古田が支えた。
彼は、実務もできなかったのだ。
ここまで弟子たちを使役しても就職の世話を全くしなかったので、反発が起きたが、人使いがうまかった。
これを倉田一人への贔屓に転じて内紛を誘い、彼らを学界から散らしたのであった。
現代韓国朝鮮学会は、古田が作ったが、小此木氏の後にこれを支える人材たちは、すでにいなかった。
学会賞は小此木賞と命名された。
この稿続く。

 


2024/10/6 in Umeda, Osaka

 


上野千鶴子フェミニズムこそ、ただのフェイクなのだが、

2024年10月10日 06時09分10秒 | 全般

以下は9/26に発売された月刊誌WiLLに、p292から3段組みで掲載されている、世界有数の学者である古田博司筑波大学名誉教授の連載コラム「たたかうエピクロス」からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。

加藤陽子自伝「周到にしなやかに」(朝日新聞掲載)を読む
左翼学者の蜥蜴の尻尾切り 
朝日新聞8月1日付「オピニオン&フォーラム」に、歴史学者で東大教授の加藤陽子氏の「自伝」らしきものが載った。
加藤氏の今までの言説中では、珍しく正直だったので、私はこれを自伝と受け取ったのだが、多くの人々は学者の「愚痴・泣き言」と見なしたようである。 
順にみていくと、自分は夫婦別姓論者だが、夫の「加藤」姓を私の「野島」姓に加えて用いている。
「私の配偶者は予備校で日本史を教えています」。
私は東大教授だが、予備校の夫を尊敬して加藤姓も名乗っている、ということだと思われる。
そこをインタビュアー田中聡子氏(に名を借りた編集委員・高橋純子氏)に突っ込まれる。 
「-アナーキーですね。昨年のNHKの番組『100分deフェミニズム』では関東大震災後、憲兵隊に虐殺されたアナキストの伊藤野枝の著作を紹介していました」と、無規範、無秩序だとなじられた。 
返す理由は、「家庭のケアは女性が行うべきだとの社会的規範が昔も今も多くの女性を苦しめています」、そんな中で社会運動をよくやってきた野枝は立派じゃないですか、といっているのである。ところが番組では、上野千鶴子氏に馬鹿にされた。じつに心外である。 
「一緒に出演した旧知の間柄の上野千鶴子さんには『なぜ緻密で周到な加藤陽子が、粗野な運動家の伊藤野枝を選ぶのか』と不思議がられた」。
野島陽子は、じつに不愉快だったといっている。
私はあくまで「周到」なのだ。 
ところがこれには根拠があり、日本の社会学者はほぼ全員だと思われるのだが、「家族は擬制である」と、信じているのである。
これは、筑波大学の社会学の学者たちに私がじかに確かめたことがあった。 
そしてその論理的根拠はと尋ねると、一番親切な樽川典子先生が、西洋人の本を持ってきてくれたのだが、一瞥して余りに馬鹿々々しかったので、書名も著者も忘れてしまった。
結局は、この人たちの「学問」の黙契のようなものなのであろう。
社会学者でフェミニストの上野氏にとっては、こんな「フェイク」のために育児や家事労働に追われた野枝は、粗野な運動家だということになる。
上野千鶴子フェミニズムこそ、ただのフェイクなのだが、……。
本連載の2022年5月号の第34回から第36回までと、とんで38回、47回に論理的かつ詳細に書いておいた。
ほんとうのことを知りたい方は、是非ご覧いただきたい。
この稿続く。

 


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2024年10月10日 04時30分35秒 | 全般

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Japan's economic growth is only possible with nuclear power plants.

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記者会見では意味不明な発言を繰り返し、支持していたのは静岡新聞のみだった。 

 


2024/10/6 in Umeda, Osaka


The Linear Chuo Shinkansen, which is resistant to earthquakes and typhoons

2024年10月10日 04時25分44秒 | 全般
The following is from an article by Kenichi Ogura, Director of the ITMOS Research Institute, which was published in the monthly magazine WiLL on September 26 in a three-column format starting on page 328.
It is a must-read not only for the Japanese people but also for people worldwide.

The Linear Chuo Shinkansen, which is resistant to earthquakes and typhoons
The early commencement of construction of the Linear Chuo Shinkansen will protect Japan

Direct hit on the Obon holiday:
Which is safer, above ground or underground?
This debate has been going on for a long time.
If the underground facilities are old and the pillars are weak, there are cases where it is more dangerous to be underground.
In a disaster, special care is needed underground, such as ventilation, lighting, and evacuation to the surface. 
These are the disadvantages compared to above-ground facilities.
However, there are also advantages to being underground, such as being less affected by the weather and experiencing less shaking of an earthquake than above ground.
If disaster countermeasures, such as a power supply, are in place, it has been shown that being underground is significantly safer.
In particular, underground facilities are adequate as evacuation sites in natural disasters such as earthquakes.
Since its opening, the Tokaido Shinkansen has never had a serious accident, and the linear is also known to be strong against disasters such as typhoons.
According to the "Nankai Trough Earthquake Temporary Information (Caution: Major Earthquake)" released by the Japan Meteorological Agency, the Tokaido Shinkansen will operate at a reduced speed during the Obon period, the busiest time of the summer holidays.
This information is released when the possibility of a Nankai Trough earthquake increases, and this time, it was released in response to the earthquake that occurred off the coast of Hyuganada in Miyazaki Prefecture on August 8.
In addition, because typhoons were predicted to cause significant damage this year, the Tokaido Shinkansen was scheduled to be closed for four days in August.
JR Tokai stated that "the weather forecast changes every minute, and with heavy rain falling in places far from the path of Typhoon No. 10, it was tough to decide whether to implement the planned service suspensions" (NHK, September 2).
This kind of natural disaster has made it clear that essential transport networks are at risk of being suspended for long periods.
The impact of the Nankai Trough earthquake and typhoons on Japan's transportation system is significant, and it has been shown that further countermeasures are necessary.
In the wake of the Nankai Trough earthquake information and the train cancellations due to the typhoon, many people felt that the Chuo Shinkansen Linear Express was necessary.
Unlike the Tokaido Shinkansen, which runs along the coast, the Chuo Shinkansen Linear Express will run through mountainous areas for most of its route, including Yamanashi, Nagano, and Shizuoka prefectures.
Once the linear motor train is in operation, even if a Nankai Trough earthquake were to occur and the Tokaido Shinkansen was to stop in Shizuoka Prefecture, it would still be possible to travel to Tokyo, Nagoya, and Osaka without having to take a long detour.

Earthquake countermeasures are rock solid.
Some people on social networking sites and experts still have the misconception that the linear motor train is vulnerable to earthquakes because it runs deep underground.
This misunderstanding is similar to the debate about the shaking of nuclear power plants.
Although it's a digression, please remember that there was a debate about the safety of the Shika nuclear power plant in Noto during the Noto Peninsula earthquake on January 1 this year.
Former Ministry of Economy, Trade and Industry bureaucrat and anti-nuclear power advocate Shigeaki Koga criticized the fact that "the seismic resistance standards for nuclear power plants are lower than those for general housing manufacturers."
Specifically, he points out that the Shiga nuclear power plant is vulnerable to earthquakes.
However, the Shiga nuclear power plant was designed to withstand an earthquake of 600 gal, and this time, the earthquake measured 399 gal.
Furthermore, it was designed to withstand 1000 gal under the new standards, which the government is currently examining. 
The unit "gal" expresses the strength of an earthquake; 1 gal means that the ground moves 1 cm in 1 second.
Some house manufacturers are advertising that they have conducted experiments that have withstood 5000 gals or more.
However, it is not appropriate to compare such figures directly.
Mr. Koga is probably aware of this, but he still makes this claim.
To explain this in an easy-to-understand way, let's first talk about the ground.
The ground comprises two layers: the surface layer and the bedrock.
The surface layer is the ground we live on, which is prone to shaking, and the bedrock is the hard layer underneath.
All of Japan's nuclear power plants are built on bedrock, significantly reducing the shaking caused by earthquakes.
For example, in the Kumamoto earthquake (2016), 1580 gal was observed in the surface layer, but 237 gal was observed in the bedrock.
In other words, the degree of shaking in the surface layer and the bedrock is entirely different, so there is no point in comparing them.
Some people were confusing the shaking of the ground with the shaking of the equipment.
It is obvious that the shaking of the equipment built on top of the ground will be greater than the shaking of the ground.
For this reason, it is meaningless to apply the number of gal measured as the shaking of the facilities (Shiga No. 1: 1957 gal, Shiga No. 2: 871 gal) to the number of gal of shaking of the ground assumed in the design of the Shiga Nuclear Power Plant (600 gal). 
We can understand the arguments about the grounds on which these nuclear power plants were built correctly. 
In that case, the linear Chuo Shinkansen, which runs underground for most of its route, is a remarkably safe form of transport.
Not only that, but the linear train is held in place at the center of the U-shaped guideway by magnetic force, so it will not derail even in the event of an earthquake.
The structure also incorporates sufficient measures to deal with earthquakes.
In addition, the early earthquake warning system "TERAS" used on the Tokaido Shinkansen will also be introduced, so it can be said that the system is fully prepared for earthquakes.

The curse of zero risk
What about other than earthquakes?
It is hard to imagine that the damage from torrential rain caused by the intense heat will disappear after next year. 
If you consider the possibility that the Tokaido Shinkansen, which is the main artery of Japan, will stop, then we should get the linear motor train up and running as soon as possible.
As long as it runs underground, it is hardly affected by typhoons or torrential rain.
Despite this, it has been continuously demanded that the Linear Chuo Shinkansen be built with zero risk, which has never been requested for any other civil engineering projects in Japan, such as concerns about the destruction of nature and the possibility of a decrease in water volume.
Former Shizuoka prefectural governor Heita Kawakatsu continued to demand zero risk for the linear project.
When he ran for a fourth term in the 2021 gubernatorial election, he falsely claimed that constructing the underground tunnel for the Chuo Shinkansen would result in the loss of water resources in the Southern Alps. 
He misrepresented his promise to "protect the water of life." 
About the construction of the Chuo Shinkansen, Kawakatsu has responded by widening the scope of the debate to include issues such as environmental conservation and the disposal of excavated soil.
When one issue was resolved, he raised a different point, and when that was resolved, he moved on to another.
It led to criticism that he was "moving the goalposts." 
As a result, the start of construction on the Shizuoka section was not approved, and JR Tokai was effectively forced to abandon its plans to open the line from Tokyo's Shinagawa to Nagoya by 2027. 
Mr. Kawakatsu sometimes spoke in favor of the linear motor train project, but in reality, he consistently obstructed it.
With the danger of a Nankai Trough earthquake looming, he obstructed a national project to add another critical transportation network in Japan without any apparent reasons.
He repeatedly made nonsensical remarks at press conferences, and the only newspaper that supported him was the Shizuoka Shimbun. 
Kawakatsu was eventually forced to resign after he commented, "The prefectural government is a think tank. Unlike selling vegetables, looking after cattle, or making things day in and day out, you are all knowledgeable people with brains."
Before his resignation, he said he would become a hermit at a press conference: "I will live in the mountains of Shinshu Shinano, in the forest of Mt. Asama, and spend my time talking with the birds." 
However, it is ironic that the earthquake-resistant linear bullet train will pass through Nagano Prefecture.
Yasutomo Suzuki, the newly elected governor of Shizuoka Prefecture, is actively working towards obtaining permission to begin constructing the linear bullet train.
In light of the risk of a Nankai Trough earthquake, I hope people will deepen their understanding that the early construction of the linear motor train will help protect Japan.
Seven years have passed in vain due to Kawakatsu's obstruction of the linear motor train, which has continued since 2017.
It is fortunate that the Nankai Trough earthquake did not occur during that time.

Ogura Kenichi
He was born in 1979. He graduated from the Faculty of Economics at Kyoto University.
After working as a secretary to a member of the Diet, he joined President Inc. and was assigned to the President's editorial department.
He became the youngest editor-in-chief of an economic magazine (January 2020).
He became independent in July 2021. He is currently working as a freelance writer.


2024/10/6 in Umeda, Osaka

記者会見では意味不明な発言を繰り返し、支持していたのは静岡新聞のみだった。 

2024年10月10日 04時07分06秒 | 全般
以下は、9/26に発売された月刊誌WiLLに、p328から3段組で掲載されている小倉健一イトモス研究所所長の論文からである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読である。

地震・台風に強いリニア中央新幹線
リニアの早期着工が日本を守ることにつながる

お盆休みを直撃 
地上と地下のどちらが安全かー。
議論は昔から続いている。
地下施設が古く、支柱が弱ければ、地下にいるほうが危険なケースもある。
地下では換気や照明、災害時の地上への避難など、特別な注意が必要である。これらは地上施設に比べての短所だ。
しかし、地下には天気の影響を受けにくいことや、地震の揺れが地上より小さいといった長所がある。
電力供給などの災害対策が整っていれば、地下は格段に安全であることがわかっている。
特に地震などの自然災害では、地下施設が避難場所として有効である。 
JR東海が建設を進めているリニア中央新幹線は、ほとんどの区間で地下を走っている。
開業以来、重大な事故を起こしたことのない東海道新幹線であるが、リニアはさらに台風などの災害にも強いことがわかっている。 
気象庁が発表した「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」により、夏休みの一番忙しいお盆期間中、東海道新幹線が減速運転をすることになった。
この情報は、南海トラフ地宸が起きる可能性が高まったときに発表されるもので、今回は8月8日に宮崎県の日向灘沖で地震が起きたことを受けて発表された。
また、今年は台風の影響で大きな被害が出ると予測されたことから、東海道新幹線は8月に計4日の計画運休を行った。
JR東海は「気象予測が刻々と変わり、台風10号の進路から離れた場所で大雨が降る中、計画運休の実施判断は極めて難しかった」(NHK、9月2日)と述べている。 
このような自然災害によって、重要な交通網が長期間止まるリスクが明らかになった。
南海トラフ地震や台風が日本の交通に与える影響が大きく、さらなる対策が必要だと示された。
今回の南海トラフ地震情報や台風による運休をめぐって、多くの人はリニア中央新幹線が必要だと感じたのではないだろうか。
リニアは、沿岸を通る東海道新幹線とは違い、山梨県、長野県、一部の静岡県など、ほとんどの区間で山間部を走ることになる。
リニアが開業すれば、仮に南海トラフ地震が起きて、静岡県で東海道新幹線が止まるような事態になっても、東京、名古屋、大阪を遠回りすることもなく、移動することが可能だ。

地震対策は盤石 
一部のSNSや専門家のなかには、リニアが地中深くを走ることから「地霓に弱い」という誤解がまだ残っているようだ。
この誤解は原発の揺れに関する議論にも似ている。
少し話が逸れるが、今年1月1日に起きた能登半島地震の際、能登にある志賀原発の安全性について議論があったことを思い出してほしい。 
経済産業省の元官僚で反原発を主張する古賀茂明氏は、「原発の耐震基準が一般のハウスメーカーよりも低い」と批判している。
具体的には、志賀原発が地震に脆弱だと指摘している。
しかし、志賀原発は設計上、600ガルの揺れに耐えられるようにつくられており、今回の地震では399ガルを観測した。
さらに、新しい基準では1000ガルに耐えられるように設計されていて、国が現在その基準を審査している最中だ。 
「ガル」といラ単位は地震の強さを表すもので、1ガルは地面が1秒問に1センチメートル動くことを意味する。
ハウスメーカーのなかには、5000ガル以上に耐えた実験を行ったとアピールするところもある。
しかし、このような数値をそのまま比較するのは適切ではない。
古賀氏はこれを知りながら主張しているのだろう。 
わかりやすく説明するために、まず「地面」の話をしよう。
地面には「表層地盤」と「岩盤」がある。
表層地盤は私たちが生活している揺れやすい地面で、岩盤はその下にある固い地層だ。
日本にある原発はすべて岩盤の上に建設されており、これにより地震の揺れが大幅に小さくなる。
例えば、熊本地震(2016年)では、表層地盤で1580ガルが観測されたが、岩盤では237ガルだった。
つまり、表層地盤と岩盤の揺れでは全く揺れの程度が異なり、これらを比べることに意味はないのである。
他にも、地盤の揺れと設備の揺れを混同している人も見受けられた。
地盤の揺れより、その上に建つ設備の揺れの方が大きい「ガル」になるのは自明だ。
そのため、今回、設備の揺れとして計測されたガル数(志賀1号1957ガル、志賀2号、871ガル)を、志賀原発が設計上想定した地盤の揺れのガル数(600ガル)に当てはめても無意味だ。 
こうした原発の地盤の議論を正しく理解できれば、ほとんどの区間で地中を走行するリニア中央新幹線が格段に安全な乗り物だということがわかる。
それだけでなく、そもそもリニアは磁力によりU字型のガイドウェイの中央に常に安定して保持されるため、地震発生時も脱線することはない。
また、構造物も地震に対する十分な対策を織り込んでいる。
加えて、東海道新幹線で使用している早期地震警報システム「テラス」も導入されることから、地震については万全の対策といえよう。

ゼロリスクの呪縛 
地震以外ではどうか。
来年以降、この猛暑による豪雨被害がなくなるとは考えにくく、そのために日本の大動脈である東海道新幹線が止まる可能性を考えれば、さっさとリニアを開業させるべきなのである。
地中を走る限り、台風や豪雨の影響はほとんど受けない。

にもかかわらず、自然破壊だの、水量が減る可能性があるだの、日本の他の土木工事で一度たりとも求められたことのない「ゼロリスク」の実現を、リニアエ事だけは求められ続けてきた。
リニアエ事にゼロリスクを求め続けたのは、静岡県の前県知事、川勝平太氏である。
川勝氏は2021年の知事選挙で、4期目を目指して立候補した際、リニア中央新幹線の地下トンネルエ事によって南アルプスの水資源が失われると虚偽を訴え、「命の水を守る」というミスリードでしかないメッセージを掲げたのだ。 リニア中央新幹線の建設をめぐって、川勝氏は環境保全の問題や残土処分の問題など、議論の範囲を広げるだけ広げるという形で対応してきた。
何かが解決すると、違う論点を出し、それも解決するとまた違う論点へと移っていった。
「ゴールポストを動かす」という批判が巻き起こったのはいうまでもない。 その結果として、静岡工区の着工を認めることはなく、JR東海は2027年に予定していた東京・品川から名古屋までの開業を事実上断念せざるを得なくなった。 

川勝氏はリニアエ事に対して口では推進を唱えることもあったが、実際には一貫して妨害し続けた。
南海トラフ地震の危険が迫るなか、日本の重要な交通網をもう一つ増やすという国家的なプロジェクトを、明確な理由を示さずに妨害してきた。
記者会見では意味不明な発言を繰り返し、支持していたのは静岡新聞のみだった。 
川勝氏は「県庁はシンクタンクです。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノをつくったりということと違って、皆様は頭脳、知性の高い方です」という発言で非難を浴び、最終的には辞職に追い込まれた。
辞職前の記者会見では、「仙人になる」と言い、「私の住まいは信州信濃の山奥、浅間の山の森の中、小鳥とお話しして過ごす」と語ったが、その長野県を地震に強いリニア新幹線が通ることになるのは皮肉な話だ。 
新しく静岡県知事となった鈴木康友氏は、リニアエ事の着工許可に向けて積極的に動いているようだ。
南海トラフ地震のリスクを踏まえ、リニアの早期着工が日本を守ることにつながるという認識を深めてほしい。 
2017年から続いた川勝氏によるリニア妨害のせいで、無駄に7年が経過してしまった。
南海トラフ地震がその間に起きなかったことは幸いだった。

おぐら けんいち
1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。
国会議員秘書を経てプレジデント社に入社、プレジデント編集部配属。
経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長に就任(2020年1月)。
2021年7月に独立。現在に至る。


2024/10/6 in Umeda, Osaka

Japan's economic growth is only possible with nuclear power plants.

2024年10月10日 03時50分42秒 | 全般
The following is from an article by Kenichi Ogura, Director of the ITMOS Research Institute, which was published in the monthly magazine WiLL on 26th September in a three-column format starting on page 324.
It is a must-read not only for the Japanese people but also for people worldwide.

Japan's economic growth is only possible with nuclear power plants.
What is a stable, clean, and competitive power source?

Recovering the "lost 30 years" 
Data centers and semiconductor businesses, essential in the A1 generation era, require a stable and large amount of electricity.
For example, the NRT12 Data Center, built in Inzai City, Chiba Prefecture, with 50% funding from Mitsubishi Corporation, has a total power receiving capacity of approximately 30,000 kW per facility. 
Still, it is said that large data centers scheduled to be built in Japan will require several hundred thousand to a maximum of one million kW.
It is equivalent to the electricity required for the entire prefecture of Yamanashi.
As these facilities are built and electricity demand is expected to increase, and with the government's promotion of renewable energy as a primary source of power making it difficult to provide a stable and low-cost supply of electricity, it is only natural that the business opportunities to make up for the "lost 30 years" will have to be given to other countries. 
If you think back, the reason that pushed Japan into the war was "oil shortages."
Before the war, Japan imported around 80% of its oil from the United States, and as a country with few natural resources, it has long been dependent on imports. 
As a result, nuclear power plants were promoted in the post-war period.
However, following the Great East Japan Earthquake, the fact that Japan's energy self-sufficiency rate is around 10% and that it is almost entirely dependent on imports of fossil fuels from overseas has stayed the same. 
Even now, 13 years after the Great East Japan Earthquake, only 12 of the 36 nuclear reactors (excluding the 24 decommissioned) that have been restarted in Japan (all PWRs) are currently in operation. 
Most of the country's nuclear power plants are not operating. What about the rest of the world? 
After the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, a sense of aversion to nuclear power plants spread, and countries like Germany began to phase out nuclear power.
However, with COP21 in 2015, decarbonization began to attract international attention, and nuclear power plants, which do not emit greenhouse gases, began to come back into the spotlight.
Then, the situation changed entirely with the Russian invasion of Ukraine in 2022.
As a result of Western countries imposing economic sanctions on Russia, the global energy market, heavily dependent on Russian energy, was disrupted. 
Europe, an opinion leader on global warming, hurriedly secured LNG and coal worldwide as if what it had been saying until then had been a lie, and energy prices soared. 
According to the Japan Oil, Gas, and Metals National Corporation (JOGMEC), the expansion of LNG imports in Europe is expected to reduce the world's LNG supply capacity in 2025-2026, and this could affect prices.
Against this background, the number of people in Germany who support the move away from nuclear power has fallen from around 60% to around 20%, and nuclear power plants, which were spared the effects of the sharp rise in energy prices, have once again come into the spotlight. At COP28 last year, nuclear power was re-evaluated as an energy source that can achieve energy security, decarbonization, and economic efficiency simultaneously, and 22 countries, including Japan, issued a joint declaration to "triple nuclear power generation capacity by 2050 compared to 2020".
The momentum for promoting nuclear power is increasing worldwide.
The Japanese economy, struggling with energy supply, is becoming increasingly fragile.

Unstable renewable energy
At the 55th General Resources and Energy Investigation Committee Basic Policy Subcommittee meeting held in May this year, Minister of Economy, Trade and Industry Ken Saito expressed a strong sense of crisis, saying, "Japan is now at the greatest crossroads in its post-war energy policy."
The background to this statement is the changing international energy situation, including the destabilization of the situation in Ukraine and the Middle East and the reality that it is becoming increasingly difficult to procure energy stably from overseas.
In addition, if a concrete path to achieving carbon neutrality cannot be mapped out and a stable supply of decarbonized power sources cannot be secured, international competitiveness will likely be adversely affected.
Furthermore, there is also the need to deal with the increase in demand for electricity from data centers and semiconductor businesses that will accompany the spread of generated AI.
The Sixth Basic Energy Plan targets increasing the share of nuclear power in the power supply mix to 20-22% by 2030.
To achieve this, it is assumed that in addition to the 12 reactors that have already restarted, the 5 reactors that have already been approved for installation and the 10 reactors currently under review will also be brought back into operation. 
However, at the moment, the restart of these reactors is being delayed significantly.
For example, although preparations for the restart of Unit 7 at the Kashiwazaki-Kariwa Nuclear Power Station of the Tokyo Electric Power Company are complete, the restart has not progressed because local consent has not been obtained.
The nuclear power plants in Shimane and Onagawa aim to restart by the end of the year, but this has yet to be achieved.
Furthermore, the Tsuruga Nuclear Power Plant Unit 2 has been judged as not complying with the new regulatory standards, and its restart has yet to be approved, but there are questions about this assessment.
To raise the ratio of nuclear power to 20%, nearly 30 power plants will need to be operational, but if things continue as they are, it will be tough to achieve this goal. 
The "nuclear fuel cycle" issue has also been raised, but the high cost of reprocessing plants should be considered an investment in long-term profits.
Reprocessing allows spent fuel to be reused as new fuel rather than disposed of as waste.
Data currently show that the cost of generating renewable energy is lower than that of nuclear power.
However, because renewable energy is dependent on nature, it is difficult to ensure a stable supply without backup from thermal power plants that use coal and fossil fuels.
As a result, it is not a power source that is competitive overall.
In Europe, while there is a lot of publicity about the progress in introducing offshore wind power, substantive decarbonization is progressing very slowly.
Japan must not be fooled by the propaganda that the EU is promoting decarbonization.

The only way to revive the Japanese economy."
Since the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident and the subsequent full liberalization of the electricity market in 2012, the future uncertainty of electricity demand has reduced the predictability of investment in power sources, and the situation has continued where it is difficult for power companies to invest in the development of new power sources.
In response to this, a long-term decarbonized power source auction was launched last year as a power source investment support system, and bids have been successful.
However, under this system, the revenue is fixed for 20 years at the time of the bid, so additional costs due to factors such as rising material prices and interest rates cannot be recovered.
As a result, power companies cannot avoid risk, and it is still possible that the construction of new power sources will not progress. 
As Minister of Economy, Trade and Industry Saito has stated, Japan, which has stated that it will achieve carbon neutrality by 2050, is likely to continue to face a thorny path.
This is because, even with the difficulties involved in introducing decarbonized power sources to meet future increases in electricity demand, the only option is to make the most of existing power sources, including nuclear power.
Nuclear power, a semi-domestic energy source, could solve the various problems we currently face.
As a decarbonized power source, it is possible to reduce dependence on fossil fuels while reducing greenhouse gas emissions. 
At the same time, it is possible to achieve price stabilization of electricity by controlling the volatility of fuel prices. It can also contribute to energy security by improving energy self-sufficiency. 
The GX Decarbonization Power Source Act was passed in May last year, and under the principle of "safety being the highest priority," the government, companies, and local governments will each take the initiative in promoting nuclear power.
Once again, the groundwork is being laid to make nuclear power a base power source for our country.
This year, when the 7th Basic Energy Plan and the review of the electricity system reform are being carried out at the same time, we should have a national debate on what kind of stable, clean, and competitive power source will support our country's industry and people's lives.
There are few options available to the Japanese people. 
If any options are more attractive than nuclear power, they should be carefully considered and reflected in the 7th Basic Energy Plan.
However, as things stand now, Japan has no path other than nuclear power.


2024/10/6 in Umeda, Osaka

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しかし、米国は韓国を共通の価値観を持つ国とも考えていないし、信頼できる一線級の同盟国とも見なしていません。

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Japan-China Parliamentary Friendship League

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