同氏らによる英語版『中国人慰安婦』(Chinese Comfort Women,2014)は権威あるオックスフォード大学出版会から出版され、じわじわと影響力を発揮しつつある
2019年07月12日に発信した章である。
検索妨害という犯罪行為に遭っていた。
再発信する。
以下は2018/5/1に発信した章である。
4/26に発売された月刊誌Willに掲載されている島田洋一氏の連載コラム「天下の大道」今月号は、誰が中国人慰安婦を迫害したか、である。
文中強調は私。
韓国紙『中央日報』3月6日付に思わず失笑する(と言うと失礼だが)記事が載った。
タイトルは「セクハラ・スキヤンダル渦中の高銀氏の慰安婦追悼詩、撤去へ」である。
要約しておこう。
「韓国の著名な詩人・高銀氏(85歳)が慰安婦追慕のために書いた詩が刻まれた碑が、先月末に撤去された。
ある女性詩人が高氏によるセクハラを暴露したのを受け、女性団体を中心に撤去の声が上がつていた。
「セクハラの渦中にいる詩人が、旧日本軍性奴隷被害者を追慕するのは不適切だという理由だった」
高氏の詩は次のように始まる。
「つぼみのまま/つぼみのまま/踏みにじられてしまった冒とくの命だった君よ」
一例として、記事によると、高氏はある大学での講演会後、パーティの席で隣の女性の体を触り、ズボンから性器を取り出す行為までしたという。
まさに「花のような乙女」を「つぼみのまま踏みにじった」わけである。
偽善の極みという他ない。
元慰安婦の福祉施設「ナヌムの家」の所長が、高氏に対し、「勇気を振り絞って告白した人々に心から謝罪すべきはもちろん、徹底的に反省しなければならない」と怒りの声をぶつけたらしいが、強制連行フィクションで日本に言いがかりを付ける前に、自国の浄化が必要ということだろう。
いずれにせよ、こうした形で反日運動が自壊し、慰安婦像や碑が次々撤去されていくなら結構なことだ。
もっとも、溜飲を下げている場合ではない。
韓国で自壊作用が見られるにしても、それは一部に留まり、慰安婦像や碑は今後も建て続けられるだろう。
そして、国際的な慰安婦虚偽キャンペーンの中心を占めるのは今や中国である。
中国政府による対日歴史戦は、韓国よりも一層戦略性を持っている。
その狙いは、大きく次の三つに整理できる。
① 日本の精神的武装解除。すなわち中国がアジアに覇を唱えていく上で障害となる地域大国日本に対して加害者意識、贖罪史観を浸透させ、抵抗意思を萎えさせること。
②「反省しない日本」への敵愾心を掻き立て「団結」を崩せばまた侵略を受けるとして、共産党一党独裁体制を正当化すること。
③ 自由、民主主義、法の支配、人権などが欠如する中国の「現在」に焦点が当たらぬよう「過去」に注意を逸らすこと。
こうした中国共産党の戦略の下、慰安婦の研究と対外発信の中心となってきたのが上海師範大学教授の蘇智良氏である。
同氏らによる英語版『中国人慰安婦』(Chinese Comfort Women,2014)は権威あるオックスフォード大学出版会から出版され、じわじわと影響力を発揮しつつある。
ところが、多くの中国人女性が日本軍に拉致され、対価もなく集団レイプされ、大部分が殺害されたと主張する同書は、無理な辻褄合わせの結果、巨大ブーメランと言うべき記述を含むに至っている。
中国でも韓国同様、長く社会的関心の外にあった元慰安婦の存在が突如「問題化」したのは、朝日新聞などが虚偽キャンペーンを始めた1992年以降のことである。
それゆえ、なぜそこまで深刻かつ大規模な「戦争犯罪」が問題にされずにきたかを、研究書である以上説明せねばならない。
『中国人慰安婦』は大要次のように論じる。
「家父長イデオロギーが浸透する中国社会では、女性の純潔は命より重い。政治的偏見も加わり、生き残った慰安婦は非道徳な上に国を裏切った者とされた。さらに、共産党政権下では『反革命』の烙印も押され、日本兵と『寝た』かどで北方の強制労働に送られるなど、ことさら辱められ迫害された。耐えかねて自殺した者もいる。最も犠牲を被った国でありながら、中国において慰安婦の問題化が遅れたのはこうした理由による」
何のことはない。中国における慰安婦研究の第一人者によれば、日本軍が管理する慰安所で戦火を生き延び、故郷に戻った慰安婦たちを理不尽にも迫害したあげく、死に追いやったのは、中国共産党だったというわけである。
韓国のセクハラ詩人の偽善どころではない。
中国共産党の責任こそ最も強く追及すべきだろう。
2019年07月12日に発信した章である。
検索妨害という犯罪行為に遭っていた。
再発信する。
以下は2018/5/1に発信した章である。
4/26に発売された月刊誌Willに掲載されている島田洋一氏の連載コラム「天下の大道」今月号は、誰が中国人慰安婦を迫害したか、である。
文中強調は私。
韓国紙『中央日報』3月6日付に思わず失笑する(と言うと失礼だが)記事が載った。
タイトルは「セクハラ・スキヤンダル渦中の高銀氏の慰安婦追悼詩、撤去へ」である。
要約しておこう。
「韓国の著名な詩人・高銀氏(85歳)が慰安婦追慕のために書いた詩が刻まれた碑が、先月末に撤去された。
ある女性詩人が高氏によるセクハラを暴露したのを受け、女性団体を中心に撤去の声が上がつていた。
「セクハラの渦中にいる詩人が、旧日本軍性奴隷被害者を追慕するのは不適切だという理由だった」
高氏の詩は次のように始まる。
「つぼみのまま/つぼみのまま/踏みにじられてしまった冒とくの命だった君よ」
一例として、記事によると、高氏はある大学での講演会後、パーティの席で隣の女性の体を触り、ズボンから性器を取り出す行為までしたという。
まさに「花のような乙女」を「つぼみのまま踏みにじった」わけである。
偽善の極みという他ない。
元慰安婦の福祉施設「ナヌムの家」の所長が、高氏に対し、「勇気を振り絞って告白した人々に心から謝罪すべきはもちろん、徹底的に反省しなければならない」と怒りの声をぶつけたらしいが、強制連行フィクションで日本に言いがかりを付ける前に、自国の浄化が必要ということだろう。
いずれにせよ、こうした形で反日運動が自壊し、慰安婦像や碑が次々撤去されていくなら結構なことだ。
もっとも、溜飲を下げている場合ではない。
韓国で自壊作用が見られるにしても、それは一部に留まり、慰安婦像や碑は今後も建て続けられるだろう。
そして、国際的な慰安婦虚偽キャンペーンの中心を占めるのは今や中国である。
中国政府による対日歴史戦は、韓国よりも一層戦略性を持っている。
その狙いは、大きく次の三つに整理できる。
① 日本の精神的武装解除。すなわち中国がアジアに覇を唱えていく上で障害となる地域大国日本に対して加害者意識、贖罪史観を浸透させ、抵抗意思を萎えさせること。
②「反省しない日本」への敵愾心を掻き立て「団結」を崩せばまた侵略を受けるとして、共産党一党独裁体制を正当化すること。
③ 自由、民主主義、法の支配、人権などが欠如する中国の「現在」に焦点が当たらぬよう「過去」に注意を逸らすこと。
こうした中国共産党の戦略の下、慰安婦の研究と対外発信の中心となってきたのが上海師範大学教授の蘇智良氏である。
同氏らによる英語版『中国人慰安婦』(Chinese Comfort Women,2014)は権威あるオックスフォード大学出版会から出版され、じわじわと影響力を発揮しつつある。
ところが、多くの中国人女性が日本軍に拉致され、対価もなく集団レイプされ、大部分が殺害されたと主張する同書は、無理な辻褄合わせの結果、巨大ブーメランと言うべき記述を含むに至っている。
中国でも韓国同様、長く社会的関心の外にあった元慰安婦の存在が突如「問題化」したのは、朝日新聞などが虚偽キャンペーンを始めた1992年以降のことである。
それゆえ、なぜそこまで深刻かつ大規模な「戦争犯罪」が問題にされずにきたかを、研究書である以上説明せねばならない。
『中国人慰安婦』は大要次のように論じる。
「家父長イデオロギーが浸透する中国社会では、女性の純潔は命より重い。政治的偏見も加わり、生き残った慰安婦は非道徳な上に国を裏切った者とされた。さらに、共産党政権下では『反革命』の烙印も押され、日本兵と『寝た』かどで北方の強制労働に送られるなど、ことさら辱められ迫害された。耐えかねて自殺した者もいる。最も犠牲を被った国でありながら、中国において慰安婦の問題化が遅れたのはこうした理由による」
何のことはない。中国における慰安婦研究の第一人者によれば、日本軍が管理する慰安所で戦火を生き延び、故郷に戻った慰安婦たちを理不尽にも迫害したあげく、死に追いやったのは、中国共産党だったというわけである。
韓国のセクハラ詩人の偽善どころではない。
中国共産党の責任こそ最も強く追及すべきだろう。
しまだ よういち 1957年、大阪府生まれ。福井県立大学教授(国際政治学)。国家基本問題研究所企画委員、拉致被害者を「救う会」全国協議会副会長。