以下は23日に我が家に届いた月刊誌WiLLに「媚中グランプリ」と題して掲載された、取材する本物のジャーナリスト佐々木類の論文からの抜粋である。
前文省略。
川勝氏は言わずと知れた「リニア止め男」。
ある試算によると、失われた経済効果は数十兆円に上る。
川勝氏は、「早期開通に向けてリニアの足を引っ張ったことは一度もない」と言うが、やってきたことは環境問題を理由とした妨害である。
リニア開発でライバルの中国に忖度でもしたのかと思わせる振る舞いだった。
川勝氏は過去、中国共産党への「愛」を得々と語っている。
2020年にも人民日報海外版日本月刊(2月25日付電子版)のインタビューで中国の巨大経済圏構想「一帯一路」について、『陸と海のシルクロードを一帯一路』とした構想力に敬服している。ユーラシアからアフリカまで一帯一路が実現されつつあるのは壮観だ」と語っている。
日中友好議連は”工作機関”
西の前頭筆頭は、自民党の平将明デジタル担当相だ。
平氏は自民党の森山裕幹事長と同様、日中友好議員連盟のメンバーで、日中発展協会の中核メンバーとしてたびたび訪中している。
ワシントンの研究機関「ジェームスタウン財団」が2019年6月、「日本での中国共産党の影響力作戦の調査」と題する報告書で、「中国共産党の統一戦線工作部などの対日政治工作に利用されることが多い」と警告していた。
東の前頭筆頭には、森山氏を充てたい。
日中議連の中核メンバーとして一月中旬、中国を訪問した。
七年ぶりとなる与党交流協議会に参加するためだが、これは中国側の罠にほかならない。
森山氏は訪中直前の8日、熊本市内の会合で、「世界が内向きになりつつある。内向きのチャンピオンはトランプ次期米大統領だ。非常に方向性が気になる」と語った。
中国の顔色を見ながら語っているのだから情けない。
二階俊博元自民党幹事長の中国利権でも継承するつもりなのか。
次に三役。
西の小結には自民党の松下新平参院議員をエントリーしたい。
松下氏は中国人女性に外交担当秘書の名刺を渡すなど、中国人団体と懇意にしていた。
2020年4月1日から2年の任期で、中国「非公式110番(闇警察)」の高級顧問もしていた。
警視庁はこの闇警察を詐欺容疑で家宅捜索している。
東の小結には、公明党の山口那津男前代表だ。
山口氏の場合、個人的というより、伝統的に中国との関係が深い党の代表としての距離感から三役入りを果たした。
山口氏は2023年11月に訪中し、中国共産党で序列五位の蔡奇政治局常務委員や党の対外窓口である中央対外連絡部(中連部)の劉建超部長とも会談している。
山口氏の訪中は2009年の代表就任から7度目となる。
西の関脇には、外相就任直前に日中友好議員連盟会長を辞任した林芳正官房長官が上位を狙う。
林氏は2022年7月12日の会見で、記者から台湾の頼清徳副総統が安倍晋三元首相の葬儀に参列するため訪日した件について聞かれ、「ご指摘のあった人物については~」などと発言し、全日本台湾連合会から「あまりに非礼」「礼節の国日本を貶める言動である」などと強い抗議を受けた。
釈明する林氏が、米国の要人に対しても同じような受け答えをするとは思えない。
中国に対する忖度があったのは間違いない。
東の関脇には、ルーピー(”愚か者”の意)こと、鳩山由紀夫元首相だ。
鳩山氏は、中国に限らず、韓国に行って西大門刑務所跡地の前で土下座し、謝罪の真似事をするなど、反日的国家に呼ばれるままに徘徊し、日本と日本人を辱めてきた。
政策面では、米国を排除した「東アジア共同体構想」をぶち上げ、日米関係に大きなダメージを与えた。
いずれも、中国への忖度があったとみられる。
中国ビジネスが「足かせ」に
西の張出大関には、立憲民主党の岡田克也幹事長が鎮座する。
張出の呼称は今は使われていないが、ここでは大関でも序列をつけるため、あえて張出という言葉を使う。
岡田氏は2024年8月に党議員団を引き連れて訪中し、中国共産党中連部の劉建超部長と北京で会談している。
岡田氏は23年9月12日の会見で、東京電力福島第一原発処理水の海洋放出に伴う中国の日本産水産物全面禁輸措置をめぐり、「日本政府にも相当、責任がある」と中国寄りの認識を示した。
親族企業のイオンが中国に20以上もの店舗を構えていることから、政界では中国への配慮が先行しているのではないか? との見方がくすぶっている。
東の張出大関は石破茂首相である。
石破氏は、平氏などの媚中・親中派議員を入閣させている。
対トランプという視点で中国の策謀に乗り、日米関係に亀裂を入れる恐れがあり、警戒が必要だ。
石破氏は2024年12月29日のTBSテレビ番組で、「日本の首相が中国に行くのは極めて大事なことだ。指導者同士の信頼関係はうわべだけではできないので回数を重ねないといけない」と述べた。
トランプ米大統領に会えない中、訪中に意欲を示す外交センスのなさ。
日米関係がガラス細工であることが分からぬらしい。
東の正大関には、小沢一郎元民主党代表だ。
西は二階俊博・元自民党幹事長である。
小沢氏といえば旧民主党幹事長時代の2009年12月、総勢600人に上る大訪中団を引き連れて胡錦濤国家主席に媚びへつらい、実力者ぶりを党内外に猛烈アピールしたのが記憶に新しい。
直後に宮内庁の慣例を曲げ、習近平国家副主席(当時)を招聘し、強引に天皇陛下に謁見させた。
天皇陛下を政治利用した疑いは晴れない。
二階氏は2020年6月1日の会見で、中国が香港の民主化運動を弾圧する国家安全法の導入を決めた際、「他国の政治行動についてとやかく意見を述べることは適当ではない。慎重に見守っていくということでいいのではないか」と述べた。
運輸相時代の2000年には旅行業関係者5000人を率いて訪中し、江沢民国家主席を驚かせた。
二階氏は、江氏の銅像まで建てようと企図していたのだから呆れる。
2015年の総務会長時代には3000人規模の訪中朝貢団を率い、習近平国家主席に″拝謁゛した。
地元和歌山のパンダに罪はないのだが、これすら工作員に見えてくる。
横綱見参!
いよいよ、横綱である。
西の張出は河野太郎元デジタル担当相。
東の張出は福田康夫元首相である。
河野氏といえば、中国ロゴ問題である。
河野氏が主導する内閣府の夕スクフォース(TF)の元民間構成員の提出資料に中国の国営電力会社のロゴマークが入っていた。
2024年3月のことだ。中国による不当な影響力が行使される余地はなかったか。
親族企業による中国との取引が政策決定に影響している疑いを持たれている。
政界を引退してなお、中国共産党の「喉と舌(広告塔)」と言うべき活躍を見せているのが、福田元首相だ。
日中国交正常化50周年の2022年には中国メディアに頻出し、中国の経済政策や外交政策を「成功してきた」と絶賛していた。
在日中国人留学生団体の特別顧問に就任するなど、都内で開かれる日中関係の行事には必ずと言って良いほど顔を出す媚中ぶりだ。
交流自体は否定されるものではないが、人権や尖閣など中国にとって耳の痛いことも言うべきだと言っているのである。
西の正横綱は、河野洋平元衆院議長だ。
河野家は親子で堂々と綱を張っている。
日本の政治史に汚名を残すのは間違いない。
慰安婦の強制連行をでっちあげた「河野談話」で知られる河野洋平氏は、朝鮮半島だけではなく中国への肩入れも尋常ではない。
日本国際貿易促進協会の会長として、中国共産党創立百周年の2021年、「中国共産党は中国人民を団結させ、社会主義の建設と改善に導いた」とのメッセージを送っていた(中国中央電視台)。
河野洋平氏の真骨頂といえば、台湾でのエピソードであろう。
外相時代の1995年、外遊中に台風で飛行機が台北で緊急着陸したときのことだ。
河野氏は飛行機から降りることなく、数時間機内で待機し、中国に忠誠心を示した。滑稽としか言いようがない。
媚中レジェンドを忘れない
東の正横綱を発表する前に、「媚中のレジェンド」となった親方衆に登場してもらおう。
橋本龍太郎元首相と加藤紘一元自民党幹事長だ。
橋本氏といえば、ハニートラップである。
ハニトラは中国のお家芸であり、有力な情報工作の一つだ。
女性工作員が男性を籠絡して機密情報を得たり、弱みを握って揺さぶる謀略である。
橋本氏へのハニトラが発覚したのは1996年のことだ。中国政府関係者を夫に持ち、駐日中国大使館への勤務経験もある中国人の女性通訳との親密な関係が発覚した。
問題なのは、この女性が北京市公安局の情報工作員だったことだ。
橋本氏と交流を持ちながら、中国へのODA(政府開発援助)の増額などの働きかけを行っていた疑いが持たれた。
2人の出会いは1970年代末、場所はホテルニューオータニの口ビーだ。
女性は橋本氏の前で、白いハンドバッグを落とし、それを拾ってもらう。
橋本氏は、突如現われた女性の美貌に心を躍らせるが、あらかじめ仕組まれた工作の可能性が高かったという(2014年8月26日付「ニュースポストセブン」電子版)。
続いて、加藤紘一氏。
外務省のチャイナスクール出身で、中国課長を歴任している。
議員事務所には、中国共産主義青年団(共青団)出身の女性が研修生として在籍し、国会内を自由に歩き回っていた。
加藤氏は米高官の発言を引用しながら、首相らの靖國参拝を痛烈に批判したりもしている(『言論NPO』2006年2月16日付電子版)。
媚中界のホープ登場
さて、お待たせしました。
栄えある「B1グランプリ」の初代王者は、岩屋毅外相に決定だ。
東の正横綱である。
月刊「WiLL」が運営するユーチューブチャンネル「デイリーWiLL」で2024年暮れ、「媚中・親中議員はだれだ!」と投票を呼び掛けたところ、岩屋外相が断トツで一位となった。
令和という日の浅い時代で括れば筆者も同意見である。
何しろ、米司法省に起訴された中国企業トップが岩屋氏に賄賂を渡していたと証言したのである。
名前が捜査線上に浮上した時点で外相失格といえる。
岩屋氏は、2024年11月29日の会見で、「すでに終わった話だと思う。中国企業から金銭を受け取った事実は断じてない」などと否定してみせたが、嫌疑は晴れていない。
超党派のIR議連(国際観光産業振興議員連盟)の実質的な仕切り役である幹事長だった岩屋氏に向けられた国内外の視線は厳しい。
石破首相同様、訪米もかなわない中、岩屋氏は2024年12月下旬に嬉々として訪中し、来日中国人向けビザの大幅緩和を発表した。
日本国内で十分に審議した形跡はなく、岩屋外相の暴走である。
中国側が日本産の水産物禁輸の解除や訪中する日本人のビザ緩和を発表したのを受けた措置とみられるが、それこそ中国の策謀である。
問題のないところで一方的に拳を振り上げて恫喝し、日本がひるんで譲歩すると、その拳を振り下ろす。
いわば、金を奪っておいて、金は返すからほかのモノを寄こせと言っているようなものである。
そもそも水産物禁輸の解禁は、中国・深川で日本人男児が殺害されたのを受け、日本人の国民感情をなだめることを狙ったとの見方もある。
真の外交とは
以上、独断で格付けしてみた。
伝えたいことは媚中・親中と、私情を挟まない対中外交は別物だということだ。
だからこそ、日中国交正常化を果たした田中角栄元首相や江沢民国家主席の側近で、国家副主席を務めた曽慶紅と懇意にしていた野中広務元自民党幹事長らは含めなかった。
首相として、議員として、中国との健全な政府間外交、議員外交をやり遂げたと評価しているためだ。
党内で命がけの権力闘争を繰り広げてきた中国共産党のエリートたちは、日本の国会議員ほど「甘ちゃん」ではない。
外務省チャイナスクール出身の元中国課長の言葉が印象的だ。
自らは弱腰だったことを棚に上げての発言だが、傾聴に値する。
「中国首脳にね、おべんちゃらを言ってもなめられるだけ。相手の嫌がることを言えば言うほど逆に信用されて、こちらの言葉に耳を傾けてくれるんです。それが彼らのメンタリティーなんですよ」