2014年8月まで朝日新聞を購読していた私は渡部昇一氏が本物の大学者であることを全く知らなかった。
朝日新聞を購読していた殆どの人も同様だったはずである。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
p205-p211
●日清戦争講和後、南下してくる最大の敵・ロシアの脅威
日清戦争の講和交渉の結果、日本は清国から賠償金と台湾、澎湖諸島および遼東半島(関東州)の割譲を受けることになった。
これがそのままおさまっていれば日本にとってはこのうえない好条件となったのだが、そうはいかなかった。
台湾と赤湖諸島は清国にとって実効的な支配の及ばない土地だったから問題はなかった。
遼東半島も万里の長城の外にあり、清国にとって比較的重要度の低い土地だった。
一方、日本にとっては関東州は南満洲に入り込んでおり、それだけの地域を割譲してもらえれば、その後の日本の移民問題も起こらず、日露戦争のもとになる旅順、大連がロシアの手に渡ることもなかったわけだから、日露戦争そのものが起こらなかった可能性も大きかった。
また、朝鮮を併合する必要もなかったといってよい。
ところが、日本が講和条約を結ぶとすぐに三国干渉が起こった。
ロシアが音頭をとって、ドイツとフランスとともに、遼東半島を日本が取るのは東洋の平和を脅かすものであると文句をつけ、明治二十八年(一八九五)四月二十三日、日本に対して「遼東半島を清に返還せよ」と要求してきたのである。
日本人は非常に怒ったが、この三か国を相手に一戦を交えたところで勝ち目はない。
それで明治天皇が「遼東還付の勅語」を発布されたため、みんな我慢をしたのである。
しかし、その後、日本が返した遼東半島南端の旅順と大連をロシアが租借し、山東半島の青島をドイツが租借し、威海衛と九龍半島をイギリスが租借し、広州湾はフランスが租借することになった。これは日本にとって納得のいく話ではない。
とりわけ口シアが遼東半島に進出してくるのは絶対に困る。
ロシアは幕末の頃から日本の最大の敵であった。
幕末にすでに対馬に上陸されたことがあり、日本はイギリスに頼んでこれを追い払ってもらったことがあったほどである。
日本から見れば、ドイツにしろ、フランスにしろ、イギリスにしろ、あるいはアメリカにしろ、海を越えて来なければならないから、そんなに大きな脅威ではなかったが、ロシアは朝鮮半島まで陸続きであったから、その恐怖はよその国と比べものにならない。
そのロシアが遼東半島を租借して旅順を軍港にする。
それだけならまだしも、現在の北朝鮮あたりまで手を伸ばしてきた。
日本は必死になって、満洲を自由にするのは仕方ないとしても、朝鮮半島には出てきてもらっては困るという趣旨の交渉をはじめた。
ところが、ロシアは全く聞く耳を持たない。
鴨緑江河口にある龍岩浦という漁村を手に入れ、これを軍港に変える。
それから北朝鮮の鉱山採掘権や森林伐採権なども取る。
そしてついに、日本と目と鼻の先にある鎮海湾のあたりに軍港を借りたいと朝鮮政府に要求するのである。
鎮海湾を押さえられたとしたら、全朝鮮がロシア軍に制されることになる。
これは日本にとって致命的である。
このロシアの重圧については、昭和二十五年(一九五〇)に朝鮮戦争がはじまったとき、アメリカのマッカーサー元帥も認めざるを得なかった。
アメリカ軍は朝鮮半島を防衛するため、ソ連の支持を得た北朝鮮軍と死闘を繰り広げることになるのである。
ロシアは朝鮮政府に圧力をかけた。
朝鮮は事大主義の国であったから、三国干渉で日本があっさりドイツ、ロシア、フランスの圧力に屈して遼東半島を返すのを見て、やはり白人国にはかなわないのだろうと判断した。
そして、一気にロシア寄りになるのである。
さすがに鎮海湾に港を貸すことには反対したが、それもいつひっくり返るかわからない。
これをもって日本はロシアとの外交交渉を続行するのをあきらめ、シベリア鉄道完成の前というぎりぎりのタイミングで戦争に突入するのである。
この稿続く。
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