毎月社頭へ掲示している「まことの道」というものがあり、神道の心を表すような和歌を紹介しています。
今月のまことの道は江戸時代の国学者、本居宣長の一首です。
『敷島の 大和心を人問はば 朝日ににほふ 山桜花』
“日本人の心とは何かと尋ねられたならば、朝日に照り映える桜の花のようなものと答えよう”
「にほふ(におう)」には「香る」という意味もありますが、元は「丹秀ふ(にほふ)」と表し、美しく照り輝くという意味があります。
昔は桜の散り際の美しさを強調して解されて武士道や軍国主義教育に結びつけられた事もあったようですが、ここは素直に朝日の中に美しく咲く桜を称えた歌と考えて良いかと思います。
国学者とは日本の古典を通じて日本古来の思想や感性を探求した人達です。桜のどのようなところが日本人の心と重ねられたのかを考えると人それぞれ違う答えが出て面白いかも知れません。
「春はあけぼの」の言葉もある通り陽射しの暖かさや美しさが殊に感じられるようになってきました。あと一月で早くも初夏となりますが、今はこの春を楽しみたいと思います。