ムチ打ちや輸血拒否は、国が昨年12月に公表した指針で児童虐待に当たると規定されている。弁護団は「虐待や人権侵害が続いていると強く推測される」として、同日、公的機関による調査を求める文書をこども家庭庁に提出した。

 報告書によると、調査では、「ムチ打ち」や輸血拒否の実態など194項目に関し、元信者ら10〜70歳代の約580人が回答した。

 子どもの頃に親などから「ムチ打ち」をされた人は560人中514人(92%)。親に従順ではない態度を取ったり、集会で居眠りをしたりした時などに、ムチやベルト、定規、素手などでたたかれていた。

 輸血拒否の意思を伝えるためのカードを所持していた人も、451人(81%)に上った。うち350人が理由を「保護者から言われたから」とし、140人は幹部信者からカードを持っているかどうか確認されていた。

 信者が教団から離脱した場合に家族や仲間から交流を断絶される「忌避」については、「教団が強く推奨している」と指摘。「虐待による精神面の不調などと合わさり、(忌避が)教団からの離脱を困難にしている」とした。

 エホバの証人は20日、「ムチ打ち」について「いかなる形の児童虐待も容認していない」とし、輸血拒否は「強制されることはない」と説明している。

宗教2世「行政が実態調査を」

 両親と兄がエホバの証人の信者だという宗教2世の男性(40)(埼玉県)が取材に応じた。

 幼い頃から母の機嫌を損ねればムチでたたかれ、輸血拒否カードは首から下げて持ち歩いた。部活動をやりたいと懇願しても「そんな時間があるなら布教にあてなさい」と言われた。

 20歳の頃、信者以外の女性と交際を始めたのを機に教団から離脱すると、今度は「忌避」が始まった。実家の転居や兄の結婚も知らされず、宗教抜きでの交流を母に求めても「(教団に)戻って来ない限りできない」と拒まれた。

 男性は「家族からの忌避は身が引き裂かれるくらいつらい」とし、「行政が実態を調べ、毅然きぜんと対応してほしい」と話した。

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