令和3年12月15日水曜日のショートメッセージ(Vol.620)。
岸田政権発足後、政府に行った要請に対する返事が昨日届きました。
それについてお話ししました。
詳しくは以下の調査会メルマガをご覧下さい。 ------------------------------
<配達証明で届いた政府回答>【調査会NEWS3539】(R3.12.14)
荒木和博
今日、事務所に2通の配達証明郵便が届きました。何だろうと思ったら拉致問題対策本部からの郵便で、中を開けると使い古しのクリアファイルの中に10月28日付で対策本部に届け、11月2日の大臣要請で松野大臣に今井英輝特定失踪者家族会会長から直接要請した文書への回答が入っていました。
中身は「できません」「やりません」のオンパレード。こんな文書、とっくにできていたはずですが、今頃になって届いたのは11日に政府主催の国際シンポジウムがあり、そこで松野大臣が特定失踪者家族と会う機会があったからです。先にこれが届いていれば当然家族は抗議するでしょう。それを避けるためにわざわざ遅らせていたということです。ちなみに大臣が会ったといっても話を交わす時間はなく、ひと言あいさつしてそれまででした。まあ台本無しに話せる人ではないのですが。
これが「国政の最優先課題」の現実だということを、下の回答から知って戴ければ幸いです。先日家族連絡会の代表が飯塚繁雄さんから横田拓也さんに代わりましたが、このままでは拓也さんが年老いて次に代わるというようなときになっても何も変わっていないでしょう。 それにしても、こういうのを事前に何も言わずにいきなり配達証明で送ってくるということは、政府の方も多少はやましさを感じているのかも知れません。 ——————————————-
(以下、分かりやすくするために項目ごとにもとの要請文を付けました)
令和3年12月13日
特定失踪者家族会会長今井英輝様
特定失踪者問題調査会代表荒木和博様
内閣官房拉致問題対策本部事務局
貴会の要請について、松野拉致問題担当大臣の指示を受け、関係省庁と協議した結果を次のとおり回答します。
<特定失踪者家族会・調査会要請文書>
1、総理と特定失踪者家族との面会は歴代総理に要請し、未だ実現していません。「認定の有無にかかわらず」と言っている政府の姿勢が全く矛盾していることの象徴です。岸田総理は過日自民党総裁に選出されたときあいさつの中で「岸田文雄の特技は、人の話をしっかり聞くということであります」と言っておられます。ぜひその特技を発揮して戴き、特定失踪者家族の話をしっかり聞いていただきたくお願い申しあげます。
<政府回答>
1について
政府としては、拉致被害者として認定された17名以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々がいらっしゃると認識しており、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしているところです。
拉致被害者の認定については北朝鮮側に反論する材料を与えないよう慎重に対応しています。拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々の御家族に対しては、拉致問題担当大臣でもある官房長官の私がお会いしてお話をお伺いさせていただきたいと考えております。 今後とも、情報提供や要望の聴取など、御家族の皆様に寄り添い丁寧な対応に努めてまいります。
<特定失踪者家族会・調査会要請文書>
2、現在の政府認定・警察断定拉致被害者19名以外に拉致の可能性がある人が、特定失踪者問題調査会に約470名、その大部分を含め警察にも900名近くいます。この900名の中には、北朝鮮での目撃・生存情報や、写真等の証拠がある被害者もいます。「日本国民を見捨てない」との思いで、北朝鮮に対し「拉致被害者の全員帰国なくして国交の樹立はあり得ないし、いかなる協力もしない」と明確にして下さい。「しおかぜ」ではこのメッセージを可能な限り北朝鮮に伝えます。拉致問題担当大臣には就任後メッセージの収録をしていただいておりますが、今回はさらに総理にもメッセージの収録をしていただきたく、お願い申しあげます。
<政府回答> 2について
政府としては、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の1日も早い帰国実現に向け、あらゆるチャンスを逃さないとの決意で引き続き全力で取り組んでまいります。
我が国として、日朝平壌宣言にもとづき、拉致、核、ミサイルというた諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指すという基本方針に全く変わりはありません。
北朝鮮への情報伝達手段が限られている中、北朝鮮に囚われている拉致被害者等の日本人、北朝鮮市民や北朝鮮当局に対し、日本政府や日本国民、更には国際社会からのメッセージを伝達する手段として、今後とも、北朝鮮向けラジオ放送の充実・強化について、積極的に取り組んでまいります。
このような観点から、直近では、本年12月1日、「ふるさとの風」「しおかぜ」放送用の松野官房長官兼拉致問題担当大臣によるラジオメッセージを収録しました。
<特定失踪者家族会・調査会要請文書>
3、北朝鮮の内部が相当混乱した状況であることに鑑み、政府・与党として様々なチャンネルを使い、とりわけ官房長官の記者会見で「北朝鮮のどのような組織・個人であれ拉致被害者救出に協力する場合は政府が全面的な支援・協力を行う」とのメッセージを発して下さい。「しおかぜ」ではこのメッセージを可能な限り北朝鮮に伝え、またその反応をキャッチするための情報収集にも全力で取り組みます。
<政府回答> 3について
北朝鮮とのやり取りの詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、明らかにすることは差し控えさせていただきます。
なお、官房長官記者会見や北朝鮮向けラジオ放送を含め、北朝鮮に向けて発信するメッセージの内容については、いかなるメッセージを送ることが拉致問題解決のため最も効果的かという観点から精査する必要があります。
<特定失踪者家族会・調査会要請文書>
4、拉致被害者救出のために自衛隊に対し任務付与をして下さい。自衛隊法・憲法による制約というのは役所の言い訳に過ぎません。北朝鮮が拉致を認めて5人が帰国してから19年が経過しても未だに1人の救出も叶わないことは、多数の拉致被害者を見殺しにしているのと同じことであり、実際この19年の間にも北朝鮮で亡くなった拉致被害者がいる可能性は否定できません。被害者を救出するためには政治の決断が必要です。
<政府回答> 4について
自衛隊による救出活動には、国際法と我が国憲法上の制約があるため、これ以上の自衛隊の活用には限界があることは事実ですが、今後とも、拉致被害者の救出のために何ができるかについて、政府全体として、不断の検討を継続してまいります。
<特定失踪者家族会・調査会要請文書>
5、拉致被害者支援法を改正し、認定の対象となる拉致被害者を「日本国内で拉致された者及び国外で拉致された日本国民」として下さい。また高敬美・剛姉弟については警察が拉致被害者として断定し、当時の対策本部総合調整室長が他の認定被害者と同様に扱うと明言しています。現状でも拉致被害者は17人ではなく19人であると明言し、政府広報物もそれにそって修正して下さい。
<政府回答> 5について
北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(以下「支援法」という。)においては、「北朝鮮当局によって拉致された日本国民として内閣総理大臣が認定した者」を支援法に基づく拉致被害者等給付金の支援の対象となる「被害者」としており、これまで国内外からの情報収集・分析や捜査·調査の結果、北朝鮮による拉致行為があったことが確認された日本国民17名について、拉致被害者として認定を行っています。
御指摘の「高姉弟」に係る事案については、警察における捜査の結果、北朝鮮による拉致行為があったことが確認されており、政府拉致問題対策本部作成パンフレット「北朝鮮による日本人拉致問題」、拉致問題対策本部HP、警察白書等において、その旨、明示的に記載しています。
なお、支援法は、議員立法により成立したものであり、その後の2回の改正(平成22年、26年)についても、議員立法で行われています。
<特定失踪者家族会・調査会要請文書>
6、政府(総務省)による短波送信施設の維持・管理を実現して下さい。設備の老朽化、NHKによる設備削減は危機管理、安全保障の観点から国益を損ねる重大な問題です。これは「しおかぜ」「ふるさとの風」による北朝鮮拉致被害者向け放送のためだけでなく、全世界の邦人が有事の際保護、情報共有を受けられるようにするためであり、アフガンの例を見ても明らかです。
<政府回答> 6について
国際放送の安定的な運営については、KDDIがNHKからラジオ国際放送の送信業務を受託し、長年送信所の運用を安定的に行ってきており、KDDI及びNHKからも、引き続き送信所の安定的な維持運用に努める予定との回答を得ていることから、政府としては現行の運用体制で今後も国際放送が安定的に運営されるものと考えております。
また、政府自らが国際放送施設を管理することについては、これまで実績がないため施設管理に必要な技術及び知見を有しておらず、慎重な検討が必要であるものと考えております。
<特定失踪者家族会・調査会要請文書>
7、警察官・海上保安官・自衛官の制服にブルーリボンを付けるようにして下さい。これは国民への啓蒙のみならず北朝鮮と日本国内の工作員にも圧力となると考える次第です。
<政府回答> 7について
政府職員に対し、ブルーリボンバッジの着用を義務付けることは困難であると考えておりますが、各政府職員が拉致問題解決の重要性に鑑み、自発的に着用することは、拉致問題の啓発・普及にとり非常に有意義であると考えており、特に北朝鮮人権侵害問題啓発週間(毎年12月10日から16日まで)には、各府省職員に対し、ブルーリボン着用促進について広く協力をお願いしています。