第1章 【雨上がりの受付】
「また、この地に帰ってきた。」
私は心の中で、そうつぶやいた。
明日、開催される「第24回阿蘇カルデラスーパーマラソン大会」のゴール地点、阿蘇市内牧の地に私は戻ってきたのだ。
車を降りた私は、雨に濡れた地面を踏みしめながら受付会場へと向かった。
先ほどまで降っていた雨も今は上がり、曇り空が広がっている。
受付を済ませ、再び車へと戻った私は明日の準備を始めた。
だが、いろんな思いが湧き上がってきて、なかなか進まない。
今年も完走できるかな?という不安。
去年完走しているから、できなくても良いかな?という思い。
ウルトラマラソンをテーマに日本コーチ協会熊本支部イベントの講師をするので完走しないとまずいかな?という思い。
自分が立ち上げたFacebook(以降、「FB])のグループ『阿蘇カルデラスーパーマラソン2014友の会』(以降、「カル友」)
のメンバーがたくさん走るし、その中で結構偉そうにアドバイスみたいなこと書いていたので、完走しないと恥ずかしい、という思い。
私は手を止め、FBに逃げ込んだ。
『カル友』のメンバーも次々に到着の投稿をしている。
メンバーといってもお会いしたことがない人がほとんど。
エリートランナーから私のようなドン亀ランナーまで様々だ。
明日は何人の方に会えるだろうか?
そうしているうちに、かなり時間が過ぎてしまった。
まずい!明日は2時起きだ。夕食もまだだし、早く準備をして寝なければ。
急いで、明日着るウエア、携行品、中間点への手荷物、そしてもちろん「いちごマスク」も用意した。
一通り準備も出来たので、夕食を食べに会場近くの喫茶店へと向かった。
途中、阿蘇五岳が遠方に見えた。空には所々青空ものぞいている。
明日の天気はどうなんだろう。予報では曇りだが…。
喫茶店に入ると客は誰もおらず、私一人だ。
ビールとつまみ、肉うどんを注文。
本来、レース前の飲酒は良くないのだが、今夜は車中泊。
夜中も参加者の車が出入りして眠れないこともあるので、睡眠薬代わりだ。
相棒の「いちごマンJr.」と明日のレースプランを確認しながら良い気分で食事を終えた。
『カル友』メンバーの山田さんが近くの駐車場にいて、メンバーの来訪を待ってます、とFBに投稿していたので寄ってみることにした。
駐車場に向かって歩いていくと、バックドアを開け目印のタオルを掛けてある車をすぐに見つけられた。
中を覗くと、食事中の男性がいた。
「あの~、山田さんですか?」と声をかける。
男性は一瞬驚いたように振り返った。
「『カル友』の岡部です」と挨拶をすると、「あ~岡部さん!」と破顔一笑。
お話しすると以前から私のことをご存知のようで、去年のこの大会はリタイアだったので何としてもリベンジしたいとのことだった。
お食事の邪魔をしてはいけないので、お互いの健闘を祈り、その場を後にした。
車に戻り、最後のチェック。
日は暮れたが、外はまだ明るい。
マジックアワーか、と思いながら黄昏色に染まった空を車窓から見上げた。
マジックが使えて楽に走れたらいいのに、などと変な妄想をしながら目覚ましをセット。
蛙の合唱を子守唄に眠りについたのだった。
(次回、第2章【暗雲】へ つづく)
文中、私以外の方の氏名は仮名です。
日本ブログ村に参加してます
良かったらポチッとしてね
「また、この地に帰ってきた。」
私は心の中で、そうつぶやいた。
明日、開催される「第24回阿蘇カルデラスーパーマラソン大会」のゴール地点、阿蘇市内牧の地に私は戻ってきたのだ。
車を降りた私は、雨に濡れた地面を踏みしめながら受付会場へと向かった。
先ほどまで降っていた雨も今は上がり、曇り空が広がっている。
受付を済ませ、再び車へと戻った私は明日の準備を始めた。
だが、いろんな思いが湧き上がってきて、なかなか進まない。
今年も完走できるかな?という不安。
去年完走しているから、できなくても良いかな?という思い。
ウルトラマラソンをテーマに日本コーチ協会熊本支部イベントの講師をするので完走しないとまずいかな?という思い。
自分が立ち上げたFacebook(以降、「FB])のグループ『阿蘇カルデラスーパーマラソン2014友の会』(以降、「カル友」)
のメンバーがたくさん走るし、その中で結構偉そうにアドバイスみたいなこと書いていたので、完走しないと恥ずかしい、という思い。
私は手を止め、FBに逃げ込んだ。
『カル友』のメンバーも次々に到着の投稿をしている。
メンバーといってもお会いしたことがない人がほとんど。
エリートランナーから私のようなドン亀ランナーまで様々だ。
明日は何人の方に会えるだろうか?
そうしているうちに、かなり時間が過ぎてしまった。
まずい!明日は2時起きだ。夕食もまだだし、早く準備をして寝なければ。
急いで、明日着るウエア、携行品、中間点への手荷物、そしてもちろん「いちごマスク」も用意した。
一通り準備も出来たので、夕食を食べに会場近くの喫茶店へと向かった。
途中、阿蘇五岳が遠方に見えた。空には所々青空ものぞいている。
明日の天気はどうなんだろう。予報では曇りだが…。
喫茶店に入ると客は誰もおらず、私一人だ。
ビールとつまみ、肉うどんを注文。
本来、レース前の飲酒は良くないのだが、今夜は車中泊。
夜中も参加者の車が出入りして眠れないこともあるので、睡眠薬代わりだ。
相棒の「いちごマンJr.」と明日のレースプランを確認しながら良い気分で食事を終えた。
『カル友』メンバーの山田さんが近くの駐車場にいて、メンバーの来訪を待ってます、とFBに投稿していたので寄ってみることにした。
駐車場に向かって歩いていくと、バックドアを開け目印のタオルを掛けてある車をすぐに見つけられた。
中を覗くと、食事中の男性がいた。
「あの~、山田さんですか?」と声をかける。
男性は一瞬驚いたように振り返った。
「『カル友』の岡部です」と挨拶をすると、「あ~岡部さん!」と破顔一笑。
お話しすると以前から私のことをご存知のようで、去年のこの大会はリタイアだったので何としてもリベンジしたいとのことだった。
お食事の邪魔をしてはいけないので、お互いの健闘を祈り、その場を後にした。
車に戻り、最後のチェック。
日は暮れたが、外はまだ明るい。
マジックアワーか、と思いながら黄昏色に染まった空を車窓から見上げた。
マジックが使えて楽に走れたらいいのに、などと変な妄想をしながら目覚ましをセット。
蛙の合唱を子守唄に眠りについたのだった。
(次回、第2章【暗雲】へ つづく)
文中、私以外の方の氏名は仮名です。
日本ブログ村に参加してます
良かったらポチッとしてね