前回に続き北条泰時が制定した御成敗式目について紹介します。今回はその内容で私が特に注目した条文です。御成敗式目の中で裁判上の2大原則とされる条文は第7条(不易の法)と第8条(知行年紀制)です。
第7条の不易の法とは、頼朝公をはじめ源家3代の将軍のとき、および二位殿(政子)のときに御家人に与えられた領地は、本所などの訴えがあっても権利を奪われることがない。
第8条の知行年紀制とは、頼朝公が取り決めたように御家人が20年間支配した土地は、元の領主(貴族や寺社など)に返す必要はない。しかし、実際には支配していないのに、支配していたと偽った者は証明書を持っていても、その取り決めは適用されない。
私が興味を持ったのは第8条の知行年紀制についてです。この条項は民法をかじった人ならピンとくると思いますが、民法162条(取得時効)とほぼ同じです。その条文を示してみます。
①20年間所有の意思を以て平穏かつ公然に他人の物を占有したる者はその所有権を取得す。
②10年間所有の意思を以て平穏かつ公然に他人の不動産を占有したる者がその占有の始善意にしてかつ過失なかりしときはその不動産の所有権を取得す。
現代法では不動産を10年としていますが、御成敗式目の方が運用が厳しくなっている違いはあっても考え方はほぼ同じで、これをみても御成敗式目がよく考えられて制定されたことが理解できると思います。また20年間という年数ですが、伊勢神宮の式年遷宮の期間と同じですが、何か共通の意味があるのかと・・・。これはちょっと妄想が過ぎました。
さて写真は広町緑地の田んぼで写したもの。中央にある竹の棒にカワセミが一羽とまっています。この土地は我がものと平穏かつ公然と占有している様子が窺えました。
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