木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

ナノストーンフライパン

2007年03月22日 | B級グルメ
何気なくつけたテレビのショップチャンネルで、ナノストーンフライパンというものの宣伝販売が行われていた。
 「これ、いい!」
油をひかずに料理ができる。
餃子も、目玉焼きもうまく調理されていた。
 「欲しい!」
価格は9000円弱だったかなあ。
自信があるのか10年間保証までついている。
フライパンだけでいいのだけど、なぜか中華鍋もついていて、価格を押し上げている。
フライパンだけでいいから、もっと安くしてくれ、と言う人が大半なのではないだろうか。
それにしても、欲しい。

鬼、河童に濁流の水飲まされるー11

2007年03月22日 | 一九じいさんのつぶやき
 「言い遅れたが、俺は十衛平、みの屋十衛平として、日本橋で瓦版を出している」
 桶を据え付け終わり、土手に上がって来た男はそう名乗り、汗を拭いた。
 熊三と留助の二人の間に挟まるようにして座った十衛平は、二人よりは年かさだが、野心に満ちた目はぎらぎらと光っていた。目つきの鋭さのせいで抜け目ない人間のようにも見えるし、切れ者のようにも見えた。
 「おう、おめえはもう、けぇっていいぜ」
 十衛平は、一緒に来た男を帰すと、包みからにぎりめしを出して、食べ出した。
 熊三と留助は、その様子を興味深そうに見ていて、十衛平が再び話し始めるのを待っていたが、十衛平が二つ目のにぎりめしに手を伸ばしたのを見て、熊三は、
 「おめえ、河童を捕まえるつもりかい?」
 と聞いた。どうにも、もう、待ちきれないという風情だ。
 「いいや」
 熊三の意気込みとは正反対に、十衛平の答えは素っ気ない。
 「いいや、って、それじゃ、その肩にかけた網はなんでえ」
 留助も熊三と同じく興味津々である。
 「おう、これかい? これは、言うなれば、衣装だな。格好つけだ」
 「衣装だと?」
 二人は声を揃えた。
 「河童なんぞ捕まえた日にゃ、どんな祟りがあるや知れねえ。第一、飼っておく場所もねえ。網で捕らえるなんて、野暮なことをしなくとも、この俺の目で捕らえれば、江戸っ子は、河童を実際に目にしたのと同じだ。それが瓦版屋の意地ってもんだ。実はもし河童を見ることができたなら、その場でこの網を投げる真似をして、『河童捕らえたり』などと見栄を切ろうかと思ってたんだが、話していて恥ずかしくなった。まあ、そんなことをせずともいい。あとは、仕掛けの効果次第というところだ」
 「その仕掛けだが、大した金を掛けたな」
 熊三が魚屋らしく聞いた。
 「まあな。魚心あれば水心。河童好きは江戸にはたくさんいる」
 「旦那がついてるってことか? 次はぜひ俺から貰いてえもんだ。そうすれば俺も落ち着いて河童見物ができる」
 熊三が冗談とも本当ともつかぬことを言っていると、
 「おーい、おまえさんがた」
 川向こうから大きな声が掛かった。