夕食のテーブルに寿司が並んだ。
何だ? 誰かの誕生日か? と訊いたが無視されてムカッ。
そんなのも分からないのか と多分バカにされているのだ。
私の誕生日は来月だしルンバの誕生日はまだ先だ。
子供の誕生日は・・・・・エート・・・・・いつだっけ。
ジェームスが元気に活躍していたのはかなり昔なので子供の誕生日はメモを見なければ出てこない。
テーブルに座って寿司の入ったケースの蓋を見たら「父の日」と書いてあった。
へぇ、父の日なんだとそこでやっと納得できた私。
私は子供が可愛くて可愛くて、仕事から帰るといつも抱いてナメナメしアムアムしていた。
机にはジュニアの耳をアムアムしている写真が今も置いてある。
そこまで可愛がったのに、いつの間にか気持ちが悪いと云われ、敬遠されて誰も近寄らなくなった。
近所の家には私たちより少し若い夫婦がいて、子供にはパパと呼ばせていた。
パパと云う言葉には、どことなく隠秘な空気が漂う。
それに失礼ながらどこから見てもパパと云う顔では無かった。
我が家は当然「お父さん」だ。
実は「お父様」と呼ばせようとしたのだが全員に黙殺された。
最近気が付いたことがある。
それは私のことを「お父さん」と呼ぶのは家内だけだと云うこと。
娘は未だに気持ち悪い記憶があるのか「ナメさん」と呼ぶ。
あんなに可愛がったのにね・・・・・