こう見えても学生時代に古都で暮らしていた時、多分私は雅(みやび)だった。
「雅って何だ」と訊かれたら返答に窮するが、私がそう思っているのだから放って置いて欲しい。
「そんなこと無いべさ」と云った途端、周囲の目が変わったのに気が付き
「そんなこと、あらへん」と云うように己を律した。
毎日が練習。
英語圏に暮らして英語をマスターするのと同じように耳をダンボにしてヒヤリングに努めた。
立派に京都弁を話せていたかは知らないが、周りの目にトゲを感じることは無くなった。
原田マハ。
彼女は東京生まれで関西学園を卒業した小説家。
小説を書く前に紆余曲折はあったようだが美術館に勤めたこともあり、マハはゴヤの作品名からとったそうで本名は公表されていない。
彼女の作品と初めて出会ったのは北海道が舞台の「さいはての彼女」
なかなかの名作で魅入られた。
彼女の本を読むのは、これで5冊目だろうか。
今朝読み終えたのは「翔ぶ少女」
阪神・淡路大震災で迫る火の中、瓦礫の底から3人の子供を託された医師が約束を守り一生懸命に育て上げる。
物語を優しく包むのは、見事な関西弁だ。
私の雅かどうか妖しい京言葉とは段違いに被災者に美しく寄り添う。
実は子供達にとって神様であった医師を最後には子供達が救う。
医師にとって、養子にした子供達も神様であった。
深夜に読み終えたが、最後に子供が発した言葉が効き過ぎた。
爺ちゃんを泣かせたら・・・・・あかん。