居間のカーテンを開けたら、窓の外に一夜で作り上げたとは思えないほどの巨大な蜘蛛の巣。
そして、その中央に堂々と居座るおぞましい影。
動きさえしなければ誰からも姿が見えないとでも思っているのか、水彩画の一部にでもなったようにピクリともしない。
よく見ると、張られた糸の3ケ所に黒い小さな点。
捕食された虫の残骸のようにも見える。
今は秋のお彼岸。
それが過ぎるまでは巣を払わずに置こうと思った。
カーテンの向こうにある見たくも無い姿に耐え続ける。
そして今日。
突然現れたクジャク蝶。巣が見えていないのかギリギリの所で屋根の方へ消えたが何を血迷ったのか、またヒラヒラと下りて来た。
ルンバと二人。窓の中で手を大きく振って「来るんじゃ無い」と叫ぶ。
蝶々が食べられる所なんか見たくない。
上がり下がりを繰り返し、何度も糸に触れそうになる姿に我慢も限界。
殺虫剤を手に家を飛び出た。