高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

荒編みと網代編み

2011年05月02日 05時33分21秒 | 竹細工作業工程

竹細工と云っても、いろんな種類の作品がある。
精密に丹念に根気が要求される網代編みに対して、勢いとスピードと基礎技術を要求される荒編みとは、実に対照的である。

4月になり、昨年工房に入った「長岡さん」に荒編みの篭を教えている。
「長岡さん」とは、以前ちょくちょく、ブログにも登場している「由記ちゃんこと、お惚けちゃん」のことである。
この「長岡さん」と呼ぶのに、1年掛かってしまった。

最初の段階で、知り合いと云うか?慣れた雰囲気で入ってしまったので、いたる所で、お互いに
友達感覚が出てしまうのだ。
これを本来の師匠と弟子の関係に戻すのに、1年掛かってしまった。
最近やっと通常の師弟関係が出来上がりつつある所だ。

この1年間、殆どヒゴ取りと網代のバッグの作り方だけに絞って教えてきた。
網代編みと云うのは、丁寧さと、精密な仕事の連続であるが、ある意味、時間さえ掛ければ覚えることが出来る物である。どちらかと云えば論理的な編み方である。
彼女も、この1年間かけて、何とか初歩の網代編みのバッグが出来るようになってきた。

ところが、今度教えている荒編みの花篭は、バッグよりうんと簡単なものであるが、感覚的な編み方である。ヒゴの取り方も、巾や厚みも揃えない!編む時も、編み上げたときのイメージと手加減が殆どである。
それと、スピードが要求される。

「今回はこの作品を50個作る」

「ひぇ~、50個ですか?     あっ、はい」

「そう、50個だ。取りあえず、練習用の5~6個分のヒゴ取りをしろ」

「あぁ、はい」

同じ篭を50個も100個も作ったことが無いので、戸惑っている。
以前は、私の所でも年間1000個近く出る、花篭を10アイテムほど、作っていたのだが、時代とともに、大量に作る花篭は、殆ど売れなくなってしまった。
単価は安いのだが、弟子を育てる上で、同じものを何個も何個も作ると云うのが、物凄く基礎技術を付ける上で大切な事になる。

最初に出来上がって来たものは、それはそれは酷いものである。
5個とも、形も大きさも表情も違う、
その一つ、一つを何処が悪いのか?何処が違うのか?何故、こうなってしまったのか?解き明かしていく。
最初の5~6個分は、編み方を覚えるのが精一杯で、とても見れた物ではない。
最初は、自分の取ったヒゴの厚みなどが適しているか?確認する大事な作業である。

52a もう一度、練習用に5~6個分のヒゴ取りをさせる。

今度は、前回失敗した部分を確認しながら、編み上げていく。
同じことの、繰り返し繰り返しやり続ける事で、自然と体や手が覚えて行くのだ。
「どんな篭も、最低100個付くらんと覚えん!」と、昔の職人は言われていたものだ。

彼女の頭の中では、今までの常識では通用しない物ばかりなので、随分戸惑っている。

でも、体で覚えた物は一生付いてくるからね!。

箸の通信販売 竹バッグ  すべらない箸  名入れ箸 名入れ ギフト 

 記念品 贈り物 竹細工 箸 名入れ

このブログの応援をこめて、下のバナーを ポチッと押して下さい!

にほんブログ村 ハンドメイドブログ ハンドメイド作家へ←ポチッ!

ワンクリックありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする